(公社)日本ロジスティクスシステム協会は1日、今年で第39回となる『ロジスティクス大賞』を決め、大賞と準大賞、特別賞に選んだ4事例を発表した。表彰式は、9月に開催する「ロジスティクス全国大会2022」で実施する。
コープさっぽろに納品しているメーカー約400社と卸商8社の物流をDX化
『ロジスティクス大賞』は、ロジスティクスの社会的浸透と、ロジスティクス部門関係者の意識高揚を図ることを目的に創設され、企業で行われているロジスティクス高度化への取組みと、その優れた実績を顕彰。創造性、成果度、経営革新度、技術革新度、社会性、努力度の6つの評価基準に従って論文審査が行われている。
「ロジスティクス大賞」には、北海道ロジサービス(株)/(株)TSUNAGUTEが選ばれた。テーマは「製・配・販・輸送をコネクティッド、日本初の滑らかな物流DXを実現~コープさっぽろ納品関係者全ての連携~」。
コープさっぽろに納品している加工食品、飲料、菓子メーカー約400社と卸商8社、輸送事業者20社に、「各社独自に運用され、紙であふれる納品伝票」の非効率をはじめとした、物流情報連携の必要性と意義、達成手段などを1社ずつ説明することから始め、寸断されていた物流情報をクラウド型共通システムの活用で、「納品伝票の統一」「電子受領と製・配・販・輸送の情報連携」「可視化」を大きな規模で実現した。
400社超を巻き込んだ取り組み内容の規模と成果に加え、問題解決に向けた努力面、また得られた成果がもたらす経営面、社会面の革新度、波及効果などが高く評価された。
「ロジスティクス準大賞」は日立物流の完全無人ケース仕分けシステムが受賞
「ロジスティクス準大賞」には、(株)日立物流の「メディカル物流におけるオートメーションの新たな形~7社協創で挑んだ、日本初完全無人ケース仕分けシステムの開発~」。
医薬品を取り扱う物流センターでは、コロナ過でも現場を止めることはできない。感染リスクの低減にも限界があり、また労働力不足により現場での人員確保は困難を増している。取り組みでは7社共同で無人化、作業柔軟性、設備柔軟性、シェアリングを柱に、ロボットとAGVを中心とした省人化システム設計を実施した。
また、複数のメーカー・設備を組み合わせた最適運用を実現するための管理システムを新規に開発。ケース出荷作業におけるトータルピック以降の作業の完全無人化と自動化率80%を達成した。7社共同での取り組みといった規模を含めた経営面での革新度、さらに完全無人化の実現などの技術面での革新度がともに高く評価された。
「ロジスティクス大賞 特別賞」はエーディエフ/合通ロジが受賞
「ロジスティクス大賞 特別賞」は、(株)エーディエフ/(株)合通ロジの「組み立てが簡単な物流ボックスで積載率向上~荷役作業とCO2削減で人にも環境にも優しい物流を実現~」。
物流業界を担う作業者の肉体的な負担や作業時間の軽減、トラック内スペースの有効活用による積載率の向上に伴うCO2排出量の削減を狙いに、「ダンカーゴ」という物流・保管ボックスの導入で、積載効率と作業効率の向上を同時に実現。また、作業者の負荷も大幅に軽減されているなど、環境面だけでなく物流業界の持続可能な成長に寄与する成果が、具体性と将来の拡張可能性といった点から評価された。
同じく「ロジスティクス大賞 特別賞」には、ハコベル(株)/(株)TBMが選ばれた。テーマは「CO2の間接排出量(Scope3)のリアルタイム可視化システムの実現~業務負荷をかけずにCO2排出量を可視化するための取り組み~」。
自社のみならずパートナー企業の間接排出量を含めたサプライチェーン全体でのCO2排出量削減を促進するため、各社の配車管理システム上のデータを活用し、ダッシュボード形式で可視化を実現。リアルタイムに状況が把握できるだけでなく、やりとりされているデータの活用により、追加業務なしに実現している点、さらには状況の可視化、共有化に伴い、さらなる排出量削減が促進されるなど、成果の波及、拡大可能性が評価された。
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