(株)電通がこのほど発表した「2020年 日本の広告費」によると、総広告費はコロナ禍の影響などで前年比11.2%減の6兆1594億円となり、東日本大震災があった11年以来、9年ぶりのマイナス成長となった。その中で最も高い成長をみせたのが、インターネット広告の「物販系ECプラットフォーム広告費」。コロナ禍で物販系ECプラットフォーム自体が社会的にも大きな役割を果たし、それに連動して引き続き、高い成長率を見せた。
マスコミ四媒体・プロモメディア広告費が大幅に減少
「日本の広告費」は、「マスコミ四媒体広告費」(構成比36,6%)、「インターネット広告費」(同36,2%)「プロモーションメディア広告費」(同27.2%)に3分類される。20年はイベントや販促キャンペーンの延期や中止に伴い、マスコミ四媒体広告費とプロモーションメディア広告費の減少が大きく、総広告費が減少した。
20年の総広告費は、通年で6兆1594億円。特に4月に発出された緊急事態宣言以降、日本経済は大きく減速した。インバウンド消費がほぼなくなり、外出自粛で外食、交通・レジャーを中心に大きなダメージを受け、広告業界も余波を受けた。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10~12月には前年並みに戻りつつあったが、通年では前年を大きく下回った。
東日本大震災の11年以来、9年ぶりのマイナス成長となり、リーマン・ショックの影響を受けた09年(11.5%減)以来、11年ぶりの2桁減少。1947年の「日本の広告費」統計開始以来、2番目の下げ幅となった。
ECモール広告は24%増の1321億円に
そうした状況下、ECの恩恵も受け、通年で堅調だったのが「インターネット広告費」。社会のデジタル化加速が追い風となり、前年比5.9%増の2兆2290億円となった。前年に続くプラス成長への押上げ要因の1つとなったのが、「物販系ECプラットフォーム広告費」(ECモール広告)。総広告費の項目中で最も高い前年比24.2%増の成長率となり、1321億円を達成した。
電通によると、物販系ECプラットフォーム広告費は、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うECプラットフォーム(=物販系ECプラットフォーム)上で、当該のプラットフォームへ「出店」を行っている事業者(店舗あり事業者)が投下した広告費と定義。
Amazonや楽天市場内に投下した広告費など、ECプラットフォーム上に掲出される広告は、実際の消費の現場に近いところにメッセージを出せるというメリットがある。いわゆる店頭系プロモーション、屋外広告(OOH)的な役割も担いつつある。
ネット広告は運用型が進展、イベント・展示会・映像・折込が大幅減
「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模市場となった「インターネット広告費」は、運用型広告の活用がさらに進み、マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスの広告費「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」が803億円(前年12.3%増)と二桁成長。デジタル起点の広告販促活動がさらに進化・成長した1年となった。
一方、「マスコミ四媒体広告費」は、前年比13.6%減の2兆2536億円。6年連続の減少となり、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」とも、すべて大きく前年割れとなった。
さらに、「プロモーションメディア広告費」は前年比24.6%減となる1兆6768億円。「東京2020オリンピック・パラリンピック」をはじめとする各種イベントや、従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止に加え、外出・移動の自粛も影響し、通年で減少した。特に「イベント・展示・映像ほか」「折込」などが大幅に減少した。
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