消費者の7割がEC購入前に実店舗で商品を確認――。デジタルマーケティングのコンサルティングを手がける大日本印刷(株)は9日、こんな調査結果をまとめた。アパレル業界のECマーケティング施策に役立てるための消費者行動の実態調査で、「リアルとインターネットを行き来」する消費者の購買行動が浮き彫りになった形だ。
アパレル業界のマーケ課題に
調査は、アパレル業界に従事するマーケティング担当者95人と、ECサイトや店舗で購入している20~50代の消費者名100人の計400人が対象。「企業の注力施策」と「消費者の商品認知から購入までの一連の体験」にはギャップもあり、「今後のアパレル業界におけるマーケティングの課題」についての手がかりを提供している。
それによると、企業のマーケティング担当者の過半数は、「既存顧客の消費者認知に効果的な施策」について、「SNSへの露出」(52.6%)を第一に挙げていた。一方、消費者が「商品を認知するきっかけ」の第1位は、「店頭や店内の展示」(53.8%)で、こちらも過半数を超える結果に。マーケティング担当者が考える消費者像と、実際の消費者行動には大きな差異があることが分かった。
20代は意外と慎重?7割以上が「ネット情報のみだと不安」
また、EC購入前の消費者行動では、「店頭の商品を必ず確認」「店頭の商品を確認しないと不安」という消費者が全体の約7割を占めていた。世代別では、20代の34%は「店頭の商品を必ず確認」し、40%は「店頭で確認しないと不安」と考えていた。SNS世代の20代は、デジタルの認知経路を「SNS」とする人が3割を超え、ほかの世代よりSNSを情報収集の経路とする傾向は強くみられた。
しかし、実際の購買行動では、「ネット上の情報のみでは不安があり、EC購入の前に店舗で確認したい」という20代が7割強。リアルとインターネットを行き来する消費者の購買行動を踏まえた「購買体験の設計」がポイントだとしている。
消費者の購入促進要因は「サイトのユーザビリティ」がトップ
企業のマーケティング担当者がECサイトの購買促進で注力している施策は、「分かりやすい商品説明」がトップで全体の7割を占めた。また、「サイトのユーザビリティ」「コーディネイト提案」にも5割前後が注力するとしていた。
一方、ECサイトを利用する消費者の購入促進要因では、「サイトのユーザビリティ」がトップで、全体の7割超。また、「分かりやすい商品説明」については全体の6割近くが重視しているが、「即日発送」や「在庫数表示」についても同率の回答となっており、マーケティング担当者の意識とはズレがあることが明らかになった。
20代の「ネット評判の意識度」でマーケ担当者の認識にギャップも
多くのマーケティング担当者は「分かりやすい商品説明」をEC購買促進の注力施策としているが、消費者のリアルな購買行動は、「即日発送」「在庫数表示」も同等に重視している。「サイトのユーザビリティ」が最も重視されている点も含めると、消費者は「購買プロセス」全体を見渡しているといえる、と指摘している。
消費者の購買促進要因を世代別に見ると、マーケティング担当者とのギャップが最も大きかったのは、20代の「ネットの評判を意識する」だった。消費者の回答が5割超となっている一方、マーケティング担当者で注力しているのは1割超。さらに、「ネットの評判を意識する」と同率で、「同一商品購入者のレビュー」も重視しており、こちらもマーケティング担当者の意識とはギャップがあった。
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