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2023.04.08 コラム

仕切り価格における「掛け率」とは?相場や計算方法を詳しく解説

掛け率は仕入れに関する専門用語で、仕入れ業務では頻繁に使われる用語です。しかし、掛け率が具体的にどのような意味なのか詳しく理解していない人も多いのではないでしょうか?今回は仕切り価格における「掛け率」について、相場や計算方法などを解説します。            

掛け率とは?

 掛け率は商品の売上に対する卸値の割合を示す用語です。

 たとえば、ある商品を1,000円で販売する時、卸値が500円の場合は掛け率が50%となります。

 実際には「%(パーセント)」ではなく「5掛(ごがけ)」と表記することが一般的です。

 商品の販売価格は「上代」、卸値を「下代」と呼びます。

 先ほどの例でいえば、「上代1000円の商品に対して掛け率50%となるため、下代は500円です」といった使い方をします。

掛け率(仕切り率)の相場

 掛け率の相場について、主に以下の2点から解説します。

・業界ごとに相場が異なる
・セール品や目玉商品は掛け率が低い

 自社の関連業界における掛け率相場をしっかりと把握しましょう。

業界ごとに相場が異なる

 掛け率の相場は業界によって相場が異なるのが実情です。

 掛け率は多くの場合、メーカーや卸業者ごとに取引条件として定められています。業界によって商品の製造コストなどが異なり、掛け率も業界によって数値にばらつきがあるためです。

 例として、アパレル業界では50〜60%程度が掛け率の相場である一方、食品業界では70%、飲食業界では40%程度が相場です。

 また、卸業者と仕入れ業者の関係性や季節性によって掛け率が変わる場合もあります。

 掛け率など商品の原価に関する情報は一般的に公開されていないケースが多いです。そのため、もし自社が仕入れる商品の掛け率を知りたい場合は、取引している卸業者やメーカーに直接確認した方が良いでしょう。

値下げ商品や人気商品は掛け率が低い

 値下げ商品や人気商品などの場合、掛け率が低く設定されるケースもあります。

 これらの商品は掛け率を低く設定し、卸業者やメーカーが優先的に販売を促進したい狙いがあるからです。

 他にも売れ残った商品やサイズや色に偏りがある商品なども、掛け率が低く設定される傾向があります。

 値下げ商品や人気商品などは、事前に決められた掛け率とは別に随時設定されることが一般的です。

掛け率(仕切り率)の計算式

 ここでは、掛け率(仕切り率)の計算式について、以下2パターンの計算方法を紹介します。

・掛け率から卸値を求める方法(卸値=販売価格×掛け率)
・卸値から掛け率を求める方法(掛け率=卸値÷販売価格×100)

 掛け率や卸値を知りたい場合に、ぜひ活用してください。

▽掛け率から卸値を求める方法

 1つ目は、掛け率から卸値を求める方法です。

 事前に掛け率がわかっていて、卸値がどのくらいか知りたいときに活用できます。

 具体的な計算式は、以下の通りです。

・卸値=販売価格×掛け率

 自社商品の販売価格が5,000円で掛け率が60%の場合、以下の卸値となります。

・5,000円×0.6=3,000円

▽卸値から掛け率を求める方法

 2つ目は、卸値から掛け率を求める方法です。

 卸値がわかっており、掛け率がどのくらいか知りたいときに活用できます。

 具体的な計算式は、以下の通りです。

・掛け率=卸値÷販売価格×100

 例えば、卸値が3,000円で自社商品の販売価格が5,000円の場合、以下の掛け率となります。

・3,000円÷5,000円×100=60%

掛け率の計算は表計算ソフトが便利

 掛け率の計算は表計算ソフトを用いるのが便利です。

 表計算ソフトで一度上記の計算式を登録してしまえば、全商品の掛け率や卸値を一瞬で計算でき大幅な作業負担の削減につながります。

 表計算ソフトは、多くの企業で用いられているエクセルを使うのがおすすめです。

 表計算ソフトでは、手作業で発生しやすい入力・計算ミスなども減らせるメリットもあります。

掛け率を低く抑えるためには?

 企業は基本的に利益を向上させたいと考えており、なるべく掛け率を下げたい企業も多いでしょう。

 掛け率を低く抑えるポイントとしては、以下の2点が挙げられます。

・取引数量・額を増やす
・卸業者を挟まずメーカーから直接仕入れる

 最もオーソドックスな方法は「取引数量・額を増やす」ことです。

 卸業者やメーカーからすれば顧客により多くの商品を購入してもらいたいため、優遇措置として取引数量・額が多い顧客には掛け率を低くしてくれるケース(ボリューム・ディスカウント)があります。

 そのため、仕入れにかかる費用をなるべく抑えたい場合は、年間に必要な仕入れ量をまとめて発注するなどを条件に掛け率を下げる交渉を行いましょう。

 また、卸業者を挟まずメーカーから直接商品を仕入れることで、中間手数料をカットでき掛け率を下げられることもあります。

掛け率と混同しやすい用語

 販売価格や卸値に関わる「掛け率」と意味を混同しやすい用語もあり、それぞれの違いをしっかり押さえておくことがビジネスを円滑に進める上で大切です。

 具体的には以下の用語が挙げられます。

・原価率
・値入率
・粗利率

 それぞれの違いをしっかり理解し、商談などをスムーズに進めましょう。

▽原価率

 原価率とは、売上高に対する原価の割合を指します。

 原価は卸値と同じ意味で使われるケースもありますが、原価はより広い費用を含んでいます。商品を仕入れた卸値以外にも商品を調達するためにかかった配送費用や製造にかかった材料費や人件費なども原価として含まれます。

 そのため、原価率と表記した場合は商品の卸値以外にかかった費用の割合なども含み、掛け率と意味合いが異なるケースがあるため注意しましょう。

▽値入率

 値入率とは売上に対する値入高(利益)の割合を指し、以下の計算式で算出できます。

・値入率=値入高÷販売価格×100
※値入高=販売価格ー卸値

 販売価格が2,000円で卸値が1,200円の場合、値入率は以下の通りです。

・(2,000円ー1,200円)÷2,000円×100=40%(値入率)

 値入率は商品の利益に注目しているのに対し、掛け率は商品の仕入れ価格に着目しているという違いがあります。

▽粗利率

 粗利率とは、売上に対する粗利の割合を示すものです。

 前述した値入率と似ていますが、値入率は商品の値下げや廃棄によるロスが全くないことを前提とした販売前の売買差利益率を指します。

 一方で粗利率は、期中や期末で棚卸作業を行い上記のロス等を含んだ販売後の売買差利益率です。値入率と粗利率は意味を混同しやすいため、両者の違いをしっかり理解しておきましょう。

まとめ

 掛け率は商品の売上に対する卸値の割合を示す専門用語で、商談などの場面で使用されます。

 企業の利益に関わる大切な要素なので、言葉の意味や計算方法をしっかり理解し企業にメリットがある取引ができるようにしましょう。

 また、原価率や値入率など似た意味をもつ用語もあるため、それぞれの違いを理解し適切に使い分けることもビジネスの場で重要です。

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