総合マーケティングビジネスの(株)富士経済が24日発表した『通販・ECビジネスの実態と今後 2021』によると、コロナ禍で急伸した21年の市場は、前年比約10%増となる15兆円余を見込んだ。最も規模が大きい形態はEC需要で、カタログやテレビ通販などを吸収し、全体の約9割を占める。外出自粛などでネットスーパー市場の注目度が高まったのも特徴だ。
EC需要増、「カタログ通販」「テレビ通販」は減少
調査は20年12月~21年2月。通販・EC市場を形態別、商品カテゴリー別に調査・分析したほか、コロナ禍がマーケットに与えた影響と今後について総括した。
21年の通販・EC市場規模は15兆1127億円(前年比10.1%)増を見込み、22年は16兆4988億円(前年比9.2%増、20年比20.2%増)を予測した。「EC」が88%以上を占め、21年は13兆3092億円(前年比11.5%増)、22年は14兆6813億円(前年比10.3%増、20年比23.0%増)。「カタログ通販」や「テレビ通販」はECに需要が流出していることから減少している。
ネットスーパー市場規模は26%増の2990億円
市場規模はまだ小さいが、注目市場は流通系企業による店頭の食品・産直品などを、自社物流網を活用して配送する店舗発送型のサービス「ネットスーパー」。参入各社がネット対応を強化したことから、20年の市場は前年比26.7%増の2990億円となった。
21年は3297億円(前年比10.3%増)を見込み、22年は3550億円(同7.6%増)を予測。小売業態のDX化が進むとみられ、ネットスーパー専用の物流倉庫開設によるロジスティクスの強化や取扱品目数の増加などにより、引き続き市場は拡大すると予想している。
カテゴリー別市場では、実店舗購入の位置付けが圧倒的に高い「食品・産直品」が、ネットスーパーの展開強化とコロナ禍で、店舗主体の購入から通販利用にシフト。20年の市場は前年比19.4%増の2兆363となった。21年も高い伸びで拡大するとみられ、前年比14.1%増の2兆3226億円を見込んだ。
「家電製品・パソコン」は29%増の2兆5072億円、決済方法はクレカが8割に
「家電製品・パソコン」は、20年に量販店をはじめとする実店舗が一時休業や時短営業を余儀なくされたが、テレワークの普及によりECにおいてパソコン周辺機器の売り上げが大幅に増加。前年比29.4%増の2兆5072億円となった。21年以降も拡大するとみられ、21年の市場は同12.4%増の2兆8179億円を見込んでいる。
また、「書籍・ソフト」は、20年に書店やCD、映像ソフト販売店が一時休業や時短営業したことにより実店舗購入からの需要がECへと需要が流入。在宅時間の増加で読書や音楽、映画鑑賞のニーズが高まったことから、市場は前年比27.2%増の2兆1167億円となった。21年以降も好調に推移するとみられ、同14.2%増の2兆4177億円を見込んだ。
20年の決済方法別市場は、クレジットカード決済が全体の8割以上を占めた。今後は電子マネー決済に続き、スマホ決済の需要が増加するとみられる。スマホ決済は安価な決済手数料や入金の早さ、キャッシュバック目的で活用するユーザーが大幅に増加し、近年は通販事業者にもメリットのある決済方法として導入が増えている。高齢者のスマホ使用も急速に拡大していることから、今後主流になっていくことが期待される。
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