2023.03.06 コラム
ROAS(ロアス)の意味・計算方法は?ROIやCPAとの違い
広告運用において、広告費に対する売上を把握しておくことは重要です。広告の費用対効果を知るのに、ROASという指標が便利なことをご存知でしょうか。そこで今回はROASの意味や計算方法、ROIやCPAとの違い、各指標の使い分けについて解説します。
ROAS(ロアス)とは?
ROASという言葉はReturn On Advertising Spendの略語で、広告の費用対効果という意味を指します。広告費に対する売上を算出することで、どれだけ広告費を回収できたかがわかります。そのため広告の効果検証や、今後どの広告に注力していくかなど、方針を決めていく際の判断材料としてROASの指標が利用されています。
ROASはなぜ重要?
近年、さまざまな広告の出稿方法があるなか、どの方法が最も効果的か測る必要性が出てきたためROASの重要性が高まってきました。広告の費用対効果を検証し、広告費に対する売上が明らかにすることで広告費の回収率が確認できます。
そして回収率の低い広告に対しては改善策を検討する一方、高い広告に対しては入札価格を高くしたり予算の配分を増やしたりなどの施策を打てるようになります。このようにROASを活用することで効率的な広告運用が可能になるのです。
ROASの計算方法
「売上÷広告費×100(%)」でROASが算出されます。
たとえば、200万円の広告費に対して100万円の売上がある場合のROASは50%です。これは、1円の広告費に対して0.5円の売上があるという状態を指します。一方、200万円の広告費に対して300万円の売上がある場合のROASは150%です。これは、1円の広告費に対して1.5円の売上があるという状態を指します。このように、広告費1円あたりの回収率が明らかになるのです。
また注意しておきたいのは、ROASを算出するためには、広告から得られた売上を明らかにする必要がある点です。そのためCMや雑誌広告よりも、売上のきっかけとなった広告が明確になるWeb上の広告に適しているといえます。また、売上ではなく資料請求や問い合わせなどコンバージョン(CV)の効果検証に対しても、売上金額が明確でないためROASは不向きといわれています。
ROASを活用するメリット・デメリット
ROASは広告の効果検証に有効ですが、活用することでメリットが得られる一方、デメリットもいくつか存在します。ここからは、メリット・デメリットをそれぞれ解説していきます。
◎メリット
広告の費用対効果が測れるため、効率的な広告運用が可能になる点がメリットです。広告費の回収率がパーセンテージで表されるため、ROASの低い広告に対してはテコ入れになる改善策を検討する一方、高い広告に対してはより注力するような施策が打てるようになります。
さらに広告の売上をデータとして蓄積していくことで、過去比較や売上の予測がしやすくなる点もメリットとして挙げられます。蓄積されたデータで、広告運用に関する適切な戦略が立てやすくなるのです。
▲デメリット
一方デメリットとしては、実際に利益が出ているかどうかが測れない点が挙げられます。広告の費用対効果の割合は表されますが、ROASが高いからといって必ずしも利益が出ているとは限らないためです。
利益を確認するための方法として、後述するROIと組み合わせて考えることが有効です。ROIとROASを組み合わせることによって、売上と利益の双方から効果を測ることが可能になります。
ROASをKPIに設定する際の目安は?
