2023.03.03 コラム
5フォース分析とは?やり方や分析例などをわかりやすく解説!
5フォース分析は自社を取り巻く外部環境を把握し、自社が収益を上げやすいか分析する手法です。この5フォース分析をどのように実施すればいいか分からない方も多いのではないでしょうか?今回は5フォース分析の概要、やり方や分析例をわかりやすく解説します。
5フォース分析とは?
5フォース分析とは、自社を取り巻く外部環境について、5つの観点から分析する手法です。
アメリカの経済学者「マイケル・ポーター」が提唱した分析手法で、経営戦略を決定する際によく用いられる手法です。
具体的には、以下5つの要素に分けて自社取り巻く外部環境を分析します。
・競合他社
・新規参入者
・代替品
・買い手の交渉力
・売り手の交渉力
5フォース分析によって、業界・市場の構造や競合との優位性などを把握できます。
例えば、分析結果で競合他社や代替品が数多くあると分かった場合、競争率が高く収益を出しにくい可能性が予測できるでしょう。
5フォース分析で外部環境を把握できれば、自社のマーケティング戦略も明確にしやすくなります。
5フォース分析の対象となる5つの要素
ここでは先ほど紹介した5フォース分析の対象となる5つの要素を詳しく解説します。
▽競合他社
業界内の競合他社に関して、以下の項目を分析します。
・競合他社の数
・市場シェア
・売上
・競合製品の強みやメリット など
例えば車を販売する場合、以下の項目が分析対象例です。
「競合他社の車にはどんな機能があるのか?」
「グレードや価格設定はどう設定しているのか?」
もし「価格は安いが、カスタマサポートが不十分な傾向がある」ことがわかれば、サポート体制を充実させて競合他社との差別化を図れます。
▽新規参入者
業界の新規参入企業に関して分析する項目です。
具体的には、業界に新規参入するハードルの高さを分析します。
例えばジムを経営する場合、トレーニングマシンへの設備投資や有資格者トレーナーの雇用など、新規参入に高いハードルがあります。
一方でECで商品を販売する場合、個人でも簡単に始められハードルは比較的低いと言えるでしょう。
新規参入するハードルの高さを分析することで、後から参入した企業に追い抜かれるリスクなどを把握し経営戦略に反映させられます。
▽代替品
代替品について分析する項目です。
代替品が現れれば、自社商品・サービスの市場シェアが低下し、経営に悪影響を及ぼすリスクがあります。
代替品の例は以下の通りです。
・CDに対するストリーミングサービス
・ガラケーに対するスマートフォン
・チラシに対するメール
上記のように技術発達により新たな代替品が出現するケースが多くあります。
代替品を分析すれば、代替品の強み弱みを把握でき、差別化ポイントも明確にできるでしょう。
代替品との差別化が上手くできれば、市場シェアを確保し経営にも好影響を与えられます。
▽買い手の交渉力
買い手の交渉力は、自社と顧客の力関係について分析する項目です。
例えば、競合他社の多い業界や商品・サービスの場合、顧客から商品・サービスへの要求が高くなり、買い手の交渉力が強くなります。
一方、自社で特許を持つ製品を販売する企業は、顧客側に選択肢がなく、値下げ交渉を受けるリスクも少なくなります。
買い手の交渉力を分析すれば、顧客からの値下げ交渉への対策もしやすく、自社商品・サービスを効率的に販売する戦略が立てやすくなります。
▽売り手の交渉力
売り手の交渉力は、自社と仕入れ先の力関係について分析する項目です。
例えば、特定の会社しか扱わない材料を仕入れている場合、仕入れ先が限られるため、売り手の交渉力が強くなります。
逆に、多くの会社が扱う材料を仕入れる場合は、仕入れ先を複数用意でき、売り手の交渉力は弱いと言えるでしょう。
売り手の交渉力を分析することで、自社内で材料を生産する体制を整えるなど対策ができ、経営を安定化させられます。
5フォース分析のやり方
5フォース分析は、以下の3ステップで行います。
・各要因に関する情報を収集・整理する
・5つの要因をそれぞれ分析する
・分析結果から自社戦略を立案する
5フォース分析を行う際は、上記ステップを参考にしましょう。
◇各要因に関する情報を収集・整理する
まず、前述した5つの分析対象に関する情報を収集・整理します。
各要素の具体的に収集すべき情報例は以下の通りです。
・競合他社:競合他社の占有率(シェア)、売上、商品の強み・弱み
・新規参入者:新規参入時のコストやかかる期間
・代替品:代替品の特徴
・買い手の交渉力:買い手が選べる購入先の数
・売り手の交渉力:現在の仕入れ値、仕入れ先の数
上記5つの分析対象に関連する情報をできるだけ多く集め、表などを用いて整理しましょう。"
◇5つの要因をそれぞれ分析する
情報収集を終えたら、それぞれの要素を分析します。
例えば、買い手の交渉力に関しては、以下の観点から分析が可能です。
・買い手から値下げ交渉を要求されやすい環境か?
