アドビ(株)がこのほど発表した「日本市場のデジタル経済動向(1~3月)」の調査と分析結果によると、他国との比較で日本の変動は緩やかだが、消費行動はオンライン化が進んで店舗での消費は避ける傾向にあり、オンラインショッピングについては、スマートフォンの利用が増えており、WEBサイトの滞在時間が短くなっていることが分かった。
日本のオンライン消費、1~3月は15%増の5400億円
同社によると、2021年の世界のデジタル経済は、オンライン消費が4兆2000億ドルを超えると見込んでいる。日本では、第1四半期(暦年)のオンライン消費額が昨年同期比15%増となり、50億ドル超(約5400億円)の増加となった。これは、同期間の米国の39%増、英国の66%増と比較すると、緩やかな増加だという。
一方で、日本の消費者のうち67%が、コロナ禍が始まる20年3月以前からオンラインで買い物をしており、残りの回答者のうちの80%が、今年になってオンラインで買い物をしたと回答。日本でも確実にオンライン消費への移行が進んでいることが明らかとなったとした。
1回の訪問でのサイト滞在時間が短縮傾向に
日本ではオンライン小売店への訪問が前年同期比で19%増となり、さらにオンラインでの注文額も同15%増となったが、サイト訪問から注文への転換率(コンバージョン)が低下した(同16%減)ことにより、この増加傾向が一部相殺された。
また、過去3年間で、日本の消費者がWEBサイトに滞在する時間は短くなっており、1回の訪問で閲覧するページ数が減り続けている。企業は消費者の求める商品を優先的に表示させたり、購入プロセスを簡素化したりするなど、限られた応対機会の中で購入に結び付けられるような措置を講じる必要があるとしている。
若い世代がスマホ経由で購入、世界に比べ日本は店舗購入を回避する傾向に
第1四半期売上高の61%はスマホ経由による購入で、米・英・仏などの他国と比べると日本が最も高かった。年代別では、ミレニアル世代で65%、X世代(Gen X)で48%と、特に若年層が高い傾向にあった。モバイルアプリなどの拡充で利便性が高まっていることや、パソコンを持っていない消費者にもオンラインショッピングが浸透していることがうかがえる。
米国、英国、日本のうち、日本の消費者は前年と比較すると店舗への訪問を避ける傾向が強くなっており、3か国で最も高い35%を記録した(米国23%、英国26%)。これは主に、ワクチンの接種が遅れている点や、度重なる国内での感染拡大が起因しているとした。
日本では家電製品の価格が上昇
日本では、家電製品の価格が継続的に上昇している。自宅で過ごす時間が増えた影響により、空気清浄機や掃除機など快適な住環境の構築から、トースターやホットプレートといった自炊を支える調理家電まで、日常生活の拡充に関心が高まるにつれ、家電製品全体の需要が喚起されたと考えられる。アパレルの価格では、昨年の春から秋にかけて急落と急上昇があったが、2度目の緊急事態宣言が発出された1~3月で再び大幅に下落した。
日本のオンライン消費の打ち分け、1位は食料品・2位は健康・美容用品
日本の消費者が過去4週間にオンラインで購入した商品を見てみると、食料品(43%)、健康・美容用品(29%)、衣類(28%)、家電製品(20%)の順だった。この4つのカテゴリーがオンラインの売上高を牽引していることが明らかとなった。
さらに今回の調査では、日本の消費者のうち半数以上(52%)がコロナ禍以前の状況に戻ったとしても、オンラインと店舗での消費行動は変わらないと回答していることから、企業は店舗からオンラインに移行している顧客、またその両方を併用する顧客のニーズを迅速に理解し、最適な顧客体験をリアルタイムで提供していくことが求められているとしている。
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