2012.09.26 通販会社
『ライフ・イズ・ベジタブル-オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント-』
オイシックス株式会社は、国内最大規模の食品EC「Oisix」の運営会社である。2012年現在、創業12年目にあたり、利用者75万人、社員156人を抱え、売上高は126億円に達する。本書は同社の高島宏平社長が、苦しい創業期を乗り越え今日に至るまでの軌跡を描いたビジネス書だ。
高島社長は冒頭で、これは「成功物語」ではなく、「夢中物語」であると説明する。自身の小学生時代から現在までを振り返り、一生懸命あらゆることに挑戦し続けたことで、「夢中の産物」として数々の結果を生んだ、というのがその理由だ。今でこそ国内最大規模の食品ECサイトとして多くの人に名前を知られる存在になったが、創業期は資金面の問題など様々な苦労があった。しかし、目の前の課題に夢中になり、一つ一つ乗り越えてきたことで、現在の規模にまで成長を遂げたのである。 ビジネスを続けて行くと、大小の差はあれど日々問題は発生するものだ。問題に直面したとき、どのように向き合い、どういうメンタリティで解決を試みればいいのか。会社を率いるリーダーとしての才が問われる部分である。高島社長は学生時代に自身のリーダー資質に気づき、あらゆる挑戦を続けて結果を残してきた。卒業後はコンサル会社として名高い、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、社会人としての実力をつけるとともに、「問題解決法」を身につけた。 高島社長が強調するのは、問題と向き合うためには、極力細分化し小さな問題にすることと、その状況を「楽しむ」という姿勢だ。オイシックス自身も倒産につながりかねない大きな問題に直面したこともあったが、高島社長の「ピンチを楽しもう」というポジティブな思考が会社全体を巻き込み、それを回避したのである。 また、2011年3月に発生した東日本大震災では、食品会社として率先して放射能の自主検査に乗り出し、安全な食品の提供を続けた。その他、複数の著名人らとともに「東の食の会」という一般社団法人を立ち上げ、被災地支援を行っている。これらも目の前にある事態に対し、「自分の今できること」に夢中になった結果、成し遂げた事である。 オイシックスでは「農家・オブザイヤー」という、その年のベスト農家を決定するイベントを開催している。消費者から一番「おいしい」というコメントをもらった農家を表彰するものだ。高島社長によると、これまで農家は消費者に評価される場がなかった。しかし、堅実に野菜づくりを続ける農家はしっかりと評価されるべきであり、同社がイベントを通じてそれを可視化したことで、各農家のモチベーションにつながり、よりおいしい野菜づくりに精を出す事ができているのだという。オイシックスの「楽しむ」という姿勢によって誕生したこのイベントは、オイシックス・農家・顧客のWin-Win-Winの関係づくりにも貢献しているのである。 本書は経営を軌道にのせるヒントだけでなく、社員のモチベーションの上げ方や、顧客とのコミュニケーション設計についても学べる点が多くあるので、通販会社の経営陣だけでなく、もっと楽しく仕事に臨みたいと考えている現場の社員も、ぜひ一度読んでみてほしい。
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【著者プロフィール】――――――――――――――――――――――――――――――――――
高島 宏平 1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。大学時代は、学生の国際交流活動などのサークルに熱中。大学院時代に、自らベンチャー企業を立ち上げ、インターネット事業を手がける。1998年、大学院修了と同時に、外資系コンサルティング会社のマッキンゼーに入社。Eコマースグループのコアメンバーとして活躍。2000年6月、インターネットを通じて、安全でおいしい食材を一般家庭に宅配するオイシックス株式会社を設立。同社代表取締役に就任。2007年、世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出される。開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組むNPO法人「TABLE FOR TWO International」理事、東日本大震災によって被害を受けた東日本食品関連産業の長期的支援を目的とした一般社団法人「東の食の会」代表理事をつとめる。
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