独立行政法人国民生活センターがこのほどまとめた「2019年度の越境消費者相談の概要」によると、相談件数は2カ年連続で6000件を超え、そのほとんどが「電子商取引(オンラインショッピング)」。解約トラブルと詐欺・模倣品トラブルが多かった。
CCJのスマホ対応で相談件数が大幅増
国民生活センター越境消費者センター(CCJ)に寄せられた越境消費者取引に関する相談情報を集計した。詳細は「消費生活年報2020」にまとめ、10月に国民生活センターホームページ上に掲載する。CCJは、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口。11年度に消費者庁の調査事業として設置され、15 年度から国民生活センターの恒常的事業として運営されている。
それによると、寄せられた越境消費者相談の件数は6018件。18年度同様、6000件超えとなった。18年度にCCJのホームページをリニューアルし、スマートフォン対応にした影響もあり、それまでの4000件台から大幅に増加している。
相談のほとんどがEC、クレカ関連が最多で75%
相談は「EC」(97.9%)に関するものがほとんどで、海外旅行先などでの「現地購入」に関するものは1%台。決済手段は「クレジットカード」による支払いが最も多く、74.9%を占めている。詐欺的な事業者が好む傾向にある「金融機関振込」は 6.2%で、18年度の7.8%と比べるとわずかに減少した。はデビットカードや仮想通貨の相談もあった。
「解約トラブル」が15年度以降、最も多いトラブル類型で相談全体の56.8%となり、18年度よりさらに増えている。18年度に多かったPCソフトウェアの解約トラブルに関する相談が減少する一方、チケットの転売仲介サイトで購入したチケットの解約に関する相談が増加した。
また、インターネットサイト会員契約や、渡航認証の電子申請に関する相談も18年度と比べると増加している。次いで、「詐欺・模倣品トラブル」(「詐欺疑い」「模倣品到着」)が 12.3%と一定の割合を占めるが、18年度と比較すると「詐欺疑い」はやや減少している。
商品・サービスの「衣類」、スニーカーやブーツ等など「履物」、化粧品、バック・腕時計・装飾品などの「身の回り品」を見ると、18年度はこの三つで相談全体の 23.5%を占めていたが、19年度は「衣類」以外は減少し、相談全体の20%弱となった。うち「履物」については、相談件数が18年度の367件が、19年度は187件と半分程度となっている。
ネット購入の「航空券」関連の相談も増加
ネット経由で購入した「航空券」などの関する相談も多い。特に航空券は18年度の6.4%から8.2%に増加した。コロナウイルス感染症拡大防止の影響で、20年1月末ごろから航空券の解約に関する相談が増加したことが要因と見られる。
相手先事業者の所在地は、18年度に引き続き「アメリカ」(21.5%)が最多となり、続いて「スイス」(12.7%)、「中国」(10.1%)、「イギリス」(6.5%)の順で、この4か国で50.8%を占めている。 アメリカは役務・サービス、ソフトウェア、衣類に関する相談が多かった。
「スイス」はチケットの転売仲介サイトに関するトラブルが主な内容となる役務・サービスが大半を占め、件数は18年度の約2.3倍になっていた。中国は衣類、趣味用品、身の回り品、家電・家具、履物といった生活に密着した商品の模倣品に関する相談が多かった。
相談者の年代を18年度と比較すると、60歳以上の割合がやや減少する一方、20~30代からの相談の割合がやや増加している。
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