2024.11.25 通販会社
効果的なAmazon広告運用のTips
Amazonでの販売で成功を収めるには、適切な広告戦略の構築が不可欠です。本記事では、7年以上のEC運営経験を持つAmazonコンサルタントの視点から、Amazon広告の基礎から応用まで、実践的なノウハウをお伝えします。広告費用対効果を最大化し、売上向上につなげるための具体的な施策と、実際の成功事例を交えながら解説していきます。
Amazon広告の基礎知識と特徴
1-1. Amazon広告の種類と特徴
(出典:Amazonの広告ソリューションで認知と売上を向上しましょう_Amazon.co.jp|https://sell.amazon.co.jp/grow/advertising)
Amazon広告には大きく分けて3種類の広告フォーマットが存在します。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
1つ目は「スポンサープロダクト広告」です。
検索結果ページや商品詳細ページに表示される広告で、最も一般的な広告タイプです。特定のキーワードやターゲティングを設定し、商品を効果的に露出できます。
2つ目は「スポンサーブランド広告」です。
検索結果ページの最上部に表示され、複数の商品とブランドロゴを同時に訴求できます。ブランド認知度の向上や新商品のプロモーションに効果的です。
3つ目は「スポンサーディスプレイ広告」です。
商品詳細ページや関連商品欄に表示される広告で、興味・関心に基づいたターゲティングが可能です。リターゲティング機能を活用することで、商品閲覧者への再アプローチも実現できます。
1-2. スポンサープロダクト広告の仕組みと活用法
スポンサープロダクト広告は、入札型の広告システムを採用しています。広告主が設定した入札額と商品の関連性スコアに基づいて広告枠の表示順位が決定されます。
広告の表示機会を増やすポイントは、以下の3つです。
1,適切なキーワード選定:
検索ボリュームと競合状況を考慮し、費用対効果の高いキーワードを選定します。自動ターゲティングを活用して効果的なキーワードを発見することも有効です。
2,競争力のある入札単価:
競合状況に応じて入札単価を調整します。ただし、単純に高額入札するのではなく、商品の利益率を考慮した適正な入札額を設定することが重要です。
3,商品ページの最適化:
広告の効果を最大化するには、商品ページの完成度が重要です。魅力的な商品画像、分かりやすい商品説明、適切な価格設定など、基本的な要素を押さえることで広告効果が向上します。
1-3. 他のECプラットフォームとの広告の違い
Amazon広告の最大の特徴は、「購買意欲の高いユーザーへのアプローチ」が可能な点です。Amazonを訪れるユーザーの多くは、すでに購入を検討している段階にあり、広告からの転換率が高くなる傾向があります。
また、Google広告やSNS広告と比較して、以下のような特徴があります。
・ターゲティングの精度: Amazonは豊富な購買データを保有しており、ユーザーの購買行動に基づいた精緻なターゲティングが可能です。
・広告効果の測定: 広告表示から購入までの動線がAmazonプラットフォーム内で完結するため、より正確な効果測定が可能です。
・運用の自由度: キーワードの設定や入札額の調整など、細かな運用が必要な一方で、リターゲティングのオーディエンス設定などは他のプラットフォームと比べてシンプルです。
このようなAmazon広告の特性を理解し、商材や目的に応じて適切な広告戦略を構築することが、売上向上への近道となります。
2. 売上を伸ばすAmazon広告の実践テクニック
2-1. 効果的なキーワード戦略
Amazon広告で成功するには、適切なキーワード選定が不可欠です。以下の3つのステップで効果的なキーワード戦略を構築しましょう。
まず、キーワードの種類を理解することが重要です。Amazonでは「完全一致」「フレーズ一致」「幅広い一致」の3つのマッチタイプが存在します。初期段階では、「フレーズ一致」を中心に設定することをお勧めします。これにより、関連性の高い検索クエリに対して広告を表示しつつ、予期せぬキーワードでの広告表示を防ぐことができます。
次に、キーワードの発掘方法についてです。自社商品名や一般的な商品カテゴリー名だけでなく、以下の方法でキーワードを収集します:
・オートターゲティングの結果分析
・Amazonの検索サジェスト機能の活用
・競合商品の分析
・お客様のレビューやQ&Aからの抽出
最後に、ネガティブキーワードの設定です。不要なキーワードを適切に除外することで、広告費用の無駄を防ぎ、ROASの向上につながります。
2-2. 予算配分と入札単価の最適化
