継続的に収益を得られる安定型のビジネスモデルとして、ストックビジネスが注目されています。ストックビジネスと比較して取り上げられるモデルがフロービジネスです。今回は違いとそれぞれのメリット・デメリット、ストックビジネスのタイプ一覧をご紹介します。
ストックビジネスとは?
安定した収益が得られるということで注目を集めるストックビジネスですが、まずここでは言葉の意味や注目される理由について詳しく解説していきます。
ストックビジネスの意味
ストックビジネスとは契約によって継続的に収益を得られるビジネスモデルを指します。一度契約を結べば、その契約が終わるまで安定して収益が得られる点が特徴です。時間の経過とともに収益が蓄積(ストック)されていくことから、ストックモデルとも呼ばれます。
具体例としては、水道やガス、電気などのインフラ事業などが該当します。いったん契約数が安定すれば既存の顧客に継続してもらうための施策に注力できるため、新規顧客を獲得するための営業や宣伝にコストや時間を割かなくてもよくなり、営業活動の効率化が図れるのです。
ストックビジネスが注目される理由
ストックビジネスは、外的要因の影響を受けにくいという点から、今注目されています。コロナ禍や他社企業の参入などの外的な影響が少なく、継続的に収益を得られることがストックビジネスの特徴です。そのため、ストックビジネスを展開している企業は、経営が比較的安定しているといわれています。株式市場でもストックビジネスを展開する企業は高い評価を受ける傾向です。
「投資の神様」とも呼ばれる著名投資家ウォーレン・バフェットが、ストックビジネスを展開する企業の株式を多く保有していることからも収益の安定性が窺えます。
ストックビジネスとフロービジネスの違いは?
ストックビジネスと比較されるビジネスモデルにフロービジネスがあります。主な違いは何か、またそれぞれのメリット・デメリットは何かについて解説していきます。
フロービジネスとは?
フロービジネスとは、新しい取引によって、その都度収益を得る売り切り型のビジネスモデルです。具体的には、レストランやコンビニ、百貨店などの飲食業や小売業がフロービジネスの一例です。既存顧客から継続的な収益を得るストックビジネスとは異なり、商品やサービスが新規顧客に売れれば良いため継続的な仕組みづくりなどが不要といえます。
一方で、一度商品やサービスを購入した顧客が再度購入してくれるとは限らないため、収益が安定しにくいといった面があります。そういった意味では、フロービジネスはストックビジネスとは対照的なビジネスモデルです。
ストックビジネスのメリット・デメリット
継続して安定した収益が得られる点がストックビジネスの最大のメリットです。ある程度収益が安定して得られる見込みができれば、新規顧客を獲得するための営業活動が不要になります。その結果、既存顧客に契約を継続してもらうための施策に注力でき、営業活動の効率化が図れるのです。また、既存顧客に関するデータがとれるため、次のマーケティング施策に活かせる点もメリットです。
一方デメリットは、すぐに収益が上がりにくい点です。顧客を獲得し、継続して契約してもらうための仕組みを作るまでにある程度の時間とコストが必要になります。そのため、すぐに収益を上げたいといった場合には不向きなビジネスモデルといえます。
フロービジネスのメリット・デメリット
ビジネスを始めてからの収益化が早い点がフロービジネスのメリットです。商品やサービスを店舗やECサイトで販売し、売れている商品をできるだけ回転させることで収益が得られます。
一方で流行り廃りや競合の参入などの外的要因の影響を受けやすく、安定した売上が得られるとは限らない点がデメリットです。今ブームに乗って売れている商品が数ヶ月後も売れているという保証がないからです。
また、一度商品やサービスを購入した顧客がリピートしてくれるかも分かりません。かりに競合他社がさらに良質な商品やサービスを販売すれば、顧客が流れてしまう可能性もあります。その点でストックビジネスとは対照的に、売上予測が立てにくいビジネスモデルといえます。
ストックビジネスとサブスクリプションの違いは?
