(株)メルカリが運営するメルカリ総合研究所が7日と8日に公開した、Z世代に焦点を当てた『世代別の消費行動と資産認識に関する調査』の結果と分析によると、売ることを前提に買う、所有するモノを資産と捉えて購買を行うという新しい消費者行動が、デジタルネイティブでフリマアプリネイティブともいえるZ世代を中心に顕著に表れていた。
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Z世代の42.7%が「売る前に欲しいモノを購入」
調査は7月11日と12日。全国18歳~69歳の男女1030人に聞いた。各世代の年齢構成は、18歳~24歳のZ世代が103人、28歳~43歳のミレニアル世代が327人、54歳~58歳のバブル世代が97人。
この中で、フリマアプリを含むさまざまなネットサービスを当たり前に利用する環境に育ったZ世代に焦点を当てた。デジタルネイティブと言われる世代には、他の世代にはない消費行動や意識が存在する可能性の検証を目的とした。メルカリ総合研究所は調査発表会を7日に開催。調査を監修した慶大商学部の山本晶教授がポイント解説の役割を担った。
それによると、保有・利用しているモノは手軽に売買ができ、現金化しやすいモノだと思うかと質問したところ、「とてもそう思う」が2.1%、「そう思う」が7.9%、「ややそう思う」が20.3%、合計30.3%が「そう思う」と回答。世代別では、Z世代が51.5%、ミレニアル世代が34.9%、バブル世代は18.6%となり、Z世代はバブル世代と比べて約2.8倍になっていた。
保有しているモノを売れば欲しいモノが買えるという想定で、「売る前に欲しいモノを購入することがあるか」を聞いたところ、「よくある」が5.2%、「たまにある」が20.7%と回答。世代別にみると、Z世代が合計42.7%、ミレニアル世代が合計28.4%、バブル世代が合計15.5%となり、Z世代が最も高い結果となっていた。
「メルカリ」のZ世代の利用データでは、不要品を出品することで、月間平均2万6000円の売上金を得ており、「メルカリ」での購入は月間平均1万5000円だった。売上金が購入金額を上回っていることから、家にある使わなくなったモノを出品して得た売上金を利用し、また「メルカリ」で欲しいモノを購入している傾向があると考えられる。
消耗品も資産とみる消費者が登場
これらを受けて山本教授は、フリマアプリの登場で、自分が保有する余剰資源を売るという行為が広く普及するようになった。調査では4割の消費者が所有するモノを売ることを前提に買う経験があると回答。所有するモノの売却益を前提にモノを購入する行為は、自動車や住宅といった製品カテゴリーでは一般的だったが、スニーカーやアクセサリなど、身の回りの日用品にもそうした行動が広がっているという点が、消費者行動として新しい。
売ることを前提に買う、所有するモノを資産と捉えて購買を行うという新しい消費者行動は、デジタルネイティブかつフリマアプリネイティブともいえるZ世代を中心に顕著。限られた資金の中で所有するモノを売りながらアパレルや推し活関連グッズなどのさまざまなモノの消費を楽しむ様子がうかがえる。今回の調査結果は、自分の所有しているモノをそれがたとえ消耗品であっても資産としてみる消費者が一部登場しているということを示している。
従来、消費者の購買行動の予算は「現金」が前提だったが、消費者の頭のなかの財布には、現金、預貯金などのいわゆる「お金」が入っていたと考えられる。フリマアプリやオンライン買取などの登場と普及は、所有物を売却することを簡便化し、結果として資産としての流動性を高めていると考えられる――と分析している。
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