2022.03.29 コラム
データ分析入門:分析すべき理由と手法
デジタル化が進んでいる現代では、データはより身近なものとなりました。ビジネスの場面で、以前は担当者の「勘」に頼った仕入れや販促などの判断をしている企業も多くありましたが、お互いのオンラインビジネスでは特に、データ分析が欠かせません。オンラインでもオフラインでも、ビジネスの現状把握や課題解決のヒントを探すには、データを分析して客観的に原因や対策を立てていくことがますます重要になってきています。競争が激化している現代のビジネスシーンにおいて、データ分析は必要不可欠になってきているといえます。ここでは、データ分析を始めて間もない人が直面する疑問や、必要な知識などをひと通り解説していきます。
データ分析とは?
データ分析とは、数値や文字などの情報を集め、収集したデータの中から目的に合った情報を抽出し、整理・解析することです。
ビジネスで直面している状況や課題について、「データ」という客観的な根拠を分析することで、効果的な判断や改善方法の発見ができるようになります。
例えば、顧客の購買履歴を分析して、商品の仕入れや販促活動を変え、売り上げ向上に生かすことができます。また、昨今ではビジネス全体のデジタル化が進んでいるため、Web広告やアクセス解析などに関するデータも集めやすくなり、時にはビッグデータも瞬時に取り扱えるようになりました。
データの量も種類も急激に増え、より身近になったデータ分析を上手に活用すれば、未来の傾向や実践すべきアクションを予測することができるのです。
データ分析は何に役立つ?
さまざまな種類のデータを手に入れやすくなった現代ですが、データ分析は何に役立つのでしょうか?
ビジネスの場面でのデータ分析は、主に下記の3つの点で価値があるといえます。
◎顧客ターゲット層の精度を高める
広告や販促キャンペーンを行う際に、関心のない顧客グループに向けて施策を行ったのでは、せっかくかけたコストや時間が無駄になってしまいます。
データ分析を行えば、顧客ターゲット層の精度を高めることができます。どの顧客層にどんな商品やサービスが売れるのか、またどんな顧客層では反応が薄いのかなど、収集したデータを通じてターゲットに関する情報をより正確に捉えることができます。"
◎ターゲット顧客をよりよく知る
データ分析では、商品や販促キャンペーンが、ターゲット顧客に対してどの程度うまく機能しているのか知ることができます。
ターゲット顧客の購買習慣、予算、関心分野などについて、統計を出し仮説を立てることができます。このようなデータは、適切な価格設定や広告の長さ、さらには今後消費されるであろう商品の量などを予測するのに役立ちます。
◎運用コストの削減
さらに、データ分析では運用コストの分析が可能です。自社のビジネスについて、領域ごとにかかったコストや時間、効果などを分析してみましょう。どの領域にもっと予算や時間が必要で、どの領域は縮小していくべきかが明確になるでしょう。
その他にも、精度の高いデータを収集することにより、今後の予測を立てたり課題の解決方法が見つかることがあります。
データ分析の種類
データ分析の種類には様々なものがありますが、代表的なものとして下記の4つが挙げられます。
◆統計分析
統計分析は「何が起こったのか」ということを明らかにします。収集した大量のデータを分析し、さらにモデリングや解析などを行うことで、状況を客観的に把握していきます。統計学などにも通ずるデータ分析方法です。
◆診断分析
診断分析は、「なぜこれが起こったのか」ということを読み解きます。統計分析から得られた洞察をもとに、データのパターンを見つけていきます。過去に存在した同様のパターンを見つけ、そこから現在の課題へのソリューションを導き出します。
◆予測分析
予測分析は、「何か起こる可能性が最も高いか」という将来起こりうる事象に対しての仮説を立てる分析方法です。現在の事象だけでなく過去のデータにもみられるパターンを通じて、未来に起こることを予測します。100%正確な予測というものはありませんが、より詳細なデータや経験値があれば精度の高い仮説を立てることができます。
◆処方分析
