2023.05.06 コラム
【KPIのすべて】成功を左右する「SMARTモデル」を理解する
KPI(Key Performance Indicator)」は、ビジネスにおいて成果を測定するための指標の1つです。KPIを設定することでビジネス目標の明確化や改善のための基準になるだけでなく、組織の方向性を示すこともできるため、理解して使いこなせれば百人力です。本記事では、KPIの概要から目的、メリット・デメリット、設定手順などについて解説していきます。
KPI(Key Performance Indicator)とは?
KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、「重要業績評価指標」とも呼ばれます。ビジネスの目標達成度合いを測定するための重要な指標です。
適切なKPI設定ができれば組織全体の目標達成に向けた取り組みが加速し、それに基づいて適切な運用ができれば成長速度が上がります。
選定のポイントについて軽く触れておくと、明確かつ具体的で、結果指向の指標を選ぶことが重要です。
KPIを設定する理由
KPIを設定する最大の目的は、「業績向上のため」です。その他にも、下記のような目的でKPIは設定されます。
・目標達成の進捗管理
・チームの一体感向上
・重要な課題の優先順位付け
KPIの設定により、目標に対する進捗や距離を把握しとるべき行動の指針となります。また、目標が明確になるためチームの協力体制が整い、結果としてチームや組織の一体感が増します。さらに、KPIを設定することで、課題に優先順位が振られるため、各自自分が何をするべきかが明確になり、それにかかる工数を割り当てる手助けにもなります。このように、「業績向上」、「進捗管理」、「一体感向上」、「優先順位付け」など様々な目的からKPIは設定されます。
KPI設定前に確認すべきポイント
KPIを設定する前に、以下5つのポイントができているかチェックしましょう。
①:目標の明確化
②:関連性の確認
③:測定可能性
④:効果的な範囲
⑤:ステークホルダーへの説明
それぞれ順番に解説していきます。
①:目標の明確化
まずは根幹であるビジネスの目標を明確にしましょう。そうすることにより全体の方向性が決まってきます。ビジネスの目標がブレているとどこに向かっているかが分からなくなり、KPIを設定する効果が薄れてしまいます。何となく明確ではなく、しっかりと言語化できるレベルにまで目標を明確にしましょう。
②:関連性の確認
KPIが①で立てた目標にきちんと直結しているかを確認します。この段階で関連性が低い指標は排除していきます。ここでは、論理的に関係性を考えることが重要となります。
③:測定可能性
設定したKPIがしっかりと定量測定できるかどうかもかなり重要です。測定ができないKPIでは、何を持って達成したかが把握できません。「新規契約を3件獲得する」や「売上を10パーセント伸ばす」など、データによる振り返りが可能な状態、指標であることを確認しましょう。
④:効果的な範囲
KPIが目標として意味をなしているかを確認しましょう。もっと言うと、達成難易度が高すぎたり、逆に低すぎたりしないかを確認します。ビジネスや事業の成長のために設定するものですから企業や個人の能力に適したKPIがベストです。
⑤:ステークホルダーへの説明
企業全体でKPIを設定する場合は、KPIに関して意義や目的・根拠をしっかりと定義し、ステークホルダーに説明できるような状態にしておきましょう。
以上の5つのポイントを事前に確認しておくだけでKPIの有用性は大きく変わります。KPIの設定には時間と労力がかかり、大変に思うかもしれません。しかし、しっかりと時間と工数をかけて設定することが、事業やビジネスにおける成功の鍵になります。焦らず、しっかりと考えましょう。
KPIと似た指標
KPIに似た用語の指標で、「KGI」と「CSF」という指標があります。本項目では、「KGI」と「CSF」について解説します。
▽KGIとは
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略で「重要目標達成指標」のことです。組織の目標達成に向けた大まかな方向性を示す指標で、主に戦略策定や企業経営の視点で活用されます。具体的には、市場シェアの拡大や競合優位性の確保などがKGIとして設定されます。
▽CSFとは
CSFとは、「Critical Success Factor」の略で、日本語では「重要成功要因」と訳されます。組織の成功に必要不可欠な要因を示す指標で、主にプロジェクト管理や戦略策定の段階で使用されます。具体的には、資金調達の確保、製品品質の向上などがCSFとして設定されます。
KPIを設定する3つのメリット
この章では、KPI設定のメリットを3つご紹介します。