効果的な予算配分と入札単価の設定は、広告効果を最大化するための重要な要素です。
予算配分については、以下の3つの原則に従って設定することをお勧めします:
1,売上貢献度の高い商品への重点配分。主力商品や利益率の高い商品に予算を優先的に配分します。
2,季節性を考慮した柔軟な調整 需要の変動に応じて予算を増減させ、効率的な広告運用を実現します。
3,新商品とベストセラー商品のバランス 新商品の露出を確保しつつ、安定的に売れている商品の予算も確保します。
2-3. 商品ページとの連携による転換率向上
広告効果を最大化するには、広告と商品ページの連携が重要です。商品ページの最適化は、主に商品タイトル、商品画像、商品説明文の3つの要素で構成されます。
商品タイトルは、検索キーワードを自然な形で含めながら、商品の主要特徴を簡潔に表現することが重要です。Amazonで定められている文字数制限を意識しながら、購入者が求める情報を過不足なく盛り込むことを心がけましょう。
商品画像については、メイン画像で白背景に商品を明確に表示し、サブ画像では商品の用途や使用シーンを効果的に訴求します。視覚的に商品の特徴や利点が伝わるよう、複数の角度から撮影した画像を用意することが推奨されます。
商品説明文では、主要な検索キーワードを自然に織り込みながら、商品特徴を分かりやすく説明します。想定される購入者の課題に対して、商品がどのように解決できるのかを具体的に示すことで、購買意欲を高めることができます。
さらに、これらの基本要素に加えて、ブランド登録を行うことで利用可能になるA+コンテンツを活用し、商品の魅力をより詳細に伝えることができます。また、高評価のカスタマーレビューを獲得・維持することで、広告からの訪問者の購買意欲を高めることができます。
これらの要素を総合的に最適化することで、広告費用対効果を最大限に高めることが可能になります。広告運用と商品ページの最適化は、どちらか一方だけではなく、両輪として捉えることが重要です。
3. Ankerに学ぶAmazon広告活用戦略
3-1. 5年で売上30倍を実現した広告戦略
(出典:Anker Nano II 65W_Amazon.co.jp)
モバイルバッテリーや充電器で知られるAnkerは、Amazon広告を戦略的に活用することで、2013年から2018年の5年間で売上を30倍に伸ばすという驚異的な成長を遂げました。2011年にGoogle出身のSteven Yang氏によって設立された同社は、Amazonを主要な販売チャネルと位置づけ、効果的な広告戦略を展開してきました。
Ankerの成功の根幹には、高品質な製品をリーズナブルな価格で提供することへの注力があります。これはAmazonが重視する「顧客中心主義」の理念と合致しており、Amazonユーザーからの高い評価獲得につながっています。
また、同社はAmazonの様々な機能を効果的に活用しています。Amazonブランド登録制度を利用したブランドストアの開設や、Amazon Vineプログラムを活用した新製品のレビュー収集など、プラットフォームの特性を活かした展開を行っています。
3-2. 複数の広告タイプを組み合わせた売上最大化術
Ankerは、スポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告など、Amazon広告の様々なフォーマットを効果的に活用しています。
これらの取り組みにより、以下のような成果を上げています:
・Amazonの「モバイルバッテリー」カテゴリーで、売上ランキング1位を獲得
・世界中で1億人以上のユーザーにAnker製品を届けている
Ankerの事例は、Amazon広告を戦略的に活用することで、EC市場において大きな成功を収めることができることを示しています。特に、Amazonのプラットフォーム特性を理解し、その機能を最大限に活用することで、効率的なマーケティング活動を実現している点は、他の企業にとっても参考になるでしょう。
(出典:5 年間で30倍の成長を遂げたAnkerの原動力_ Amazon Ads|https://advertising.amazon.com/ja-jp/library/case-studies/anker)
4. 効果測定と改善のポイント
4-1. 広告効果の測定と分析手法
Amazon広告の効果を正確に把握し、継続的な改善を行うためには、適切な指標の選定と分析が重要です。主要な広告指標について理解し、自社の目的に合わせた効果測定を行いましょう。
まず最も重要な指標は、広告費用対売上高比率(ACoS:Advertising Cost of Sales)です。これは広告費用を広告経由の売上で割った値で、数値が低いほど効率が良いことを示します。適正なACoSは、商品の利益率、ライフサイクル、競争環境、そして企業の目標によって大きく異なります。そのため、自社の状況を十分に分析した上で、適切な目標値を設定する必要があります。