・買い手が商品を購入する先はどのくらいあるか?
買い手が商品購入できる先が多い場合、買い手の交渉力が強くなる傾向にあり、対策が必要です。
◇分析結果から自社戦略を立案する
分析結果から自社戦略を立案しましょう。
大切なことは、1つの分析結果に偏らず総合的に判断することです。
例えば、「高単価の商品を販売し利益率を高くする」という戦略を取ろうとしても、競合他社の参入数が多ければ買い手の交渉力も高く、顧客が他の安い商品を購入してしまう恐れがあります。
この場合、価格設定の見直しや価格以外で競合製品との差別化を図るなど対策が必要です。
5フォース分析の例を実際の企業で解説
5フォース分析の例を以下の企業を用いて解説します。
・ユニクロ
・スターバックス
・マクドナルド
・セブンイレブン
◎ユニクロ
ユニクロはアパレル業界に属する大手企業であり、「無印良品」や「ZARA」など競合他社が多く存在する環境と言えるでしょう。
5フォース分析では以下の分析が可能です。
・競合他社:「無印良品」や「ZARA」など競合他社の脅威が強い
・新規参入者:ECを主戦場とするアパレルブランドが台頭し、新規参入のハードルは高い
・代替品:サブスクリプションで服をレンタルするサービスが登場しており、代替品の脅威も強い
・買い手の交渉力:競合他社が多く、買い手の交渉力は強い
・売り手の交渉力:素材の仕入れ先は数多く、売り手の交渉力は弱い
◎スターバックス
スターバックスは、カフェを運営する事業を行っており、コンビニのコーヒーなど代替品も存在する環境に属しています。
5フォース分析では以下の分析が可能です。
・競合他社:ドトールやタリーズなど競合他社が数多く存在する。
・新規参入者:レストランでコーヒーを提供するなど、新規参入のハードルは低い。
・代替品:コンビニのコーヒーなど代替品の脅威が強い。
・買い手の交渉力:コーヒーを購入できる場所は多く、買い手の交渉力は強い。
・売り手の交渉力:原料に関しては仕入れ先は数多く、売り手の交渉力は弱い。店舗の確保など不動産に関しては、売り手の交渉力が強い。
◎マクドナルド
マクドナルドはファストフード業界に属する大企業で、牛丼のチェーン店など代替品の存在が強い環境に属しています。
5フォース分析では以下の分析が可能です。
・競合他社:ロッテリアやモスバーガーなど競合他社が多い。
・新規参入者:マクドナルドが圧倒的なシェアを誇り、新規参入の脅威は少ない。
・代替品:牛丼のチェーン店など、代替品が多く存在する。
・買い手の交渉力:ハンバーガーショップは数多く存在し、買い手の交渉力は強い。
・売り手の交渉力:自社ブランドの力が高いため、売り手の交渉力は低い。
◎セブンイレブン
セブンイレブンは大手コンビニチェーン店です。
他のコンビニチェーン店も多店舗展開しており、買い手の交渉力が強い業界と言えるでしょう。
5フォース分析では以下の分析が可能です。
・競合他社:ファミリーマートやローソンなど競合他社が多い。
・新規参入者:店舗の確保が難しく、新規参入のハードルは高い。
・代替品:スーパーやドラッグストアなどでも同一商品を販売でき、代替品の脅威は強い。
・買い手の交渉力:他のコンビニも多店舗展開しており、買い手の交渉力は強い。
・売り手の交渉力:自社ブランド力が強い上、仕入れ先も多く売り手の交渉力は弱い。"
5フォース分析を行う際の注意点
5フォース分析を行う際、以下の点に注意しましょう。
・客観的なデータで評価する
・分析期間など条件を明確にする
□客観的なデータで評価する
5フォース分析は客観的なデータで評価しましょう。
特に業界内での立ち位置など自社に関する情報は、主観が入り自社にとって優位に考えやすくなります。
分析に主観的な要素が入ってしまうと、正しい分析結果を得られず、間違った経営戦略に繋がってしまいます。
数値ベースの客観的な情報を多く収集し分析することで、現状を正確な分析結果を得られるでしょう。
□分析期間など条件を明確にする
分析期間など条件を明確にしましょう。
特にチームなど複数人で分析する際は、分析期間や競合の範囲などに認識のずれがあると、正しい情報を収集できません。
上記の条件を明確にし、チーム全体で共通認識を持つことでより正確なデータを収集できます。
まとめ
5フォース分析は、外部環境を5つの要素で分析し、効果的な経営戦略を打ち立てるのに役立ちます。
数値ベースの客観的なデータで各要素を評価し、正確な分析結果を出した上で経営戦略に反映させましょう。
今回の内容を参考に、5フォース分析を行い、売上拡大など自社の経営目的を達成しましょう。
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