2022.09.10 コラム
GAS(Google Apps Script)とは?メリットや使い方について解説
業務上で必要なデータやファイルを管理するための工数を削減する方法としてGAS(Google Apps Script)の開発があります。GASとは関連サービスやツールと連携して、データ入力や共有を自動化する仕組みを作ることです。本記事ではGASのメリットや使い方について解説します。
GAS(Google Apps Script)とは?
GASとは「Google Apps Script」の略称で、Googleが提供しているプログラミング言語のことをいいます。JavaScript(ジャバスクリプト)をベースに開発がされており、簡易的なプログラムを記述することで、データに関する処理を自動化することが可能となります。
特徴としては、あらゆるGoogleサービスとの連携が可能であるという点です。GmailやGoogleマップ、Googleドライブとの連携が可能であるため、GASと連携して活用できるシーンも多くなります。
またTwitterやChatwork、Slackなどの外部ツールとの連携もできるため、作業効率の改善や工数削減などもメリットを得ることができます。
GAS(Google Apps Script)でできること
GASを導入することで具体的にどのようなことができるのでしょうか。主に以下のような活用方法があります。
・プログラムの自動化
・スクレイピング
・アプリケーション開発
・外部アプリケーションとの連携
▽プログラムの自動化
GASを導入することで、これまで手動で行っていたデータ入力作業などを自動化することができます。各ツールで取得した数値やデータをGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントに手入力することで一定の工数や時間を要していた場合、それらを自動化することで大幅に業務効率化を図ることができ、分析などにより時間を使えるようになります。
また、その他のツールを組み合わせて活用することで、ファイルの共有や管理などの面にも役立てることができます。
よくあるケースとして、個人に届いたファイルを共有用のGoogleドライブにアップするという作業があります。ファイルの数や容量によっては時間がかかってしまうことのある作業ですが、GASを活用することでGmailなどに届いたデータやファイルを自動で共有フォルダにアップすることができるようになります。
▽スクレイピング
「スクレイピング」とは、Webサイトなどの指定の場所から必要な種類の情報だけを取得することをいいます。例として、特定の商品の情報や番号、企業の電話番号リストなどがあげられます。
従来のツールを活用してスクレイピングを行う場合、サーバをレンタルする必要があったり、常にPC動作を維持しておかなければならなかったりといったデメリットも考えられます。
GASを活用してスクレイピングを行う場合、「importxml」という関数を利用することで、自動で簡単にスクレイピング作業を実行することができます。ウェブ上で実行することができるため、サーバを用意する必要がなく、またデータ共有も容易にすることが可能です。
▽アプリケーション開発
GASには、ツールと連携した機能をWebサイト内のコンテンツとして公開することができます。これらを活用することでWebアプリケーションの開発を実行することが可能です。
例えば、カレンダーを活用してスケジュール管理に役立てるアプリケーション開発などです。GASを活用したアプリケーション開発はGoogle上のサーバで行うため、新しくサーバをレンタルする手間や費用を省くことができ、管理も楽にすることができるでしょう。
▽外部アプリケーションとの連携
GASでは、前述のようにChatworkやSlackといった外部のアプリケーションとの連携が可能です。GoogleカレンダーやGmailなど管理している予定をChatworkに自動送信することなどで活用することができます。
予定などを複数のメンバーで共有したいときや、一日の予定を効率よく管理したいときなどに役立ちます。また緊急対応の場面などに、自動でメッセージが各外部アプリケーションに届くよう設定することもできますので、業務の漏れやスケジュール管理ミスなどを防ぐこともできるでしょう。
GAS(Google Apps Script)の開発方式
GASには2つの開発方式があります。それぞれ「スタンドアロン型」「コンテナバインド型」といい、それぞれメリットやデメリットもあります。以下、特徴について解説していきます。
◇スタンドアロン型
スタンドアロン型とは、単体で動作するスクリプトを用いた開発方法のことです。Googleスプレッドシートなどの関連ツールやサービスと連携を行わずに開発する方法になります。スプレッドシートなどのツールと連携をしないため、他の利用者に対してスクリプトを使用していることが知られたくない場合などに有効です。
