経済産業省がこのほど発表した「2020年度電子商取引に関する市場調査」のまとめによると、20年の国内BtoC-EC市場規模は初のマイナス成長に転じた。コロナ禍で「旅行」などのサービス系分野が影響を色濃く受けた。同BtoB-EC市場規模も減少した。
BtoC‐EC市場規模は0.43%減の19兆3000億円
EC市場の動向や利用者実態の調査は1998年度から毎年実施し、今回で23回目、国内のBtoC-EC、BtoB-EC、CtoC-ECの市場規模に加え、越境ECの消費者向け市場動向(日本、米国、中国相互間)について分析している。
20年のBtoC-EC市場規模は前年比0.43%減の19兆3000億円。また、BtoB-EC市場規模は同5.1%減の334兆9000億円だった。コロナ禍で物販系分野が大幅に拡大した一方、主として旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模は大幅に減少した。両分野の増減分が相殺され、BtoC-EC市場規模全体としては830億円の減少となった。BtoC-EC市場規模が前年比で増加しなかったのは、調査開始以来、初めて。
EC化率は1.32ポイント増の8.08%、物販系のEC市場規模は21%増
一方で、EC化率は、BtoC-ECで8.08%(前年比1.32ポイント増)、BtoB-ECで33.5%(同1.8ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展している。
物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年比21.71%増の12兆2333億円で、EC化率は8.08%。「生活家電・AV機器・PC・周辺機器など」(2兆3489億円)、「衣類・服装雑貨など」(2兆2203億円)、「食品、飲料、酒類」(2兆2086億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆1322億円)の割合が大きく、これらで73%を占めている。コロナ禍の影響で、全カテゴリーで市場規模が大幅に拡大した。
EC化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」(42.97%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(37.45%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(26.03%)で高い値となった。いずれもECとの親和性や相性がいいカテゴリーだ。
コロナの影響で「旅行サービス」が60%減
サービス系分野のBtoC-EC市場規模の内訳は、「旅行サービス」(1兆5494億円)が大きな割合を占めており、コロナ禍の影響で「旅行サービス」(前年比60.24%減)、「飲食サービス」(同18.03%減)、「チケット販売」(65.58%減)の市場規模が大きく縮小した。
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模は、「オンラインゲーム」(1兆4957億円)が大きな割合を占めている。「オンラインゲーム」(前年比7.50%増)、「有料動画配信」(同33.10%増)、「有料音楽配信」(同10.80%増)などの市場拡大の背景には、コロナ禍を受け、在宅で過ごす消費者が増え、巣ごもり需要が増加したことがあると考えられる。
CtoC市場規模は12.5%増の1兆9586億円、越境EC市場規模も拡大
CtoC-EC市場規模の推計調査は、近年、ECチャネルの1つとして急拡大していることを踏まえ、16年から実施。20年の市場規模は前年比12.5%増の1兆9586億円が見込まれる。BtoC-EC市場と同様、コロナ禍でECの利用が推奨された結果、物販系EC市場が拡大したことに伴い、CtoC-ECの利用者が増加したことが挙げられる。
日本・米国・中国の3か国間の越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加した。中国の消費者による日本の事業者からの越境EC購入額は、前年比17.8%増の1兆9499億円、米国事業者からの越境EC購入額は同15.1%増の2兆3119億円だった。
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