楽天(株)が10日発表した2018年12月期第1四半期連結決算(1~3月)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比14%増の2418億7100万円、営業利益が同30.5%減の280億9800万円、四半期利益は同30.5%減の174億2100万円と、増収減益となった。
CtoC・直販ビジネスへの投資で利益減に
Fintech(インターネット金融)などが好調で増収となったが、CtoCサービスや楽天ダイレクトなどへの投資、宅配の総量規制や運賃値上げの影響を受け、インターネットサービスの利益が落ち込んだことで、減益となった。
Fintechの売上収益は同15.5%増の900億1400万円、セグメント利益は20.9%増の205億9100万円となった。楽天市場など国内ECを含むインターネットサービスは、売上収益が同16.3%増の1734億、セグメント利益は同44.9%減の146億2700万円で、Fintechの利益がインターネットサービスを上回った。
インターネットサービスのうち、国内ECは売上収益が同8.8%増の973億円、営業利益は同8.3%減の164億円となった。国内EC流通総額は同11.4%増の8576億円だった。グローバル流通総額は同17.5%増の3兆4000億円となった。
楽天市場のモバイル流通総額比率は、同3.7ポイント増の66.5%。楽天市場流通総額の楽天カード決済比率は、同4.2ポイント増の55.8%だった。
「フリマ」手数料の変更の可能性も
CtoC事業では、フリマアプリ「ラクマ」の利用者が急増していながら、手数料の無料化を継続しているため、投資額が増加することになった。ECカンパニー プレジデントの河野奈保氏は、「ラクマ」の手数料無料について「まずはマーケットのキャッチアップが優先だが、適切なタイミングで対応したい」と語り、いずれかのタイミングで手数料無料の変更を示唆した。楽天ダイレクトについては、「直販ビジネスで扱う日用品などは、新規ユーザーを獲得に向けて重要で、引き続き強化したい」と話した。
また、直販ビジネスのうち、4月に開始した「楽天ビック」は好調で、オープンの一日で、過去最高の売上を記録したという。
第4の携帯として2019年10月に開始することを目指すしているMNO事業については、総務省から4月9日に「特定基地局開設計画(1.7GHz帯)」の認定を受けた。現在、東京電力、中部電力、関西電力、九州電力などの電力設備を活用し、基地局設置のコスト削減を図っている。
会見では設備投資額として予定している6000億円について、他の携帯事業者が毎年捻出しているレベルの投資額で、設備投資の額が足りないのでは? という指摘もあった。通信&メディアカンパニー プレジデント の山田善久氏は、「他社の予算についてコメントすべき立場ではない」としながら、「(メンテナンスなど)設備の維持更新に費用がかかっているのではないか」と推察。「6000億円という数字の根拠には自信がある」と語り、MNO事業を開始するのに十分な予算であるというこれまで通りの姿勢を貫いた。
(山本 剛資)
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