読書週間(10月27日~11月9日)を前に、(公財)日本財団が「読む・書く」をテーマに実施した恒例の「18歳意識調査」によると、読書が「好き」は6割に及び、読む冊数が多いほど文章を書くことが好きな割合が高いことが分かった。本を読む媒体は「紙」が約68%、「電子書籍」が約6%、「どちらも活用している」が26.4%だった。
読書が「好き」は59.7%、1カ月で読むのは「1~2冊」
調査は、次代を担う18歳の意識を知ることで新しい社会づくりに役立てたいと、日本財団が2018年10月から始め、今回で30回目。9月29日~10月5日に実施し、テーマに沿う形で印刷業や出版業/マスコミ、メディア関連/情報提供サービス、調査業/広告業を除いた全国の17~19歳の男女1000人を対象にした。
それによると、読書が「好き」と答えた人は59.7%。1か月で読む冊数は「1、2冊」が44.8%で最も多く、「全く読まない」人も32.7%いた。読書好きと、月に1冊以上読む人に「読む理由」を聞いたところ、共通して「本が好きだから」「内容に関心がある」が上位に挙げていた。
本のジャンルによって使い分けも
月に1冊以上読んでいる人の「媒体」は、「紙」が67.6%、「電子書籍」が5.9%、「どちらも活用している」が26.4%だった。まだ少ないものの、電子書籍には、携帯性や保管場所に困らないという点で利便性を感じていた。「どちらも」は、紙と電子書籍それぞれの良さがあるという意見や、読む場所や本のジャンルによって使い分けているという回答が多かった。
「紙」は、実物を得ることでの満足感。「手に紙として持って読む方が、読んでいる気になる」「ページをめくる感じが好き」「電子書籍より本を読んでいる実感がわいたり、ページをめくりながら読むことの楽しさを感じられる」という理由が多く挙がっていた。
新聞を読んでいる人は32.7%、2年前から14.8ポイント減少
また、文章を書くことについての質問では、「好き」が29.4%、嫌いが27.7%と拮抗。文章を書くのが好きな人は、読書が好きな人や月に3冊以上読む人でさらに10ポイント以上高い傾向が出ていた。書くシーンは、気軽さや手軽さを主な理由として「短文をSNSに投稿」(24.0%)、「写真を使ってSNSに投稿」(14.8%)が上位で、「手紙」は12.9%だった。
そのほか、コロナ禍の影響「読書量が増えた」人は4人に1人。新聞については「読んでいる」人は32.7%で、2年前の調査から14.8ポイント落ち込み、読む時間は「5~10分」(44.3%)、次いで「5分未満」(32.7%)という実態も明らかになった。
読書量の少なさに警戒
OECD加盟国の中でも、日本の生徒の「読解力が低下している」という指摘に関しては、65.4%が「好ましくない」と答え、自身の読解力について「低いと思う」という回答は38.2%だった。「国語に苦手意識」とともに、「あまり本を読まないため」「本を読む習慣がないから」など、普段の読書量が少ないために読解力が低いと判断したという回答もみられた。
これらの結果について、OECD教育・スキル局のシニア政策アナリスト・田熊美保氏は、「読書という行為は本の中の具体同士を抽象レベルで結びつける力も養うため、主体的行動のためのフレームづくりになっている。本を読むという行為自体が主体性の強化になっており、教育の現場では本を活用した学びがますます必要とされる」とコメントしている。
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