結論から先に言うとKPIを設定するメリットは、以下のとおりです。
①:目標を明確化できる
②:組織の方向性を示す
③:成果を評価し改善するための基準になる
前述した「設定前のポイント」と重複する部分がありますが、それがそのままメリットになり得るとご理解いただければと思います。それではひとつずつ、深堀りしていきます。
◎ビジネス目標の明確化
こちらがまさに先ほどお話しした事前に設定しておくポイントでもある部分です。
それだけビジネスにおいて目標を明確にするということは大切であるということです。
KPIの設定により、目標に対する進捗が明確になり、達成度が把握しやすくなるだけでなく、効果的な戦略立案が可能になります。また、人は明確な状況だと行動力が上がる生き物です。反対に、人は不明確な状況だと行動を起こすのが難しくなります。そのため、ビジネス目的が明確であれば、行動しやすくなり、結果として結果に繋がります。
例として「顧客満足度向上」を目標とした場合、KPIとして「顧客満足を10%向上させるために、顧客の意見を取り入れた商品完了を行う」と目標設定することで、目標と目標達成のために取り組むべき行動が明確になります。これにより、全社員が同じ方向を向いて取り組むことができ、成果が明確に見えるようになります。
◎組織の方向性が定まる
2つ目のメリットは、「組織の方向性が決定する」ことが挙げられます。
組織の方向性が決まると社員全員が同じ方向を向いて進み、会社や個人の成長が加速します。一方、組織の方向性がバラバラだと各自別々の道を進んでしまい、会社の成長が鈍化します。
例えば、ある会社が「売上向上」を目指す場合、KPIとして「売上高」や「成約率」の設定により、全従業員が同じ目標に向かって努力できます。
このように、KPIを設定することで、組織全体で目標達成に向けた取り組みが一致し、効率的な業務運営が実現できます。
◎改善基準になる
KPIは、評価・改善・分析するための基準としても役立ちます。KPI達成度を定期的にモニタリングすることで、進捗状況を把握できます。
また、確認しやすいため問題点や改善策の明確化に有効です。当然達成度が低い場合は、原因分析を行い改善策を立案します。
例えばオンラインショップの場合、KPIとして「月間売上目標」を設定し、途中経過をチェックすることで、目標達成に向けた取り組みが適切であるかどうかを判断できます。売上が伸び悩んでいる場合、原因を特定し、新たな施策を立案が可能です。
KPIの活用により、組織は常に成果を追求し続ける姿勢が養われ、業績向上に繋がります。
KPIのデメリット
KPIはビジネスにおける成果を評価するための重要な指標である一方で、その使い方によっては問題が生じることがあります。
KPIの設定が厳しく達成が不可能な値を設定してしまうと、KPIの値を偽造するなどの不正行為を行う社員が現れる可能性が高まります。また、過度な目標は従業員に強いストレスを与えたり、生産性やモチベーションを低下させる原因にもつながってきます。
そのため、KPIは企業の規模感や個人の能力に適した値を設定することを強く意識しましょう。また、KPIの使用における透明性の確保も必要になってくるため、管理職などが管理体制を強化するのも重要となります。
KPI設定の手順
一般的にKPIは以下の手順に沿って設定します。
①:ビジネス目標を設定する
②:目標に沿ったKPIを設定する
③:測定方法を決定する
④:KPIを設定した組織全体に共有する
ここで特に意識したいのが、③と④です。KPIは作成して終わりではなく、実行してこそ価値が生まれます。そのため、KPI設定の段階で、測定方法の決定と組織全体への共有を忘れずに行いましょう。
SMARTモデルでKPIを設定
KPIを作成する際に、良く使用される手法にSMARTモデルがあります。SMARTモデルとは、以下を表します。
・S(Specific):具体的に、何を達成するのか明確にする。
・M(Measurable):達成度を数値化して測定可能にする。
・A(Achievable):現実的な目標とし、達成可能なレベルに設定する。
・R(Relevant):目的に合わせ、関連性のある目標を設定する。
・T(Time-bound):達成期限を設け、時間的な枠組みを明確にする。
SMARTモデルを使用すると、具体的でより良いKPIが作成できます。KPIの作成時には、ぜひ「S.M.A.R.T.モデル」を活用してみてください。
まとめ
本記事では、KPIについて解説しました。KPIを正しく活用することで、ビジネス目標の明確化や成果の評価改善に繋がります。
本記事で得た知見を活かし、ぜひ事業の成長に役立ててみてください。
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