購入金額が減ったのは「お酒」「お菓子・スイーツ」など
食品の値上げが相次ぐ中、食生活に関する価値観や消費実態の変化を捉えるため、調査は昨年に次ぐ。今年は5月、20歳~79歳の男女5000人に聞いた。それによると、食生活で重視する要素については、最多の「美味しさ」(57.6%)は昨年と変わらなかったが、「重視する」とした層は各項目で減っており、全体的に食生活へのこだわり度合いの低下がうかがえた。
しかし、「お得さ、コストパフォーマンス」(45.3%、昨年比+5.5pt)、「健康・栄養バランス」(43.9%、同+1.2pt)は伸びており、消費者は物価上昇を受け、価格に対してシビアになっているとともに、コロナ禍を経て強まった健康意識が引き続き高いことが見受けられる。「健康・栄養バランス」は年代が上がるほど重要視している層が多い傾向が見られた。
調査では「生鮮食品」「清涼飲料水」「保存食品」「お菓子・スイーツ」「お酒」の5つの商品カテゴリごとに、購入金額の変化や値上げに関する意識を聴取した。「購入金額が増えた」とした層の6割以上が、値上がりを理由に挙げていた。「消費量の増加」も2割程度あったが、相次ぐ価格高騰により、やむを得ず購入金額が増加したという背景も推測される。
また、「購入金額が減った」のは「お酒」が最多。「お菓子・スイーツ」が続き、嗜好品ほど減っていた。全体として金額が減った理由は、「購入するのをやめた」「消費量・購入頻度が減った」といった消費自体の抑制と、「大容量・まとめ買い」「PB・低価格商品に変更」など買い方の工夫に大別された。買う物・買い方を精査することで家計防衛を図っていると推察される。
消費者の値上げに対する受容性は二分。その中で引き続き高まっている健康意識だが、特に女性は年代に応じて、健康へのアプローチの違いが見られた。年代が上がるほど「添加物の少なさ」「オーガニックや自然派食品の摂取」「産地など食の安全性」などのハームレスさを重視。有害物質をとり込まない「引き算発想」で、体内から健康になることを意識している。
利用意向が高い「免疫ケア食品・飲料」「高たんぱく加工食品」
一方で、「美容」「低カロリー・ダイエット」などの機能性に関しては、年代が若いほど高い傾向で、高機能食品を身体にとり込む「足し算発想」で、外見に直結する健康を追求している。また、年代が上がるに連れて、「免疫向上・病気予防」を重視しており、未病につながる高機能商品はとり入れている様子が見受けられる。
消費者の興味関心は多種多様なものに広がりを見せ、コンシューマー業界ではその需要に対応するため、利便性などの付加価値を加えた新商品・サービスが拡大している。利用経験と意向に関して、全ての新商品・サービスで、「継続使用中」「1度利用した」が多かったのは「ノンアル・低アル飲料」「免疫ケア食品・飲料」「高たんぱく加工食品」「代替肉」。健康・サステナビリティといった付加価値を備えた商品の浸透度が相対的に高い傾向があった。
また、これらの浸透度合いが高い商品の中でも「免疫ケア食品・飲料」「高たんぱく加工食品」は、利用意向の割合も高くなっている。コンシューマー企業は、こうした消費者意識の高まりを契機と捉え、高付加価値商品・サービスのさらなる認知拡大を図るとともに、利用促進に向け新たな価値理解のための仕掛けづくりやマーケティングが重要になるとしている。
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