2022.10.29 コラム
ますます重要になるヘッドレスコマースのメリットや事例を解説!
ユーザーが使用するデバイスが多様化したことから注目を集めているヘッドレスコマース。UI/UXの修正が容易となるなどさまざまなメリットがあります。本記事では、ヘッドレスコマースの基本的な知識や事例について解説します。
ヘッドレスコマースとは
ヘッドレスコマースとは、フロントエンドとバックエンドを切り離し、それぞれを単独で管理するシステムのECサイトを指します。
注目を集める背景には、ユーザーがECサイトにアクセスするデバイスの多様化やデジタル上のタッチポイントの増加が挙げられます。マルチデバイスや、さまざまなタッチポイントに対して対応できるシステムが求められているためです。
また、オムニチャネルやOMOが普及したことで、ECサイトのシステムに対応を求められていることも注目が集まっている一因になっています。あらゆるチャネルでユーザーにアプローチを図ろうとするのがオムニチャネル、オンラインとオフラインでの購入体験の境界線をなくしたサービスを提供しようとするのがOMOです。これらにおいても、ヘッドレスコマース活用が重要となってくるでしょう。
ヘッドレスコマースの仕組み
従来のECサイトとは異なり、ヘッドレスコマースではAPIを使用してフロントシステムとバックエンドを連携させています。その言葉が表す通り、「ヘッド=ECサイトのフロント」がないため、フロントエンドとバックエンドを繋ぐためにAPIが必要です。APIの活用によって、一般的なECサイトだけでなく、フロントエンドになり得る多様なサービス(CMSやチャットボット、ライブコマースなど)との連携が可能になります。
ヘッドレスコマースと従来ECの違い
従来のECサイトのほとんどが、フロントエンドとバックエンドが一体化されています。そのため、フロントエンドを修正する際にはバックエンドへの影響を考慮したり、修正を反映するためにタイムラグが生じたりしていました。
一方、ヘッドレスコマースではフロントエンドとバックエンドがそれぞれ独立しているため、それぞれに影響することなくスピーディーにUI/UXを修正しやすくなるといったメリットがあります。
ヘッドレスコマースを活用するメリット
ヘッドレスコマースを活用するメリットとして、以下の3つをご紹介します。
・UI/UXを最適化しやすくなる
・マルチデバイスに対応できる
・エンジニアの作業効率がアップする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
◎UI/UXを最適化しやすくなる
ヘッドレスコマースならフロントエンドのみの修正が可能なので、スピーディーにUI/UXを修正しやすいといったメリットがあります。
フロントエンドとバックエンドが一体化されている場合、UIを変更するためには、両面の調整を図らなければいけません。一方、ヘッドレスコマースではどちらか一方のみの調整が可能です。
UI/UXの最適化はCVRに関わる重要な要素のため、迅速に対応できることはECサイトにとって大きなメリットといえるでしょう。
◎マルチデバイスに対応できる
ユーザーがアクセスするデバイスを問わず、マルチデバイスに対応できる点もメリットです。
近年、PCやスマホ、タブレットはもちろん、チャットボットやVRデバイスなど、ユーザーがECサイトにアクセスする手段は多様化しています。そのため、単にPCやスマホのみからのアクセスを想定したデザインのECサイトのままでは、他のデバイスからアクセスしたユーザーが離脱する原因になりかねません。その点、ヘッドレスコマースはUI/UXを最適化しやすいため、デバイスに合わせた修正が容易です。
ユーザーの離脱を防ぐことで、クリック率やCVRの改善も期待できるでしょう。
◎エンジニアの作業効率がアップする
フロントエンドとバックエンドが分かれているヘッドレスコマースでは、エンジニアがそれぞれの開発に専念できるようになるため、作業の効率化が図れます。
