(株)ディーエイチシー(DHC)が7日公表した「シニアの健康寿命と栄養摂取に関する意識調査」によると、普段の食事で十分に栄養が摂れていると考えている人は3人に2人。健康に自信があるという人は半数近くという結果に――。50~70代の男女1236人に聞いた。
隠れフレイル・サルコペニア防げ!
DHCによると、高齢化社会の進展に伴って「健康寿命の延伸」への関心が高まっている。それには、適度な運動と適切な栄養素の摂取が重要だが、意識していてもなかなか難しく、「フレイル」や「サルコペニア」と呼ばれる症状に陥ってしまう人も少なくないという。そんなことが調査のきっかけになった。
「フレイル」とは、加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下すること。健康な状態と日常生活でサポートが必要な要介護状態の中間を意味する。「サルコペニア」は、加齢や疾患で筋肉量が減少し、握力や下肢筋、体幹筋など全身の筋力低下が起こること。
70代は運動による健康管理に自信
シニアにとって「健康」は最大の関心事で、70.6%が「関心を持っている」と回答。普段からウオーキングや散歩などの運動をしている人は65.3%に達した。そんな人たちに「健康への自信」を聞いたところ、「ある」が45,6%。男女とも70代が最も自信を持っていた。
栄養の摂取については、「普段の食事で十分に摂れている」と考えている人は65.8%。「健康のために「必要な栄養素」は、ビタミンとタンパク質が2大栄養素と答え、「意識的に摂っている栄養素」も同様だった。タンパク質の重要性は多くのシニアが理解していた。
1日に必要なタンパク質量(男性50~70代の推奨量60g、女性同50g)を示し、認知を尋ねたところ、「知っていた」は11.7%と低い結果だった。「毎日摂取できているか」には、「できていない」が53.8%だった。意識と実態のズレは「フレイル予備軍」の危険性も。
「カロリー取りすぎ」実感は半数超
「カロリー摂取」への意識では、メタボ対策について「バランスのいい食事」が42.6%、「運動」が39.1%、「カロリーを抑えている」が27.6%という結果だった。「カロリーを摂りすぎている」と感じている人は53.4%に達し、「カロリーを気にする一方で、タンパク質量が必要量摂れていない」という状況が明らかになった。
「健康寿命」という言葉や意味合いには高い認知・関心があったが、「フレイル」と「サルコぺニア」の認知は、まだまだ低い状況だった。用語としての認知はそれぞれ、「健康寿命」が92.5%、「フレイル」が23.5%、「サルコペニア」が34.1%。20年度から導入される「(75 歳以上が対象の)フレイル健診」の認知は10.3%にとどまっていた。
「サルコペニア」の症状について自覚症状の有無を確認したところ、最も多かったのが「歩くスピード」で39.3%、「握力」も36.1%いた。
結果を踏まえ、東大の秋下雅弘教授は「フレイル、サルコペニアの認知度は低いが、社会の流れから、今後は飛躍的に高まっていくのではないか。普段の食事で十分に栄養が取れていると感じている人が 6 割を超えたことは驚き。シニアにとって栄養補給への過信は、、フレイル、サルコペニアに陥る危険性もあり、注意が必要だ。メタボ対策をしている人が7割超という結果もあったが、中年期のメタボ対策一辺倒から頭を切り替え、そろそろフレイル、サルコペニアの対策が必要な時期に差しかかっていると考えてほしい」とコメントしている。
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