(株)電通が2月28日発表した「2018年の広告費」によると、2018年の総広告費は前年比102.2%の6兆5300億円で、7年連続のプラス成長となった。
インターネット広告が「日本の広告費」全体を牽引
企業収益が好調であることや、インターネット広告が総広告費全体をけん引したことが総広告費の増加につながった。
市場全体は構造変化の最中で、ネット広告だけで解決できないマーケティング課題を、既存媒体との組み合わせで解決する統合ソリューションがより深化し、データやテクノロジーを活用して各媒体の強みをさらに高める取り組みがさらに増加した。
マスコミ4媒体の広告費は同96.7%の2兆7026億円(構成比41.4%)、インターネット広告費は同116.5%の1兆7589億円(同26.9%)、プロモーションメディア広告費(屋外・交通・折込・POP・展示・映像など)は同99.1%の2兆685億円(同31.7%)だった。
マスコミ4媒体は「日本の広告費」で4年連続の前年割れ
ネット広告は7年連続でプラスとなったが、マスコミ4媒体とプロモーションメディア広告費は4年連続して減少した。また、プロモーションメディア広告費のうち「展示・映像ほか」については、7年連続でプラスとなった。
媒体別では、「新聞広告費」が同92.9%の4784億円(構成比7.3%)、「雑誌広告費」が同91%の1841億円(同2.8%)、「ラジオ広告費」が同99.1%の1278億円(同2%)、「テレビメディア広告費」(地上波・衛星メディア関連)が同98.2%の1兆9123億円(同29.3%)となった。
インターネット広告費では運用型広告が約8割
ネット広告費は、媒体費が1兆4480億円(同118.6%)、制作費が3109億円(同107.7%)となった。ネット広告媒体費のうち、運用型広告費が1兆1518億円(同122.5%)とネット広告の約8割を占め、大きく成長した。自社プラットフォームを保有する媒体社も運用型の機能拡充とその広告販売に注力し、各種コンテンツメディアについては、収益基盤となる運用型広告プラットフォームの活用を進めている。また、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費(582億円)は、初の計測だが前年比二桁成長と見込まれ、急成長している。
ネット広告費には含まれていない「Eコマースメディアにおける広告市場」も急速に成長し、その動向が注目されている。
雑誌広告は電子出版が11.9%増
新聞広告費は、販売部数とページ数がともに減少し、前年に引き続き減少傾向となった。冬季五輪(2018年平昌)、自然災害お見舞広告、FIFAワールドカップロシア大会などがあったって企業広告などが増加したが、全体としてはマイナスで推移した。
業種別では、シニア向け通販系医薬品などを含む「薬品・医療用品」「飲料・嗜好品」が増加した。一方、前年の衆議院選挙などの反動減で「官公庁・団体」がマイナスだった。
雑誌広告費も前年を下回った。紙の出版物推定販売金額は、同94.3%と14年連続でマイナスとなった一方、電子出版市場は同111.9%と、前年に続き二桁成長となった。業種別では、「エネルギー・素材・機械」「家庭用品」などが増加した。トップ業種である「ファッション・アクセサリー」などは前年に続き減少した。
ラジオ広告・テレビ広告も広告費が減少、DMはカゴ落ち対策としての利用が増加
ラジオ広告費は3年ぶりのマイナスとなった。その要因の1つが、トップ業種である「外食・各種サービス」が同97.1%に減少したこと。業種別では、通販などの「流通・小売業」が同114.9%と成長したほかや、「精密機器・事務用品」(同120.3%)、「自動車・関連品」(同104%)など、13業種が増加した。
テレビメディア広告費は、地上波テレビが同98.2%の1兆7848億円、衛星メディア関連が同98.1%の1275億円だった。番組(タイム)広告は冬季五輪、FIFAワールドカップ、第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ)などのスポーツ番組が貢献した。
DM(ダイレクト・メール)は同99.4%の3678億円だった。ネット広告だけでは取り込めない顧客を、紙のDMで取り込もうとするケースが顕著に見られた。特に通販では、ECサイト上で「かご落ち」(買いたい商品を購入予定フォルダに入れたままにすること)した人に対して、紙のDMをタイミングよく送付して、購買につなげる紙とウェブの連携企画が進んだ。
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