政府がこのほど公表した「2021年版 高齢社会白書」によると、コロナ禍の影響もあり、相談や世話をする友人が減っていることや、インターネットで情報を収集したり、ショッピングをする暮らしぶりが浮き彫りになった。内閣府は、地域社会から孤立しないよう、情報通信技術の活用を支援し、オンラインでの交流などの実施を促すことが必要だとしている。
「高齢化率」は28.8%、2065年には38%に
高齢社会対策基本法に基づく白書は、1995年から毎年国会に提出している年次報告書で、高齢化の状況や取り組みについて明らかにしている。また、5年ごとの国際比較調査の結果も盛り込んだ。日本、米国、ドイツ、スウェーデンの60歳以上、計約5千人が回答した。
実は、白書には高齢者の定義はない。定義と区分に関しては、日本老年学会・日本老年医学会が「75歳以上」を提案。同じく内閣府の「高齢社会対策大綱」でも、「65歳以上」を一律に高齢者と見る一般的な傾向は、もはや現実的なものではなくなりつつあるとしている。
20年10月1日現在、65歳以上は3619万人で、「高齢化率」は28.8%。65~74歳は1747万人で、総人口に占める割合は13.9%。75歳以上は1872万人で同14.9%。2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上と推定されている。
60歳以上の63%が「日々の暮らしで経済的に困ることはない」
そんな高齢者の暮らし向きは、60歳以上の63.6%が「日々の暮らしで経済的に困ることはない」と回答。70~74歳を除き、「困っていない」とした割合が6割を超えており、特に80歳以上では67.4%となっていた。
ただ、平均所得(18年)は312.6万円で、その他の世帯(664.5万円)の約5割。差は大きいが、世帯人員数が少ないほど生活コストが割高になるなどの影響を調整した平均等価可処分所得は218.5万円で、その他の世帯(313.4万円)の約7割となっている。
60歳以上の90%超が「健康か病気にかからず」
60歳以上の健康状態に関しては、各国とも「健康である」「あまり健康とはいえないが、病気ではない」の合算がいずれも90%超。15年と比べると、日本は、「健康である」とした割合が64.8%から50.8%に減少した一方、「あまり健康とはいえないが、病気ではない」とした割合が29.4%から40.9%に増えていた。
また、「互いに相談し合ったり、病気の時に助け合ったりできる」割合は各20.0%、5.0%で、日本が最も低かった。
ネットで情報収集・EC利用の高齢者が5年間で15ポイント増
コロナ禍もあり、ネットで情報を集めたり、ショッピングをする高齢者が大幅に増えている。60歳以上で15年比15.2ポイント増となる31.7%に上った。過去1年間のネット利用動向をみると、80歳以上が37.2ポイント増で、70~79歳が35ポイント増、60~69歳が26.1ポイント増。さらに、FacebookやTwitter、Line、InstagramなどのSNS利用は12.6%。普段使っている情報通信機器はスマートフォンが44.5%、パソコンが31.1%だった。
一方、情報機器を使わない理由を15年と比較すると、「必要性を感じない」が70.4%から49.2%と減少する一方、「使い方がわからない、 面倒」が26.8%から50.3%へと増加していた。 情報機器の必要性は感じているのだが……、という様子がうかがえる結果となった。
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