次に注目すべき指標は、投資対効果(ROAS:Return on Advertising Spend)です。ROASは広告経由の売上を広告費用で割った値で、ACoSの逆数となります。この指標は、投資した広告費用に対してどれだけの売上を得られたかを示すため、経営的な判断を行う際に重要な指標となります。
また、クリック率(CTR)と注文率(CVR)の分析も重要です。CTRは広告の表示回数に対するクリック数の割合を示し、広告の訴求力を測る指標となります。CVRはクリック数に対する注文数の割合で、商品ページの説得力を測ることができます。これらの指標が低い場合は、それぞれ広告のクリエイティブや商品ページの改善が必要となります。
4-2. パフォーマンス改善のためのチェックリスト
広告パフォーマンスを継続的に改善するため、以下のチェックリストに従って定期的な見直しを行います。
広告キーワードの最適化では、検索キーワードレポートを活用して効果検証を行います。高いパフォーマンスを示すキーワードは入札単価を引き上げ、効果の低いキーワードは除外または入札単価を下げるなど、メリハリのある運用を心がけます。
また、広告表示サイズによるパフォーマンスの違いも重要な確認ポイントです。トップページや検索結果の上位に表示される広告は、クリック単価は高くなりがちですが、CVRも高くなる傾向にあります。商品の特性や価格帯に応じて、最適な表示位置を見極めることが重要です。
商品ページの改善も定期的に行う必要があります。特に以下の要素は、広告効果に直接影響を与えます: 製品画像の品質、商品説明の分かりやすさ、カスタマーレビューの評価と数、在庫状況、価格競争力。これらの要素を定期的にチェックし、必要に応じて改善を行います。
さらに、季節性やトレンドの変化にも注意を払う必要があります。売上の山と谷を把握し、繁忙期に向けては事前に広告予算を確保し、閑散期には効率的な予算配分を行うなど、時期に応じた柔軟な対応が求められます。
最後に、競合分析も欠かせません。自社商品と同じ検索結果に表示される競合商品の価格帯、広告の出稿状況、商品ページの特徴などを定期的にチェックし、競争環境の変化に応じた施策を打つことが重要です。
パフォーマンスの改善は一朝一夕には実現できません。これらのチェックポイントを定期的に確認し、PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を図ることが、長期的な広告効果の向上につながります。
5. まとめ
本記事では、Amazon広告を活用した売上拡大の方法について、基礎知識から実践的なテクニック、さらには成功事例まで、幅広く解説してきました。
Amazon広告の効果的な活用には、「広告の基本設計」「運用の最適化」「効果測定」という3つの要素が重要です。特に、スポンサープロダクト広告を中心とした広告タイプの選択と、キーワード戦略の構築は、成功への重要な鍵となります。
Ankerの事例が示すように、Amazon広告は適切な戦略と運用により、大きな成長を実現できるツールです。同社は5年間で売上30倍という驚異的な成長を遂げましたが、その背景には広告戦略の綿密な計画と実行がありました。
また、広告効果を最大化するためには、商品ページの最適化も欠かせません。広告で集客しても、商品ページの完成度が低ければ購入にはつながりません。広告運用と商品ページの改善は、常に両輪として捉える必要があります。
最後に強調したいのは、広告運用は決してやりっぱなしにせず、継続的な効果測定と改善が必要だということです。ACoSやROASなどの指標を適切に管理し、定期的な見直しを行うことで、より効率的な広告運用が可能となります。
Amazon広告は、正しく活用すれば非常に強力な販売促進ツールとなります。本記事で解説した内容を参考に、自社の状況に合わせた広告戦略を構築していただければ幸いです。
プロフィール情報
つきみ株式会社 代表取締役 山本 達巳
静岡市出身、関西学院大学卒。留学がきっかけで輸入品雑貨のネット販売事業を開始。令和元年に独立し、複数の海外メーカー取引きの経験を経て、自社アウトドアブランドを展開。
その後、自社ブランドを拡大させたい事業者を応援したいという思いから、令和6年につきみ株式会社を設立。商品ページ最適化や広告運用、SNSなどECに関係する領域を幅広く対応しつつ、商品ブランディング支援を行っている。これまで30社以上のEC支援を行う。
つきみ株式会社 https://tsukimi.ne.jp/
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