2024年4月から「働き方改革」に関する法律が適用され、トラックドライバーの時間外労働の上限が規制される物流の「2024年問題」。その1年前となる今年4月を「再配達削減PR月間」と定め、国土交通省は再配達の削減に向けた取り組みを普及・啓発する。
再配達削減へ4つの取り組みを依頼
同省は、再配達の削減につながる取り組みとして、消費者(ユーザー)に向けて次の4点を求めている。
(1)時間帯指定の活用、(2)各事業者が提供するコミュニケーションツール(メール・アプリなど)の活用、(3)コンビニでの受け取り、駅の宅配ロッカー、置き配など多様な受け取り方法の活用、(4)発送時に送付先の在宅時間の確認。
このほか、まとめ買いによる配送回数の削減、送り先住所の正しい記載なども挙げている。
同省のホームページで、「再配達削減PR月間」に協力するEC・通販企業や宅配事業者の取り組みを紹介。EC・通販は楽天グループ(株)、アマゾンジャパン(合同)、ヤフー(株)、(株)自然食研、(公社)日本通信販売協会。宅配はヤマト運輸(株)、日本郵便(株)、佐川急便(株)の3社が協力している。
楽天グループ…「日時指定」や「自宅外受け取りサービス」を呼びかけ
楽天グループは、宅配便の再配達がドライバーにとって負担が大きいこと、CO2排出量の増加で地球環境にも負荷がかかることから、「1回で受け取ろう」とユーザーに呼びかけている。
購入手続き時に「お届け日時」を設定できる場合は、日時指定を行うことを推奨。また、自宅外の受け取り方法として、「コンビニ」「郵便局」「ロッカー」「店頭」の各サービスを紹介している。
アマゾンジャパン…新サービス「Key for Business」で「置き配」拡大へ
アマゾンジャパンは、セルフサービス「Amazon Hub ロッカー」と、店舗スタッフから受け取る「Amazon Hub カウンター」の2種類の商品配送オプションを用意。
「Amazon Hub ロッカー」は、各地に設置したロッカーで荷物を受け取れるサービス。商品の注文時に、アカウントサービスのアドレス帳に「Amazon Hub ロッカー」を追加し、配達先住所としてロッカーの場所を選択する。バーコードがメールでユーザーへ送信され、バーコードをロッカーにスキャンさせると商品を取り出せる。
「Amazon Hub カウンター」は、ユーザーが日頃利用する店舗で商品を受け取るサービス。最寄りの店舗を住所や郵便番号で検索して見つけることができる。店舗へ配達が完了すると通知メールが送信され、店舗でバーコードをスキャンして商品を受け取る。
今年3月には、「置き配」拡大による再配達の削減に向けて、三井不動産レジデンシャルリースとの協業を発表。三井不動産レジデンシャルリースが管理する物件を対象に、オートロック付きマンションでも「置き配」が可能な新サービス「Amazon Key for Business」を展開している。
ヤフー…受け取り方法の工夫を求める
ヤフーは、「Yahoo!ショッピング」のユーザーに向けて、受け取り方法を工夫することによる再配達削減への協力を要請。配達日や時間帯の指定、各配送事業者が提供するコミュニケーションツール、コンビニでの受け取り、駅の宅配ロッカー、置き配などの活用を促す考えだ。
日本通信販売協会では通販企業に向けて、企業ウェブサイトやSNSなどを通じて、ユーザーへ再配達の削減を呼びかけるように求めている。
ヤマト運輸…受け取り方法を選べる「EAZY」を展開
ヤマト運輸は、さまざまな受け取り方法が選べるサービス「EAZY(イージー)」を展開。同社と連携しているオンラインショップなどで注文した商品を対象に、対面をはじめ、自宅敷地内の玄関ドア前やガスメーターボックス、車庫などを指定できる。
また、Packcity Japanが運営するオープン型宅配便ロッカー「PUDO」の活用により、駅・スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどから、24時間いつでも宅急便を送ったり、受け取ったりできる。
佐川急便…再配達の悩みを解消するサービス「スマートクラブ」
佐川急便は、再配達のわずらわしさを解決するサービス「スマートクラブ」を提供。(1)商品の配達日時をメールで事前に通知、(2)ユーザーの都合に合わせて配達日時を変更、(3)再配達をウェブ上で依頼――などができる。
日本郵便は「コンビニ・郵便局窓口受取サービス」を実施している。同サービスを導入しているECサイトなどから商品を購入、コンビニや郵便局などライフスタイルに合わせて受取方法を選択し、ゆうパックを受け取ることができる。
■国土交通省「再配達削減PR月間 特設ページ」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/re_delivery_reduce_pr.html
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