経済産業省がこのほど公表した2019年度「電子商取引に関する市場調査」によると、19 年の国内CtoC-ECの市場規模は前年から1500億円ほど増え、1兆7400億円に上っていることが明らかになった。市場規模の拡大には、フリマアプリ市場の急成長が貢献している。
CtoCは商品提供の向上が課題に
市場調査のまとめでは、国内CtoC-EC市場として、主にフリマアプリをめぐる動向について考察。フリマアプリが拡大に寄与した19年のCtoC-ECの市場規模を推計したところ、前年比9.5%増の1兆7407億円となった。CtoC取引は個人間に留まるものではなく、実際にはBtoB、BtoCの取引も含まれ、それらを含む数値だという。
二次流通であるCtoC-EC市場の運営者は、プラットフォーマーとして取引の場を提供する存在であり、実際に取引される商品は、販売者として市場に参加する利用者によって供給されている。従って、市場の拡大には商品を提供する利用者の参加拡大が不可欠となる。しかし、フリマアプリのプラットフォーマーの直近の動向を見ると、現在の同市場は、供給者と比較して購入者の人数がやや多い傾向にあると想定される。
「買う」は手軽だが、「売る」となると、出品や発送の手間などの懸念が伴う。取引されるモノが個人の手で市場に供給されない限り、CtoC-EC 市場は拡大しない。今後の成長を支える課題の一つに、商品供給力の向上が挙げられる。特にフリマアプリは急速に拡大したこともあり、売り手の数を増加させることが一層の市場規模拡大に向けて望まれている。
二次流通市場はメーカー側の新たなマーケティングの場に
一次流通と二次流通の関係性に関しては、その垣根を取り払う動きが見られる。二次流通市場は、一次流通によって製造・販売された製品が消費者の手で流入されることで形成される。一次流通の事業者の存在なくして二次流通の市場形成はなく、売り手の安定的な確保がテーマとなるフリマアプリ市場では、一次流通の存在は重要といえる。
一方で、一次流通の事業者の目には、二次流通市場は自社の領域を侵食する敵対関係の存在に見られることもある。だが、ブランドの認知が二次流通を入り口に広まることで、新品が欲しいとの消費者願望の芽生えから、恩恵を受けるというシナリオも考えられる。また、一次流通事業者から見れば、自社製品の消費者ニーズや競合他社に対するポジショニングの把握といった点で、二次流通市場は新たなマーケティングの場と捉えることもできる
メーカーは、自社の商品を継続して購入するブランドロイヤリティが高い顧客を多く確保することが命題だ。対応する手段の一つとして、二次流通と連携する向きもある。一次流通事業者と二次流通事業者がマーケット情報を共有するといった協働の動きが出てくる可能性がある。二つの流通市場でのビジネスをより高度に連携させる流れの中で、二つの市場のデータを共通化して統合的に運営するビジネスモデルの出現も予想される。
フリマアプリ市場の拡大は10~30代女性がけん引役に
フリマアプリの市場規模拡大は、10~30代の女性が牽引役だった。しかし、「メルカリ」の利用者層をみると、19年3月と比較して、同年11月は男性ユーザーと高齢者の増加という変化が見られた。フリマアプリが消費者に浸透し始めている証左といえ、安定的に市場規模が拡大し、社会の中で一定の役割をフリマアプリが担うとすれば、年齢や性別によって偏りのない利用者構成は好ましいと思われる。
CtoC-ECでは、偽ブランドや不適切な出品が社会的に話題となる状況が継続している。 取引の在り方に関する報告書をまとめた内閣府消費者委員会は、プラットフォーム事業者には、保証制度の充実やトラブルの未然防止、早期解決を図るための工夫を求めている。
また、CtoCは消費者が提供者側の立場にもなり得るため、提供者の役割として、関連する法令の確認と遵守、プラットフォームが提示しているルールや注意喚起の確認などを求めている。同委員会は、こうした提言とともに、引き続き「プラットフォームが介在する取引の在り方」について注目していくとしている。
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