2023.01.09 コラム
企業が実施できる転売対策6つの方法 転売ヤーをどう防ぐ?
フリマアプリの登場により、近年転売が増加しています。自社商品の転売が増加すると、企業のイメージ低下や売上の減少などのリスクが発生します。本記事では、転売によって企業に悪影響が生じるのを防ぐために企業が実施できる転売対策を6個解説します。
転売とは
転売とは、商品を安く仕入れて高く売り、仕入値と売値の差分によって売上を作るビジネスです。転売を行う人は「転売ヤー」とも呼ばれます。商品を仕入れた転売ヤ―は、メルカリやラクマなどのフリマサイトやAmazonやヤフオクなどのECモールで転売を行います。プロの転売ヤーは、スニーカーやアパレル、コスメなどある程度ジャンルを絞って転売を行っています。
転売されやすい商品
転売されやすい商品には、以下の商品があげられます。
・アニメ、キャラクターグッズ
・ゲーム機
・おもちゃ
・スニーカー
・コスメ
・アパレルブランド
転売されやすい商品には、「トレンドが存在する」、「期間限定や生産個数に限りがあり、商品の希少価値が高い」といった特徴があります。上記に挙げた商品は、転売対策を強化するのがおすすめです。
転売は違法なのか
基本的に、転売という行為自体は違法ではありません。しかし、品薄商品を一部の転売ヤ―が買い占め、高額転売して、道徳的に問題視されるケースが近年増加しています。例えば、新型コロナウイルスが蔓延しだした2020年、マスクやアルコールスプレーなどの予防グッズが品薄状態になりました。その際に、品薄状態をいいことにマスクやアルコールスプレーを買い占め、低下よりも非常に高価な価格で販売する転売ヤ―が現れ、本当に商品を必要としている人にいきわたらない事態に陥りました。
その結果、政府によるマスクの転売規制が行われました。このように、倫理観に反する転売は行き過ぎると規制される可能性がありますが、基本的に転売は合法とされています。
自社商品が転売されることで企業側が受けるリスク
自社商品が転売ヤ―によって、頻繁に転売されると企業側にはどのような影響が出るのでしょうか。本項目では、自社商品が転売されることで企業側が受けるリスクについて解説していきます。
リスク1:企業やブランドのイメージ低下に繋がる
自社商品がメルカリやラクマなどのフリマアプリで高額転売されると、商品自体や企業に対してイメージダウンを与える可能性があります。転売ヤ―から購入した消費者は、メーカーでの修理や返品交換が行えなくなってしまうため、製品に何か問題があってもメーカーは手が出せなくなってしまいます。そのため、転売ヤ―から商品を買ってしまったがゆえに、自社商品を手にした消費者を意図せず不利な立場に追いやってしまう可能性があります。
また、無理やり返品や交換を求める消費者やクレームが多発する可能性もあります。ネット上でアンチが増加し、商品や企業に対する悪いイメージが一度広まってしまうと、なかなかイメージアップを目指すのは難しくなります。
リスク2:自社の売上が低下する可能性がある
転売のビジネスモデルは、なるべく安く商品を仕入れて高く売り仕入値と売値の差分を大きくすることです。もしも、転売ヤ―が正規値よりの半額で商品を販売していた場合、転売ヤ―の商品の方が自社よりも売れてしまう可能性があります。そうなると自社の売上が低下する可能性が出てきます。
リスク3:転売目的の購入が増加する
転売されやすい商品の場合、転売目的の購入者が増加します。それにより、本当に商品を必要としている消費者に商品が届かなくなる可能性があります。
対策をしないままでいると、転売がどんどん盛んになり、企業やブランドイメージは低下すといった負のスパイラルに陥る可能性があります。そのため、転売目的の購入者が増加した際は早急に対策をする必要があります。
リスク4:転売対策に時間を割く必要がある
転売が増加すると、転売対策に時間と労力を割く必要が出てきます。その結果、社員の負担増加や従業員コストの増加といった影響が企業に及びます。
転売がなくならない理由
現在、多くの企業が転売対策を実行しています。しかし、依然として転売は無くなりません。なぜなのでしょうか。理由は、商品の需要と供給にあります。
転売によって商品の価格が急激に引き上げられている状態とは、商品の供給が需要に対して大幅に不足している状態です。そうなると転売防止の為、メーカーは商品の供給を増やし、需要と供給のバランスを取るように行動します。需要と供給のバランスが取れている商品は、消費者は転売ヤーから購入しなくてもいつでも商品を正規価格で買えるため、転売は減少します。
しかし、座席数に限りがあるコンサートチケットや製造数に限りが生まれるホビー品は、供給と需要のバランスを取るのが難しく、現在も高額転売が盛んにおこなわれているのが現状です。
