総合マーケティングビジネスの(株)富士経済は18日、非接触ニーズや人手不足などの課題解決手段として注目が集まる『業務・サービスロボットの世界市場』の調査結果をまとめ、発表した。2021年は前年比20%増の2兆7410億円。高機能化による適応範囲の拡張によって市場は拡大するとし、30年には21年の2倍を超える5兆7628億円を見込んでいる。
非対面のニーズから様々な業種でロボットの需要が拡大
調査は21年12月~22年2月。医療・介護用、家庭用、オフィス・店舗用などの業務・サービスロボットをはじめ、AI・人工知能/RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を対象に世界市場を分析し、将来を展望した。
それによると、21年の業務・サービスロボット市場は、前年比20.0%増の2兆7410億円となった。「医療・介護用」は、医療従事者が専門業務に専念するため、補助金などの支援があり、「紫外線照射ロボット」などの導入が進んだ。また、移動制限や非接触ニーズによって遠隔手術や遠隔診療の必要性も高まり、「手術支援ロボット」も伸びた。
「家庭用」は、生活・生活空間をより豊かにしたいニーズが高まり、「家庭用清掃ロボット」と「家庭用コミュニケーションロボット」「スマートスピーカー」が伸長。今後もさまざまな家事ロボットニーズが生まれてくるとみられる。「オフィス・店舗用」は、オフィス人口の減少による管理業務の縮小や、飲食店の設備投資の減少がみられたが、非接触や感染予防策の観点から、「テレプレゼンスロボット」「デリバリーロボット(施設内)」「配膳ロボット」の需要が高まった。
21年デリバリーロボ市場はEC利用の急増などで2.1倍に
また、「建設/物流・搬送/レスキュー/インフラ/農業用」は、移動制限に伴って短期雇用が難しくなったことによる人手不足やEC拡大による物流の増加などを受け、「デリバリーロボット(屋外用)」などが伸びた。公道走行が許可されている米国や中国がけん引し、21年の市場は前年比2.4倍の43億円。日本では、道路交通法の改正で22年から一部小売店などで試験導入が始まるが、時間がかかる事業者もあり、緩やかな伸びになるとみられる。
国内市場はまだ小規模だが、EC利用の急増や非接触ニーズなど屋外での輸送ニーズも高く、公道走行の規制が緩和されれば、急速な普及が予想される。一般郵便物やEC商品の配送、フードデリバリー、医薬品の配送など幅広い用途での利用が期待され、法規制の課題はあるものの市場は拡大し、30年には21年比23.5倍となる1010億円が予測される。
業務・サービスロボット市場は30年に2.1倍に
医療・介護用や建設、物流・搬送などをはじめとする人手不足への対応や、高機能化、多機能化などにより、今後の市場拡大は必至。また、掃除以外にもさまざまな「家事ロボット」ニーズが生まれ、普及していくと予想されることから、業務・サービスロボット市場は、30年には21年比2.1倍の5兆7628億円が予測される。
また、「疾病診断支援ロボット」「コールセンター支援ロボット」「金融ロボット」「RPAソリューション」を対象とした「AI・人工知能/PRA」の世界市場は、医療や金融分野、コールセンターなどの需要増加により、21年市場は前年比25.8%増の1兆2750億円となった。デジタル化の基盤が急速に整備されたことで、今後もAI・人工知能を利用する業務が増えるとみられ、30年の市場は21年比で3.5倍となる4兆4910億円を見込んでいる。
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