従来のECサイトの場合、フロントエンドとバックエンドが一体化しているため、それぞれが同時に作業できず、一方が完了するまで待たなくてはなりませんでした。とくに、フロントエンドかバックエンド、どちらかの開発を外注している場合は、外注先のタイミングに左右されやすく、修正の反映までに時間がかかってしまいます。その点、ヘッドレスコマースの場合はそれぞれの作業を同時に進行できます。そのため、社内でフロントエンドの修正に専念し、バックエンドの修正は外注先に任せるといった体制も可能になるでしょう。
ヘッドレスコマース導入時の注意点
ヘッドレスコマースには多くのメリットがありますが、導入する際に注意する点がいくつかあります。
・専門的な知識が必要
・既存のECサイトをヘッドレスコマースに再構築するコストがかかる
以下より、それぞれのポイントを見ていきましょう。
▲専門的な知識が必要
ヘッドレスコマースを最大限活用していくためには、従来のECサイト構築よりも専門的な知識が必要です。
従来のECサイトはシンプルなシステム構成のため、技術的な知見のない担当者でも容易に扱える点で急速に普及してきました。一方、ヘッドレスコマースではフロントエンドとバックエンドをつなぐAPIに関する知識などが必要になります。
また、メリットであるUI/UXの最適化を実現させるためには高度なマーケティングスキルも必要です。これらを社内で担うのが難しい場合は外部へ委託することも可能ですが、その分コストが発生するため事前に検討を重ねてください。
ヘッドレスコマースの導入はあくまでも手段のひとつなので、本来達成したい目的をしっかり定めてから検討をすすめましょう。
▲既存ECサイトの再構築は高コスト
既存に従来のECサイトを採用している場合には、再構築に時間と費用がかかる点にも注意が必要です。フロントエンドとバックエンドが一体化されたシステムをヘッドレスコマースに移行するのには高度なスキルが必要なため、莫大な時間と費用がかかる恐れがあります。想定していた以上に時間と費用がかかってしまい、結果的に予算オーバーに陥らないためにも、あらかじめ計算して見積もっておきましょう。
ヘッドレスコマースの事例
オーストラリアのマットレスD2Cブランド「コアラマットレス」では、ECサイトにヘッドレスコマースを活用しています。
フロントエンドにはECプラットフォームで世界トップシェアを占めるShopifyを採用し、バックエンドには管理に特化したAPIベースのCMSサービスを採用しています。これらの組み合わせによって効率的に開発できるようになり、ユーザーに寄り添った魅力的なコンテンツのスピーディーな配信を実現させました。
ヘッドレスコマースの活用によって、同社は成長率152%を達成し「デロイト 2020年 アジア太平洋地域テクノロジー Fast 500」において上位331位を受賞しています。
まとめ
今回はヘッドレスコマースの仕組みと活用するメリット、導入時の注意点について解説しました。ポイントを以下にまとめます。
・ヘッドレスコマースとは
ECサイトのフロントエンドとバックエンドを切り離し、それぞれ独立させたシステムのことです。従来のECサイトとは異なり、API連携によりフロントエンドとバックエンドをつないでいます。
ヘッドレスコマースを活用するメリットとして、以下の3つをご紹介しました。
・UI/UXを最適化しやすくなる
・マルチデバイスに対応できる
・エンジニアの作業効率がアップする
ヘッドレスコマースには多くのメリットがありますが、導入する際に注意する点がいくつかあるので念頭に置いておきましょう。
・専門的な知識が必要
・既存のECサイトをヘッドレスコマースに再構築するコストがかかる
最後にオーストラリアの寝具メーカーが展開するマットレスD2Cブランド「コアラマットレス」の事例を紹介しています。ヘッドレスコマースが気になった方は、同社のサイトもご覧になってください。
導入時に専門的な知識やコストが必要ではありますが、ヘッドレスコマースを活用することでユーザーに魅力的なコンテンツをスピーディーに配信できます。ヘッドレスコマースに興味をもたれた方は、ぜひ一度検討してみてください。
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
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