IT専門調査会社 IDC Japan (株)はこのほど、2019年上半期までの実績に基づいたソフトウェアとアプライアンス製品を含めた国内の「情報セキュリティ製品市場」と、「セキュリティサービス市場」の2019年から2023年までの予測を公表した。
クラウド環境のセキュリティ製品が需要増
同調査によると、情報セキュリティ製品市場で、ソフトウェア製品の19年の市場規模は前年比3.8%増の2638億円で、うちSaaS(Software as a Services)型セキュリティソフトウェアは同14.5%増の325億円。セキュリティアプライアンス製品は同2.6%減の536億円。セキュリティサービスの市場規模は、同4.9%増の8275億円と、それぞれ予測している。
情報セキュリティ市場は、家庭向けPCの出荷台数の増加やクラウドシフトによるクラウドアプリケーションへのアクセス管理やID管理といったクラウド環境に対するセキュリティ製品への需要が高く、18年よりも高い成長率で市場が拡大すると予測した。
またセキュリティアプライアンス市場は、UTM(Unified Threat Management)製品が引き続き市場を牽引しているが、IT環境のクラウドシフトが進むことで、メッセージングセキュリティやWebセキュリティを中心にSaaS型セキュリティソリューションへニーズが移行しているため、アプライアンス製品への需要が低下すると予測。セキュリティサービス市場は、IT環境のクラウドシフトが進むことでクラウド環境へのセキュリティシステムの構築や運用管理サービスの需要が拡大すると予測した。
東京五輪でサイバー攻撃多発の懸念も
20~23年にかけては、消費税の増税による景気の下振れリスクが高まると見込まれるものの、東京オリンピック・パラリンピックの開催によって、サイバー攻撃の多発が見込まれることから、防御や検知、対処を行うセキュリティ製品への需要が拡大すると見ている。
また、DXの拡大と20年秋から制度の活用開始が予定されている「クラウドサービスの安全性評価制度」によってパブリッククラウドサービスの活用が促進し、パブリッククラウド環境に対するセキュリティ対策としてSaaS型セキュリティソリューションの需要拡大を見込んだ。
海外におけるデータ保護規制ばかりでなく、国内の個人情報保護法の見直しも検討されており、データ保護規制も強化されることから、暗号化やDLP(Data Loss Prevention)などの情報漏洩対策製品、アイデンティティ・デジタルトラスト製品や脆弱性管理製品などの内部脅威対策製品への需要も拡大が見込まれる。
23年にはセキュリティサービス市場が9784億円に拡大すると予測
こうした背景から、国内セキュリティソフトウェア市場の18~23年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.4%で、市場規模は18年の2541億円から23年には2997億円に拡大すると予測した。
特にSaaS型セキュリティソフトウェア市場は、IT環境のクラウドシフトが進むことでクラウドサービスを安心安全に活用するためのクラウドセキュリティへのニーズが高まり、SaaS型セキュリティソフトウェア市場は、18~23年のCAGRは13.0%で、市場規模は18年の283億円から23年には521億円に拡大すると見込んだ。
国内セキュリティサービス市場は、クラウドシフトによってクラウド環境へのセキュリティシステムの構築や運用管理サービスの需要拡大と重要社会インフラ事業者でのセキュリティサービスのニーズの高まりで、18~23年のCAGRは4.4%、市場規模は18年の7890億円から23年には9794億円に拡大すると予測している。
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