分析から導き出したい目的によっては、1つのデータ分析方法だけでは問題を解決できない場合があります。そんな時は、複数の異なる分析タイプを組み合わせて、それぞれの分析結果を総合して洞察や仮説立てを行っていきます。それが処方分析です。
おさえておきたい定量分析/定性分析
データ分析の種類は色々ありますが、それらは「定性分析」と「定量分析」の2つに分類することができます。これらはマーケティングでも活用できる分析方法の区分です。
◇定量分析とは
定量分析は、「数値データ」という観点から分析を行う方法です。アクセス解析や業績データといった数値データから、「何が起こったか」を解析します。
例えば、「今年の売上は600万円で、前年より15%増加した」「このページでアクセス数が先月と比較して28%減少した」といった分析のことです。
◇定性分析とは
定性分析とは「質的データ」から分析を行う方法です。質的データとは、数値では表すことのできないターゲット顧客の「心情」を示すデータのことで、インタビュー、自由回答式のアンケート、行動観察調査、クチコミなどを通して集めることができます。
定性分析では、ある事象について「なぜそうなったのか」を読み解きます。
定性分析では、よりダイレクトなターゲット顧客の気持ちや具体的にどんな改善が必要なのかを判断することができます。
定量分析と定性分析の違い
定量分析では「客観的」、定性分析は「主観的」な観点からの分析が可能となります。
例えば売り上げが15%落ちた時、その理由を数値データだけで読み解こうとするのでは不十分です。そこで定性分析を組み合わせれば、数値には現れないターゲット顧客の気持ちを理解したり、行動についての疑問をより正確に解決していくことができるようになるのです。"
データ分析:6つのプロセス
データ分析はどのようにして行っていけば良いのでしょうか。一般的に、データ分析は下記のような6段階のプロセスで行われています。
(1)データ要件の定義
データ分析を行う目的、これから行おうとするデータ分析の種類、どんなタイプのデータを収集しようとしているかなど、データに関する要件を明確化させ、定義します。
(2)データ収集
定義した要件に基づいて、データを収集していきます。収集方法には、インタビュー、アンケート、アクセス解析ツールなどのデータ収集ツール、直接視察、ケーススタディなどが含まれます。
収集したデータは、この後のステップで効果的に分析するために整理しておきます。
(3)データのクリーニング
収集したすべてのデータが役に立つわけではないので、不要なデータをクリーニングします。空白、重複記録、エラーデータなどを削除し、収集したデータの精度を高めます。
どんなデータ分析の前にも、このデータクリーニングは必須です。
(4)データ分析
いよいよデータの分析を行いますが、その際にはデータ分析ソフトやソフトウェアなどのツールを活用しましょう。データ分析に役立つツールとして代表的なものは、Excel、Microsoft Power BI、Googleポータル、Sales Analitycsなどが挙げられます。
データ分析ツールを利用すれば、より分析精度が高く、スピーディーな課題把握と仮説立案を行うことができます。
(5)データの解釈
ここまでのステップで得られた結果を解釈し、状況や原因を突き止め、分析結果に基づいたベストなアクションプランを考案しましょう。
(6)データの可視化
データの可視化とは、「人が見て理解できる方法で、情報を視覚的に表示する」ということです。グラフ、チャート、マップ、箇条書きなどの方法が主流です。データを可視化することで、さらなるデータの比較や新たな視点からの洞察にも役立つのです。
データ分析でECをもっと効率的に
以上、データ分析を始めたばかりの人でもわかる、データ分析の基礎知識をご紹介しました。
無数の商品やサービスが生まれては消え、競争が激化している現代のビジネスにおいて、ライバルと差をつけていくにはより正確な現状把握と効果的な改善策の策定が欠かせません。
ここでご紹介したデータ分析に関する考え方や手法を活用し、自社のおかれている状況や直面する課題について解決のヒントとなれば幸いです。
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