総合マーケティングビジネスの(株)富士経済が20日発表した「化粧品業態別販売動向とインバウンド実態調査 2020」によると、「公式通信販売」のチャネルは、店舗販売の需要がシフトすることで伸長するメーカーもみられ、コロナ禍の中での微増が見込まれている。
19年のインバウンド市場、舗販売が8割
ドラッグストアや百貨店などに加え、通信販売直営店やライフスタイル提案型直営店など、多様化が進む国内化粧品の販売チャネルの市場を調査し、結果をまとめた。調査では化粧品の店舗販売13チャネル、無店舗販売3チャネルの計16チャネルの市場動向を分析するとともに、各販売チャネルのインバウンド動向も捉えた。
販売形態別の国内化粧品市場は、店舗販売の市場規模が大きく、2019年は小売りベースで3兆5778億円となり(全体は4兆4790億円)の79.9%を占めた。14年に化粧品が消費税免税対象となって以降、百貨店やドラッグストア、ディスカウントストア、家電量販店、空港型免税店といった訪日外国人観光客が立ち寄るチャネルの好調により伸長してきた。
一方、無店舗販売は、構成比の大きい訪問販売が苦戦しているものの、公式通信販売や通信販売卸の好調により、16年以降、伸びを示してきた。しかし、20年は新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗販売(3兆1945億円・19年比89.3%)、無店舗販売(8507億円・同94.4%)ともに市場縮小が予想される。
19年販売チャネル1位はドラッグストア、4.6%増の1兆6387億円
主要6チャネルの19年化粧品市場は、ドラッグストア、百貨店、訪問販売、公式通信販売、化粧品店、薬局・薬店、量販店の6チャネルが全体の8割以上を占め、ドラッグストアの市場(1兆6387億円・18年比104.6%)が大きかった。近年は訪問販売や化粧品店、薬局・薬店、量販店が低調な一方、インバウンド需要により百貨店(5655億円・同102.0%)が伸長してきた。
そのほか、通信販売直営店やメイクアップ商品の拡充で若年層の来店が増えているバラエティショップ、旗艦店や体験型店舗の出店が続くライフスタイル提案型直営店、百貨店ブランド直営店、Amazon.co.jpなどの通信販売卸が伸びており、化粧品販売チャネルの多様化が進んでいる。
20年は通販比率が増加傾向に
20年は新型コロナウイルス感染症の影響により、臨時休業する百貨店やショッピングモールなどの大型商業施設がみられ、対面販売を行う訪問販売などでは営業の自粛が行われたことから、これらのチャネルの構成比は低下する見込みだ。一方、ドラッグストアや公式通信販売、通信販売卸の構成比が高まるとみられる。
20年のドラッグストアは1兆5776億円を見込み、19年比では96.3%。新型コロナウイルス感染症の影響により、マスクをはじめとした衛生関連商品の需要が急激に増加したことで来店客数が増えたものの化粧品需要には繋がらず、市場は縮小するとみられる。
メーカーやブランドが直接販売する形態を対象とする公式通信販売は、19年は3807億円(18年比102.1%)で、20年は3845億円(19年比101.0%)を見込んだ。店舗販売品を展開する制度品系や外資系メーカーがECサイトでの販売に注力しているため、12年以降、市場拡大が続いている。また、通信販売は化粧品メーカーにとって参入しやすいチャネルであるため、多くのメーカーやブランドが新たに参入していることも市場拡大の要因となっている。
19年は、公式通信販売市場をけん引してきた上位メーカーが苦戦したものの、プレミアアンチエイジングといった新興メーカーや資生堂など、通販が主体ではないメーカーの伸長により市場は拡大。20年は、新型コロナウイルス感染症の影響により店舗販売での需要が通信販売へシフトすることにより伸長するメーカーもみられ、19年比1.0%増が見込まれている。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。