新型コロナウイルス感染拡大や外出自粛などが続く中、(公社)日本広告審査機構(JARO)は7日、関連する広告や表示の苦情が1~3月までの間に118件寄せられたと明らかにした。
広告の不適切表現は68件
寄せられた苦情から、キーワード「コロナ」「ウイルス」「新型」「肺炎」で抽出し、その中から無関係なものを除いた118件を整理した結果、マスクの高額販売や欠品しているのに広告に掲載するなど、表示に関する案件が50件。感染拡大などに関連づけた不適切な広告表現に関する苦情が68件だった。
「表示」に関する主な苦情内容は、《便乗と思われるもの・20件》が、「エアコン洗浄の広告に『新型コロナウイス対策に分解洗浄を』などと表示し、『必須』とまで書いてある」「自動車の内装が抗菌加工されていることを、ウイルスに効果があるかのように表示している」
ウイルス対策効果を標榜するものも
《効果をうたっているもの・17件》では、「新聞広告にウイルスを寄せ付けないなどとうたった健康茶が掲載されている」「ペット用マウスウォッシュに『新型コロナウイルスに効果がある』などと表示し、SNSや自社サイトで新型コロナに有効との宣伝を繰り返している」
《対象範囲を誤認させるもの・6件》では、「ラジオショッピングでウイルス対策グッズを販売しているが、何のウイルスに効くかも分からない」。 《価格に関するもの・9件》では、「マスクを通常の5倍以上の値段で販売する広告を載せるのは新聞としていかがなものか」
《欠品・遅延、おとりが疑われるもの・8件》では、「(マスクが)入荷しないのであれば、広告に訂正を入れるなり、店の前に張り紙をするなど対応すべきではないか」。《虚偽と思われるもの・3件》では、「ウイルス除去をうたう首から下げる雑品だが、偽りの効果をうたう商品として幾つかの国では販売が禁止されている」
「広告表現が不適切」などの意見では、《不謹慎・不適切とする意見・34件》が、「くしゃみをするときに手で口を覆っている広告があるが、厚生労働省などが肘などで覆う咳エチケットを推奨している」「金融機関のメルマガに、『感染拡大なるか』『リスク回避』と書かれている。死者が出ている事象を金融リスクと結び付け、扇動しているかのような表現だ」
旅行などのCM「時期不適切」と苦情
《時期が不適切とする意見・18件》では、「なぜこの時期に旅行の広告をするのか違和感を覚える」「外出自粛要請が出ている時期にアミューズメント施設のCMが流れている。若者が集まる施設の広告は不適切ではないか」
JAROによると、「コロナ禍」の影響で、商品の欠品や遅延、イベントの中止、施設の閉鎖などが起こり、図らずも広告と一致しないケースが出た。一方で、「新型コロナウイルス」と安易に表示(暗示)する便乗広告や、実証されている範囲を誤認させる広告、ウイルスへの効果をうたう広告など、広告規制に違反するおそれのあるものも見られた。マスクの通信販売については、引き渡し時期が「入荷次第」という特定商取引法に違反する広告も見られた。
欠品マスクの広告掲載続くケースも
WEB広告については、広告の仕組み上、やむを得ないのか意図的なのか判別できない苦情が寄せられている。「SNSで大手通販サイトのマスクの広告が毎日掲載されるが、サイトではずっと前から欠品している」「ゲームサイトに大手通販サイトのバナーが出てマスクが800円と書かれているが、サイトに飛ぶと6000円からだった」などだ。広告ではないが、フリマサービスで出品されたマスクや除菌剤が「模倣品」「空のボトル」という苦情もあった。
まずは3月分までをまとめたが、JAROでも、感染拡大防止の事務局体制を敷き、広告を審議する委員会をオンラインで開催するなどの試みを続けている。消費者には、問題があると思われる広告を見かけたら寄せてもらうよう、引き続き呼びかけていくとしている。
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