2023.02.01 コラム
景品表示法(景表法)とは?概要や注意点、サイト運営との関係性を解説
景表法とは「景品表示法」の略称で、不当な業者利益や消費者の不利益を防ぐための規制のことです。景表法という語句を聞いたことはあっても、意味や概要について知らない人も多いのではないでしょうか。本記事では景表法の概要や注意点について解説していきます。
景品表示法(景表法)とは
「景表法」と省略して使用されることも多い「景品表示法」。正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という法律名を指します。法律の正式名称が長く、一般的に使用しづらいことから「景表法」「景品表示法」と省略して呼ばれることが多くなっていますが、すべて同一の法律です。
なぜこのような法律が制定されているかというと、過剰な景品付きの販売手法や表示によって、不当な利益を得る業者から消費者を守るためです。例えば、低品質な商品を不当な価格で販売されてしまうなどのケースなどが想定されます。
また、景表法は消費者だけではなく、市場や販売者を守るための法律でもあります。不当な景品付き商品や表示によって、消費者が不当販売者に流れてしまう可能性が考えられます。そのような状況で一般販売者が不利益を被らないよう、景表法で市場の公正を保つ目的で定められています。
景品表示法の定義・概要
次に景表法の定義や概要について解説していきます。
▽景品表示法における「不当表示規制」
まずは景表法における「不当表示規制」について理解しておく必要があります。「不当表示規制」とは、企業が不当な表示をおこなうことを規制するために定められています。
「不当表示規制」を正しく理解するためには、なにが不当表示にあたるのかを知っておくとよいでしょう。
▽「表示」とは
景表法における「表示」とは、以下のような内容に当てはまる表示のことをいいます。
・企業が集客のために行う表示
・チラシやWeb広告などの広告宣伝に使用する表示
・商品やサービスに関する金額表示
上記は「景品表示法第2項・第4項」に定められている内容を簡単にまとめたものです。「表示」は一般のユーザーが目にすることの多い、テレビCMやWeb広告、店頭やチラシに記載されている金額などが当てはまります。
そのため、基本的な集客に使用される宣伝や告知などは、すべて表示にあたると考えておくとよいでしょう。
「不当表示」とは
「不当表示」とは、以下の内容が当てはまります。
・「優良誤認表示」にあたる表示
・「有利誤認表示」にあたる表示
景表法の不当表示規制は、企業やサイトが不当な表示をすること自体を禁止する規制となるため、上記のいずれかを違反した時点で景表法違反に該当してしまいます。
次に「優良誤認表示」と「有利誤認表示」について、さらに詳しく理解していきましょう。
▽優良誤認表示
優良誤認表示とは、企業が提供する商品やサービスの品質や性能を、実際よりも優良であると誤解させるような表示をすることです。また、競合他社の商品よりも優れているという点を過剰に宣伝することも規制されています。
テレビやWeb上に表示される広告だけでなく、宣伝動画や店内ポップなど消費者の目に触れる可能性がある表示が該当します。優良誤認表示の定義は、景品表示法第5条1号に以下の記載があります。
「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
※引用元:不当景品類及び不当表示防止法 | e-Gov法令検索
▽有利誤認表示
有利誤認表示とは、企業やサイトが提供している商品やサービスの価格や取引について、実際に消費者が得られるものよりも有利であると誤認される表示のことです。また他社商品との比較で、明らかに有利であるということを誇張した表現も有利誤認表示にあたる可能性があります。
例えば「3日間限定価格で1,000円」と表記している商品やサービスが、通常時も1,000円で販売をしている場合などが有利誤認表示となります。顧客を呼び込むための戦略でも、表示の仕方によっては該当してしまうケースがあるため注意しましょう。
優良誤認表示の定義については、景品表示法第5条2号に以下の記載があります。
「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」
※引用元:不当景品類及び不当表示防止法 | e-Gov法令検索
景品規制とは
景表法を学ぶ上で把握しておきたい内容の一つに「景品」に関する規制があります。ここでいう景品とは、商品に付属するノベルティやおまけ、懸賞に使用されている商品のことを指します。