広告運用において目標に対する達成度合いを明らかにする指標、KPIをみていくことが重要です。そのKPIにROASを設定する際には、ROASの損益分岐点を確認しておく必要があります。前述の通り、ROASの数値だけでは利益が出ているかどうか明確でないためです。
損益分岐点ROASは「平均顧客単価÷(平均顧客単価-平均原価)×100(%)」で算出されます。たとえば、10万円の平均顧客単価に対して3万円の平均原価の場合、損益分岐点ROASは142.8%です。この場合、ROASが142.8%を超えたら黒字ということになります。
ROASが100%以上の場合は、広告費よりも売上の方が高いと明らかになります。さらに利益を出すために、どの程度の売上があればよいのか把握するには損益分岐点が有効です。
ROASと他の指標との関係性
広告費に対する売上を表すROASですが、実際にマーケティング戦略において活用するには他の指標と組み合わせて考えることも重要です。そこで、ここからはROAS以外の指標であるROIとCPAをご紹介します。ROASとの関係性もあわせて見ていきましょう。
△ROIとの違い
広告運用にあたって、ROAS同様に効果検証の指標として用いられるのがROIです。Return On Investmentの略語で、和訳すると広告費に対する利益を指し「利益÷投資額×100(%)」で算出されます。
ROIでは利益をベースとして考えるため、100%を超えている場合には利益が出ていることが分かります。ただし、あくまでも利益を割合で表すものなので、どれだけ利益が出たかという金額までは明確に分かりません。広告の投資額が低いケースでは、利益が出ていたとしても少額の可能性もあります。
さらに、現時点で利益が出ているかどうか、という短期的な視点による指標のため、長期的な施策を検討する際には不向きです。そのためROASと組み合わせて考え、広告運用の費用対効果を広い視野で検証していくことが重要になります。
△CPAとの違い
Cost Per Acquisitionの略語で、CVを1件獲得するためにかかった単価を指す用語がCPAです。CPAは「広告費÷CV数」で算出されますが、高ければ高いほど、CVを1件獲得するために広告費用がかかることになります。
資料請求や問い合わせなど、サイトによって何をCVとするかは異なります。LPのゴールとしてCVを設定している場合や、金額が同じ商品を扱う場合にCPAは有効です。
一方ROASは売上をベースに考えるため、金額が異なる商品を扱う場合や、複数のCVを設置している場合に有効な指標です。そのため自社のゴールをどのように設定するかによって、CPAかROASのどちらが適しているのか検討してみましょう。
ROASとROA・CPAは必要に応じて使い分けよう
前述の通り、ROASとROI・CPAにはそれぞれ特徴があり、必要に応じて使い分けることで、より効率的な広告運用が可能になります。どれも広告運用にかかった費用の回収率を指標としていますが、ROASは売上をベースに、ROIは利益をベースに、CPAはCVをベースに計算する点で意味合いが異なってきます。
広告同士の比較をしたいのか、広告運用全体の施策を検討したいのか、CVR(コンバージョン率)を確認したいのか、算出する目的によって、どの指標を活用するのかも異なります。そのため、それぞれの指標が表す意味をしっかりと理解したうえで活用することが重要だと念頭に置いておいてください。
まとめ
今回はROASの意味や計算方法、活用するメリット・デメリットやKPIに設定する際のポイントについて解説しました。さいごに要点をまとめておきます。
・ROASとは
広告の費用対効果を表す指標です。さまざまな広告手法があるなか、どの方法が最も効果的か測る必要性が出てきたためROASの重要性が高まっています。また、ROASは施策を打つ際の判断材料にもなります。
・ROASを活用するメリットとデメリット
メリットは広告の費用対効果が測れるため、効率的な広告運用が可能になる点です。また、広告の売上データが蓄積されるため、過去比較や売上の予測もしやすくなります。
一方デメリットは実際に利益が出ているかどうかが測れない点です。そのため、利益が出ているのかを表すROIと組み合わせて検証することが重要です。
・ROASをKPIに設定する際の目安
KPIに設定する際にはROASの損益分岐点を目安にしましょう。損益分岐点ROASは「平均顧客単価÷(平均顧客単価-平均原価)×100(%)」で算出されます。
・ROASと他の指標との関係性
広告の費用対効果を検証する指標として、ROASの他にROIやCPAもよく用いられます。ROASは売上をベースに、ROIは利益をベースに、CPAはCVをベースに計算する点で算出する数値の意味合いが異なります。そのため、指標が表す意味をしっかりと理解したうえで活用することが重要です。
広告運用において、改善策や今後の施策を検討する判断材料としてROASは有効です。一方で、広告費に対する売上の割合を算出しているため、利益については明らかになりません。そのため、ROIと組み合わせたり、算出する対象によってはCPAを活用したりなど、必要に応じて使い分けましょう。この機会に、ROASの活用を検討してください。
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