「消費者はいま、企業SNSをどう見ているのか」――。アライドアーキテクツ(株)が公表した「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査」によると、多くは企業のプロモーションに肯定的だが、コロナ禍を機に企業の印象が変わったとの回答も。社会や顧客、従業員への姿勢や行動を知る情報源として、SNSの影響の大きさも明らかになった。
SNS利用者の利用目的は「新型コロナの情報収集」が60%以上
調査は、緊急事態宣言が全国に拡大された直前の4月8~12日。少し前になるが、感染の再拡大が叫ばれる今、状況はさほど変わっていない。4157人のSNSユーザーに聞いた。
外出自粛で、SNSの利用時間が増えた割合は34.5%。うち、利用頻度が最も増えたSNSは「Twitter」が46%、「LINE」が29%。「Instagram」と「Facebook」はそれぞれ、13%と9%だった。利用目的は、すべてで「新型コロナウイルスに関する情報収集」が60%を超えていた。
目にすることが増えた2位に「企業公式アカウントの投稿」
目にすることが増えたのは、利用目的に沿った「コロナ関連情報」(82%)に次いで、27%が「企業公式アカウントの投稿」と答えていた。SNS上での企業公式アカウントによる発信そのものの回数が増えているというより、ユーザーの利用時間や頻度が高まる中で、自然と目にする機会が増えていると考えられる。
SNS上での企業活動に関して、企業側は宣伝活動や発信を一部控える動きもある一方、94%が肯定的だった。内訳は、40%が「いいと思う(不快感はない)」、33%が「経済を回すためにも、どんどんすべき(好意的に思う)」、21%が「方針を変更する必要はない」だった。
「サービス提供方針」「社会貢献の姿勢」に好感度アップ
コロナ禍以降、特定の企業への見方が変わった経験があるかという全員への質問では、44%が「プラスもしくはマイナス(あるいは両方)」の経験があると回答。消費者はコロナ禍での企業の行動をよく見ており、その情報源としてSNSの影響はとても大きいと考えられる。
企業への見方がプラスに変わった理由としては、60%が「サービス提供方針に共感した」、54%が「社会への貢献姿勢に共感した」、44%が「メッセージに共感した」。また、「その他」と回答したユーザーの中には、いち早くテレワークを導入するなど「従業員を大事する姿」から企業への見方がプラスに変わったとの意見が多数あった。
「アパホテルやホテル三日月などが、感染者の受け入れをいち早く表明した」「ローソンなどが、休校中の親子を助ける食事や教育サービスの無償提供を行った」「さまざまな企業がSNSを通じて料理、エクササイズ、衛生管理など暮らしに役立つ情報を提供している」――。
企業の都合を第一優先にする姿勢にマイナスな印象も
一方で、マイナスに変わった理由としては、「プラスに変わった理由」の真逆のエピソードが多数挙げられた。顧客や従業員のことを考えておらず、企業の都合を第一優先していると取られる姿勢は、消費者に確実にマイナスの印象をもたらしていた。
「外出自粛にも関わらず、旅行や店内での飲食を促すダイレクトメールやクーポンを何度も送ってくる」「営業停止や時間短縮をホームページや店頭などにきちんと表示していない」「月額サービスの休会を希望する顧客に耳を傾けようとする姿勢をまったく見せない」――。
アライドアーキテクツは調査のまとめとして、社会的インフラとしてのSNSの重要性高まっている。企業は「生活者と企業が直接つながることができる場」として、有効に活用していくべきだ。大掛かりな社会貢献活動に限った話ではなく、普段からの投稿で有益な情報提供を行ったり、キャンペーンなどの楽しい企画で会話を生み出したり、「画面の先の顧客のことを考えた企業行動」は、しっかりと生活者に届いている。
そして、企業はこんな今だからこそ、自粛だけではなく「自分たちができることは何か」を考えること、そして改めて自社の日ごろからの「顧客との関係性」を問い直し、信頼を結んでいくための1つの場としてSNSを活用していくことが重要だと考えられる――と考察している。
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