メリットとしては、Google関連ツールと連携する手間や工数を省くことができる点です。より簡単にGASを活用したいという方には向いているでしょう。
デメリットとして目立った点はありませんが、強いて言うのであれば、後述するコンテナバインド型の開発方法で使用できる利点が使えないといったところになります。
◇コンテナバインド型
コンテナバインド型とは、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートをはじめとする他のサービスと連携して動作するスクリプトのことです。コンテナバインド型の開発方式を活用することで、自動でデータをPDF化したり、Gmailに自動で通知を送信したりといった動作を実行することができます。
コンテナバインド型を活用するメリットとしては、外部サービスとの連携により業務全体の効率化を図ることができる点です。現在使用しているサービスを一元管理することにより、データの書き出しや事務作業などの工数を削減することができます。
デメリットとしては、連携するサービスの数が増えた分、初期の構築にかかる工数が増えてしまうといった点です。実装が完了できれば業務は効率化されますが、ある程度の社内リソースを整えてから構築に進んだ方が良いでしょう。
GAS(Google Apps Script)の使い方
GASの使い方について解説していきます。スタンドアロン型とコンテナバインド型の特徴やメリットを理解した上で、どちらの開発方式を採用するのかを考えていきましょう。
☆スタンドアロン型の利用手順
まずはスタンドアロン型の利用手順について解説していきます。スタンドアロン型は他のツールと連携しない方式のため、以下の流れで設定していきます。
(1)Googleドライブを開く
Googleのメニューから「ドライブ」を選択します。
(2)Google Apps Scriptを開く
まずGoogleドライブで「新規」を選択します。「その他」→「アプリを追加」→「Google Apps Script」を検索してインストールをします。
(3)プロジェクト入力・保存
プロジェクト名やスクリプトファイルを入力設定していきます。ここで「編集エリア」というエディタを活用してファイルの内容を記述していきます。
編集が完了したらプロジェクト名を付けて保存していきます。プロジェクト名は「HelloWorld」、ファイル名は「Logtest」で保存していきましょう。
上記が完了したら「実行」を選択して、ログを出力します。これでスタンドアロン型の開発が完了です。
☆コンテナバインド型の利用手順
次にコンテナバインド型の使用手順について解説していきます。コンテナバインド型はスプレッドシートなどの外部サービスと連携する必要があります。
(1)Googleドキュメントを開く
まずはGoogleアカウントにログイン、またはアカウントを作成してGoogleドキュメントを開きます。
(2)スクリプトエディタを開く
Googleドキュメントを開いたら、「スクリプトエディタ」を選択してスクリプトエディタを開きます。
(3)コードを入力
次に関連するサービスや連携するサービスに合わせてコードを入力していきます。例えばGmailに通知が届くように設定する場合は、それに応じたコードを入力しましょう。
実装後は念のためデータが正常に表示されているか確認しておきましょう。
GAS(Google Apps Script)の注意点
GASの注意点は、個人向けのGoogleアカウントでは利用できる機能に制限がかかってしまうという点です。通常個人が開設するGoogleアカウントは無料アカウントに当たります。
機能制限がかかってしまうと、スクリプトの操作をしないまま6分経過すると強制的にスクリプトが終了してしまうなどといったデメリットがあります。
企業向けにGoogleアカウントの有償版が公開されていますので、企業でGASの導入を検討している場合は、Googleアカウントの有償版(ワークスペース)を契約しておくとよいでしょう。
GASを活用して業務効率を改善
GASは収集したデータを効率よくまとめたり、データ入力の手間や工数を省いたりといった業務効率化を図ることができます。Googleが提供しているプログラミング言語ですので、簡易的とはいえ言語取得が必要となります。そのため事前に言語を学習する時間や社内リソースを確保しておくとよいでしょう。
またGASの開発方式はスタンドアロン型とコンテナバインド型の2種類がありますので、必要な機能やメリットに応じて、企業に適した方法で導入してください。
Googleをはじめとするデータサービスをより効率よく活用するためにGASは役立ちますので、まだ試したことがないという方はぜひテスト導入してみてください。
Googleに関連する資料
当サイト「通販通信ECMO」では、Googleに関する資料を多数掲載しています。ぜひご確認ください。
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