通販エキスパート協会の渡辺です。
未曽有の大災害から1カ月が過ぎましたが、被災した方たちはまだ厳しい生活を強いられているようです。現地のサポートに携わっている救急支援・医療関係やボランティアの皆さまに心から敬意を表するとともに、何もできない自分にただただジレンマを感じております。そんな私に可能なのは微力ながら“経済復興への第一歩”と言いきかせつつ、今回も「通販検定」の問題を作成してみました。
「特定商取引法」は通販事業者に必須な法律!
Q:特定商取引法について、間違っているものを一つ選べ。
1)監督官庁は消費者庁である
2)通販の対象は、指定された商品と役務だけである
3)通販とは新聞や雑誌、チラシ、テレビなどの広告等を見た消費者が、郵便や電話、FAX、インターネットなどで購入の申し込みを行う取引方法である
4)電話勧誘販売は、通販から除外されている
「特定商取引法」は通販を規制する基本的な法律と位置付けられていて、どのような媒体で通販を行う場合も必ず順守しなくてはなりません。商取引の中でも消費者トラブルが生じやすい手法が対象で、「通信販売」「訪問販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)」「業務提供誘引販売(いわゆる内職商法)」「特定継続的役務提供」の6つの取引を規制しています。ただ、「通信販売」は(社)日本通信販売協会という業界団体があり、自主規制も進んでいるため、他の5つの取引に比べると消費者トラブルが少ないといえるでしょう。
その証拠として、他の5取引に導入されている「クーリングオフ」が通販には適用されていません。「不意打ち性」が避けられない他の取引とは違い、通販は消費者がじっくり考える時間があるうえ、自分から注文というアクションを起こさない限り契約は成立しない取引だからです。「クーリングオフ」は一定期間内であれば消費者が無条件で契約を取り消すことができるという規制で、「訪問販売」「電話勧誘販売」「特定継続的役務提供」は書面を受け取った日から8日間、「連鎖販売取引」「業務提供誘引販売」は20日間と決まっています。一般的には「8日間」と思われがちですが、消費者が断りにくかったり騙されやすい取引については長めに設定されてあると言って差し支えないでしょう。
「特定商取引法」はもともと経済産業省が管轄しており、現在も実質は同省が運用しています。ただ、消費者行政を一本化するという目的により2009年9月に消費者庁が発足したことで、それ以降は消費者庁が管轄官庁ということになりました。これについては「景品表示法」「JAS法」「消費生活用製品安全法」など通販に馴染みが深い他の関連法律も同じで、消費者庁の傘下に入ることになったのです。
これまで「特定商取引法」では、規制する商品や役務が決まっていました。ほとんどの商品・役務が対象となっていましたが、悪質な事業者が法の網の目をかいくぐり次々と新手の役務などを販売するため、追加規制との“いたちごっこ”となっていたのが実情でした。そこで、こういった事態を解決すべく、2008年には基本的に「すべての商品・役務」を規制対象にするように法律が改正されたのです。法律用語で言いますと、従来の「限定適用方式」が「原則適用方式」へと変わったことになります。
ただ、「すべての商品・役務」が対象になったとはいえ、規制の対象から一部商品や役務を外す「適用除外」も盛り込まれました。例を挙げますと、「出前」はこの法律にそぐわないということで対象から外されました。また、保険や金融、旅行といった役務に関しても、特定商取引法よりもさらに厳しい専門法律で規制がかかっていることから、適用除外と決まったのです。この法改正により、悪質事業者と法律の“いたちごっこ”にようやく終止符が打たれたということになります。
さらに「特定商取引法」において、通販は「販売業者や役務提供事業者が郵便などによって契約を結ぶ」ことであり、「新聞、雑誌、テレビやネットなどを見た消費者が、郵便や電話、FAX、ネットなどで購入申し込みを行う取引方法」と定義されています。定義の一番初めに「郵便」が使われているのは、通販ではかつて郵便が主流だったことを示しています。また、定義では「電話勧誘販売に該当する場合を除く」ともなっており、これは電話勧誘販売が独立した販売手法であることを指しているわけです。
ということで、解答はもちろん2)です!
今回は法律ということでちょっと難しかったかもしれませんが、法律を順守しなくてはまともな商売はできません。中でも「特定商取引法」は通販事業者やECショップに必須な法律ですから、ぜひ覚えておいてください。詳しい法律内容を知りたい方は、経済産業省トップページの「特商法」をクリックすればOKです。
また次回をお楽しみに!
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