転売を規制する法律はないのか
転売を規制する法律で最も有名なのが、「チケット不正転売禁止法」です。この法律は、ライブや握手会などのチケットを買い占め、高額販売を禁止する法律です。東京オリンピックのチケット転売対策として、2018年に施行されました。違反した者に対しては、業者・個人に関わらず、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が罰として科せられます。このように、チケット販売に関しては、法律によって転売を規制できます。
また、中古品を転売している事業者は、事前に「古物商許可」を取得する必要があります。そのため、無許可で中古品を転売している事業者に関しては、3年以下の懲役または100万円以下の罰金またはその両方が科せられます。このように、中古品を無許可が転売している事業者に対しても法律によって悪質な転売を規制できます。
しかし、それ以外の転売に対しては法律で規制することはできません。そもそも転売という行為自体が違法ではないため、転売を厳しく規制する法律はないのが現状です。そのために、それぞれの企業が自ら転売対策を講じる必要があります。
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企業が取り組むべき転売対策
本項目では、企業が取り組むべき転売対策を合計6個解説します。
対策1:購入に個数制限を設ける
おもちゃやスニーカー、ゲーム機など転売されやすい商品は販売の際、個数制限を設けるのがおすすめです。これにより、転売目的の人ばかりに商品が渡るのを防げ、本当に商品を購入したい人に販売できる可能性が高まります。
対策2:購入する際に商品を開封させる
新品の商品と中古の商品を転売する場合、間違いなく新品の商品の方が中古品と比較して高く売れます。そのため、商品購入の際に購入者に商品のパッケージを開封させ、開封済みにさせることが転売対策に繋がります。
現に、転売が盛んにおこなわれているポケモンカードは、購入時にパッケージを開封させるのが購入の条件とする店舗が増えてきています。さらに、対策1の購入に個数制限を設ける対策と組み合わせることで、より効果的な転売対策になります。
対策3:フリマサイトに商品の出品停止を依頼する
最近は、フリマサイトで転売されているケースをよく見かけます。そのため、フリマサイトで自社商品が高額転売されていた場合は、フリマサイトの運営に問い合わせて、販売者に出品を停止するように要請する方法があります。
自ら転売ヤーを1件1件見つけ出し、出品停止依頼を行うのは大変ですが、フリマサイトに協力を要請することで、自社の労力を抑えて転売の抑制が可能となります。
対策4:転売の疑いがある購入者には商品を販売しない
購入者の購入履歴をチェックし、転売の疑いがあるものには商品を販売しないのも転売対策となります。転売ヤ―は、直近で同じ商品を何度も購入している可能性が高いです。あまりにも同じ商品を頻繁に購入してくる購入者には、販売の停止を検討しましょう。
対策5:同一人物のなりすましをチェックする
1人1個の個数制限を設けたとしても、個人でアカウントを複数作成し、商品を大量に購入しようとする転売ヤ―もいます。そのため、企業側は定期的に同一人物のなりすましをチェックしましょう。
具体的に、個人で複数アカウント作成する人は、氏名や住所、電話番号などの情報を不正に操作している可能性が高いです。怪しいアカウントを見つけた際は、購入者に本人確認を実施させるなどして、同一人物のなりすましアカウントを削除するように努めましょう。
対策6:不正検知サービスを導入する
不正検知サービスの導入も転売対策には効果的です。人の手による目視チェックでは、全ての転売ヤ―を見抜くことは難しいのが現状です。そこで、不正検知サービスを導入すると目視チェックよりも確実に転売ヤーを見抜けます。また、不正検知サービスの導入により、従業員の負担を軽減できます。それによって、販売業務や接客業務に時間とコストを向けられます。
以上が、企業が取り組むべき転売対策です。企業によって販売している商品が異なるため、自社に最も合った転売対策を実施してみてください。また、複数の転売対策を組み合わせることによって、より強力な転売対策になります。
まとめ
本記事では、企業が実施できる転売対策を合計6個紹介しました。転売対策には、時間と労力がかかりますが、転売ヤーを野放しにしておくと企業に不利益が生じる可能性があります。
反対に、転売対策を強化したことにより、自社の売上がアップした企業の事例もあります。本記事で紹介した転売対策を参考にして、転売によって自社に不利益が生じないように努めてみてください。
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