循環経済への移行を通じた脱炭素社会の実現のため、デジタル技術を活用した資源循環ビジネスモデル構築の促進を目的に、環境省が公募した実証事業に参画した(株)エアークローゼットと(株)メルカリは23日までに、それぞれが手がけるサービスの脱炭素・資源循環の効果を明らかにした。エアークローゼットは衣服の過剰生産・廃棄の抑制によるCO2排出削減の貢献効果を、メルカリはリユースによる環境削減貢献量を公開した。
エアクロはCO2排出削減19%・廃棄物排出抑制27%と推計
事業は「2022年度 デジタル技術を活用した脱炭素型資源循環ビジネスの効果実証事業」。両社は採択事業者として、実証・検証委託業務を担った。資源循環ビジネスモデルによる効果と推計データを環境省に提供。同省が検証結果をまとめ、報告書として作成している。
エアークローゼットによると、衣服シェアリングによるファッションレンタルサービスは、主に配送面での環境負荷が要因でサステナブルなビジネスであるかどうか議論となっていた。しかし、実証事業で、衣服シェアリングモデルのファッションレンタルサービスがサステナブルなビジネスであることが推計されたという。
通常の販売モデルである「全ての衣服をユーザーが保有し、使用後は可燃ごみとして廃棄する」フローをベースラインシナリオとし、ファッションレンタルモデルである「ベースラインより少ない衣服をユーザーが保有するとともに、『airCloset』で衣服のレンタル(シェアリング)を行う」フローをファッションレンタルサービスシナリオとして、効果推計を実施した。
その結果、レンタル時の配送による環境負荷も考慮した上で、衣服の過剰生産・廃棄の抑制による環境面での貢献効果は「CO2排出削減19%・廃棄物排出抑制27%」が推計された。
環境省の報告書では、「衣服は原料調達段階と生産段階におけるCO2排出量が大きい特徴を有するため、シェアリングを通じて衣服の購入・保有が抑制されることで、衣服の生産量が削減された部分が主たるCO2削減効果として期待されることが分かる」と記している。
27%の廃棄物排出抑制は「シェアリングを通じてユーザーによる衣服の購入・保有が抑制されることで、衣服の生産量が削減されたことによるもの」。また、「生産量の削減によって原料調達・生産段階での工程ロスと使用済み衣服の廃棄量の削減とともに、リサイクルへの仕向によって焼却処分の削減も見込まれた」とした。
エアークローゼットは、サーキュラーファッションの実現により、「アパレル廃棄量の削減」「生産量の最適化」「適切なリユース・リサイクル」を推進することで、ファッション業界全体がサステナブルになっていくと考えている。
リユースによりスマホやPCの使用年数が伸長
メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」の2次流通データに基づき、情報通信機器をリユースすることによって見込まれる環境削減貢献量を算出した。実証の対象としたスマートフォン、タブレット、PCなどの電気製品や電子機器の廃棄物は、日本では年間約257万トンを排出し、1人当たり約20kgの電気電子機器廃棄物を捨てており、世界で4位(国連調べ)だという。
実証事業で実施した、メルカリアプリ上で情報通信機器の出品者(1万6174人)、購入者(1万699人)への調査によると、「メルカリ」を活用してリユースした場合(脱炭素型2Rビジネスシナリオ)、製品の平均使用年数が伸びるという結果が得られた。それぞれの平均使用年数は、スマホが4.5年、タブレットが5.3年、PCは6.6年という結果となった。
これは、新品使用の場合と比べ、スマホは平均3.1年、タブレットは3.4年、PCは3.8年伸びた年数となる。また、原料調達・製造段階のCO2排出量の影響は大きく、余剰な製品の製造を抑制できる脱炭素型2Rビジネスシナリオでは約1.6万トンの排出量回避が見込まれる。
これにより、ベースラインシナリオ(1度使用された製品はリユースされず、廃棄処理される場合)と比べて25%のCO2排出量削減が可能になる。また、これを通じた廃棄物排出量は31%、資源投入量抑制効果は27%と試算されるとした。
メルカリは、22年度版サステナビリティレポートで、初めて環境に対する削減貢献量を開示した。取引量が多い衣類カテゴリーを対象に算出した結果、「メルカリ」で取引したことで、21年は約48万トンのCO2排出を回避できたことが分かった。また、出品されたことで回避できた衣類廃棄量約4.2万トンは、日本で1年間に捨てられる衣類の約8.8%に相当するという。
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