近年、注目を集めるサービスとしてサブスクリプションがありますが、サブスクリプションはストックビジネスのひとつといえます。
両者に違いがあるといえば、ストックビジネスが継続的に収益を得られるビジネスモデルを指す言葉であるのに対し、サブスクリプションはストックビジネスのうち具体的に収益化を図る方法のひとつを指す言葉である点です。
以上のように、サブスクリプションはストックビジネスの一部といえます。
ストックビジネスのタイプ一覧
ストックビジネスの特徴やメリット・デメリットを解説してきました。具体的にどのようなビジネスがあるのか以下のタイプに分けてご紹介します。
・インフラタイプ
・レンタルタイプ
・保険タイプ
・定期購入タイプ
・会員ビジネスタイプ
・教育タイプ
・賃貸タイプ
・投資タイプ
▽インフラタイプ
水道や電気、ガスなど生活インフラから、携帯電話やインターネットサービスプロバイダがインフラタイプに該当します。生活するうえで必要なものなので、需要は安定しており、収益の予測が立てやすいタイプになります。
▽レンタルタイプ
近年では所有するよりも必要なときだけレンタルして使用したいというユーザーも増えており、レンタルタイプの商品やサービスも数多く提供されています。自動車やブランドバッグなどのファッション、インテリアに及ぶまで幅広いジャンルの商品が用意されています。
▽保険タイプ
保険もストックビジネスのひとつです。一度契約すれば数年単位で継続的に保険料が支払われます。一方でユーザーからの信用が重要になるため、目新しい保険商品などをリリースしない限り新規参入の障壁は高いといえます。
▽定期購入タイプ
ストックビジネスを始めたい企業には定期購入ビジネスがおすすめです。昔からある定期購入の商品でいうと、新聞や雑誌などが該当します。近年はECサイトでも販売しやすく、サプリメントや化粧品など継続して使用する必要がある商品に対して適したタイプといえます。
▽会員ビジネスタイプ
会員ビジネスタイプにはアーティストのファンクラブやパーソナルジム、著名人やインフルエンサーなどが開催するオンラインサロンなどがあります。自社サービスに独自の強みがあり、集客が見込めそうな商品やサービスがある場合におすすめです。
▽教育タイプ
塾や家庭教師、資格の専門学校など、講師が生徒に教える形のビジネスです。フランチャイズ展開している企業も多く、自社で教育のノウハウがある程度あれば始めやすいタイプといえます。
▽賃貸タイプ
賃貸タイプはストックビジネスの代表ともいえます。住宅や店舗の賃貸契約から、ビルやマンションの管理なども含みます。土地や建物を購入してから、入居者を集めて家賃を得るまで時間がかかるため、資金に余裕がある場合に最適です。
▽投資タイプ
株式投資や外貨預金などが投資タイプに該当します。ストックビジネスでいう投資タイプは短期で売買するものではなく、長期保有を目的としたものになります。そのため資金繰りに余裕がある場合に検討しましょう。
Q&Aでおさらい!ストックビジネス
今回はストックビジネスの意味とフロービジネスとの違い、両者のメリット・デメリットとタイプ一覧をご紹介しました。以下にて簡単にポイントをまとめておきますので、おさらいしていきましょう。
──ストックビジネスとは?
契約によって継続的に収益を得られるビジネスモデルを指し、外的要因の影響を受けにくいという特徴から、今注目されています。
──ストックビジネスとフロービジネスの違いは?
フロービジネスは新しい取引によって、その都度収益を得る売り切り型のビジネスモデルでストックビジネスとは対照的といえます。
──ストックビジネスのメリット・デメリットは?
継続して安定した収益が得られる点がメリットである一方、すぐに収益が上がりにくい点がデメリットです。
──フロービジネスのメリット・デメリットは?
早く収益化できる点がメリットである一方、流行り廃りや競合の参入などの外的要因の影響を受けやすく、安定した売上が得られるとは限らない点がデメリットです。
──ストックビジネスとサブスクリプションの違いは?
サブスクリプションはストックビジネスのひとつといえます。ストックビジネスがビジネスモデルを指す言葉であるのに対し、サブスクリプションは具体的に収益化を図る方法のひとつを指す言葉です。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。