規制の対象となるのは主に「一般懸賞」「共同懸賞」「送付懸賞」の3つがあげられます。それぞれについて解説していきます。
▽一般懸賞の定義と上限規制
一般懸賞とは、雑誌やキャンペーンなどの抽選で当選する仕組みの懸賞や、くじ引きなどの競技や遊戯によって景品提供の有無が決まることをいいます。
一般懸賞における上限規制は以下となります。
【取引価格5,000円未満の場合】
景品の最高額:取引価格の20倍以内
景品上限規制:懸賞を提供する取引による売上予定金額の2%以内
【取引価格5,000円以上の場合】
景品の最高額:10万円以内
景品上限規制:懸賞を提供する取引による売上予定金額の2%以内
▽共同懸賞の定義と上限規制
共同懸賞とは、商店街などの特定の地域内で営業する同業者が共同して景品を提供することをいいます。
共同懸賞における上限規制は以下となります。
【すべての取引価格で同上限】
景品の最高額:30万円以内
景品上限規制:懸賞を提供する取引による売上予定金額の3%以内"
▽総付懸賞の定義と上限規制
総付懸賞とは、特手の商品購入者や来場者全員に景品を提供する場合のことをいいます。
共同懸賞における上限規制は以下となります。
【取引価格1,000円未満の場合】
景品の最高額:200円以内
【取引価格1,000円以上の場合】
景品の最高額:取引価格の20%以内
景品表示法とECサイト運営の関係性
ECサイトを運営している事業者は、景表法についての理解を深めておく必要があるでしょう。なぜならECサイト運営をする中で、商品の割引や期間限定の値引き、他社比較に対応できるよう商品説明やタイトルを工夫するシーンが多いためです。
より多くのユーザーの目を引こうとして、ユーザーがメリットを感じやすい文言を使用したり、お得なキャンペーンを実施したりすることがあるはずですが、思わねところで景表法違反に該当してしまうことがあります。
特に個人や小規模で運営しているECサイトは、景表法違反に気づかずに運営を続けている場合も多くあります。自社サイトの表示について、定期的に見直す時間を確保することを推奨します。
景品表示法に違反した場合どうなるのか
事業者が景表法に違反した場合、いくつかの制裁や罰則が科せられます。
まず、景表法を違反した事業者に対して消費者庁や都道府県が「措置命令」を出すことができます。措置命令とは、消費者に与えた誤認についての対応や、再発防止に向けた策を講ずること、そもそもの違反行動を停止するよう命じることです。
措置命令が出された事業者は、消費者庁の公式サイトに掲載されることがあり、消費者からのイメージダウンにつながる恐れがあるため注意が必要です。
また、優良誤認表示や有利誤認表示をおこなった事業者は、課徴金の対象となります。原則として誤認表示のあった商品価格の3%に相当する額の納付をする必要があります。ただし「対象商品の売上額が5,000円以下」「必要な表示を明記したにも関わらず景表法違反を問われた」場合などは、課徴金納付命令の対象外となることがあります。
加えて、「自主返金措置」という、命令を受けた事業者が消費者に対して購入額の3%を返金した場合、課徴金から返金額を引くことができる制度も存在します。自主返金が義務付けられてはいませんが、自主返金を促すための措置といえるでしょう。
景品表示法の概要を理解して健全なショップ運営を
景品表示法は消費者が不利益を受けないために、消費者庁を中心に取り締まっている規制のことです。より商品の訴求力を高めるために、誇張表現や他社との優位性をアピールする表現などを使用してしまうことがありますが、それらは景品表示法違反にあたる可能性があります。
また懸賞やくじ引きなど、一部の消費者または全員に特典が付与されるサービスを実施している事業者も多いでしょう。その場合の景品にも上限額などのルールが定められているため、該当するサービス事業者はしっかりと確認しておくことが大切です。
おすすめのEC表示規制に関連する資料
当サイト「通販通信ECMO」では、Web接客ツールに関する資料を掲載しています。特に以下のツールがおすすめですので、ぜひご確認ください。
景表法に関連する記事
まずは情報収集から始めたいという方向けに景表法に関する記事をまとめています。以下のリンクからご確認ください。
・「景品表示法」関連記事一覧
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