2020年はオンライン購入が広まった1年。小売業界は10年分の進化を遂げたとも言われる。マルチチャネルコマースプラットフォーム「Shopify」を展開する日本法人Shopify Japan (株)はこのほど、「コマースの新時代」でもある今年の「日本の消費者の購買傾向」と、急速に進化する業界の未来を示す、2021年に向けた「5つのコマーストレンド予測」を発表した。
調査は9月9日~28日。回答者は日本を含むアジア太平洋の4か国をはじめ、ヨーロッパの5各国、北米の2か国に在住する18歳以上の1万55人で、各市場と年齢構成を平準化させた。新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りとなった5つのトレンド。そして、それらが持続力を持つ理由と、20年以降もビジネスをうまく適応させる方法を探った。
予測1『ECの伸びに伴い、若い消費者層がビジネス環境を変えていく』
消費者は実店舗での買い物スタイルに戻ることを躊躇している。若い消費者層にオンライン購入へのシフトが多く見られ、このことはブランドのビジネスの方法を変化させる。
注視すべき日本のデータは、コロナ禍の渦中(3月中旬~9月中旬)、消費者の42%が年初と比べてオンラインでの買い物が増えた。若年層(18〜34歳)が牽引し、この層は59%(35~54歳の中年層は40%・55歳以上の高年層は34%)に達していた。オンライン購買の重要な要素は「無料配送」が60%、「配達日に関する明確な情報」が38%、「迅速な返品対応」が33%。この中で、高年層の66%は「無料配送」、若年層の78%が「スピーディーな配送」がより良い購買体験を作ると回答。中年層では59%、高年層では51%だった。
予測2『実店舗での小売販売は転換期に、地域のビジネスに新たな機会が生まれる』
変化に強い小売店は、ユーザーニーズに応えるためのテクノロジーやエクスペリエンスを追求する傾向に。消費者との距離が近いという点は大きなメリットで、新たな受取方法と配達方法を提供するストアは急増している。日本では、54%が「地域のビジネスから購入することは経済を助けるためにできること」と考えており、39%が「支援するため地域に根差したビシネスを探している」。しかし、28%が「コロナ禍以降の6か月間で商品を購入した」と回答していた。
他国でも日本と同じような調査結果が出ており、例えばスペインでは77%の消費者が「地域のビジネスから購入することは経済を助けるためにできること」としたが、実際に新型コロナウイルスの感染拡大以降に購入した人の割合は35%だった。
予測3『消費者は個人経営のストアで買い物をしたいと考えている』
個人経営のビジネスを応援したいという消費者の気持ちは高まっている一方、まだ購買行動には完全に反映されていない。スピーディーな無料配送、会話型コマース、購入可能なSNSなどの機能は、個人経営の小売店が利便性や信頼性を確保するのに役立つ。
日本ではコロナ禍以降、68%が「実店舗」で買い物をしており、62%が「この先6か月も買い物を続ける」と回答。高年層はその割合が若年層より高く(76%vs.49%)、この先6か月も実店舗の買い物を続けると答えた割合も若年層より高かった。(70%vs.45%)。他国との比較では、パンデミック中に実店舗で買い物をした割合は、国によって異なる結果が出ていた。ドイツでは日本と同様に80%の高齢者が実店舗で買い物をしたが、インドでは52%に留まっていた。
予測4『より多くの消費者が消費行動を通じて意思表示をする』
消費者のほとんどが地域のビジネスを支援していく。若年層の方がサステナブルに配慮した商品を選んで購入する傾向にある。
日本では26%が、サステナブルやグリーン商品に対して「好意的にとらえる」と回答。若年層の割合が高く(42%)、中年層は24%、高年層は19%となっていた。26%が購入のたびに寄付を行う小売業に対して好反応を示し、特に若年層に好意的にとらえる傾向(42%)。中年層(22%)と高年層(21%)では同じような結果が出ていた。他国と比較すると、日本の「26%」は大幅に少ない数字となっている。最も多かったのはイタリアで67%、続いてスペインで60%となっており、日本以外で最も低かったニュージーランドでも40%は同意していた。
予測5『現代の金融ソリューションは、ビジネスおよび消費者の銀行取引、金融取引、および融資のあり方を変える』
従来の金融機関は、起業家やスモールビジネスが直面する現状に共感を示していない。デジタルユーザーエクスペリエンスの質は、事業者にとって、特にビジネスを始めたばかりの場合に重要な要素だ。業歴の長いビジネスが、ビジネス経費の支払いにオンライン決済サービスを使っており、従来の銀行以外から融資を求めるビジネスが増えている。
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