「お試しだけ」のつもりが「定期購入」に、解約したくても「解約できない」――。通信販売の定期購入に関する相談が、全国の消費生活センターや、全国消費者生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)などに「激増」しているという。国民生活センターが19日、増加ぶりや相談内容を明らかにし、通算3回目となる定期購入トラブルについての注意喚起を行った。
記者会見の様子
7カ月で前年度の相談件数超す
LP上で、「1回目90%OFF」「初回実質0円(送料のみ)」など、通常価格より安く購入できることを広告する一方で、定期購入が条件となっている健康食品や飲料、化粧品の通信販売に関する相談が全国の消費生活センターなどに多数、寄せられている。
11月末時点で前年同期比1.3倍
センターによると、相談件数は年々増加。2019年度(19年4月―11月末まで)にPIO-NETに寄せられた相談は2万9177件と、18年度(18年4月―19年3月)の2万3002件をすでに上回り、前年度同期比約230%と激増。14年度が1925件で、15年度は5922件、16年度は1万4909件と前年度比2.5倍に。さらに17年度は1万9261件、18年度は2万3002件。19年度は3万件に届く勢いだ。
「ダイエット効果のあるサプリメント、お試し500円」という広告を動画投稿サイトで見て注文した。最近になって、初回の商品と同じ商品が届き、約6,500円の請求書が同梱されていた。事業者に問い合わせると、「5回の商品購入が条件の契約」と言われた。お試しのみの購入で定期購入が条件とは思わなかった。注文時の最終確認画面にも高額な金額の記載はなく、定期購入が条件とも記載されていなかった。こんなに高額になるなら注文しなかった――代表的な相談事例はこんな具合だ。
ほかにも、こんな相談があった。
2回目に数か月分の商品が一度に届いた/カウントダウンに焦って注文したら実際には定期購入が条件だった/定期購入契約を解約するには通常価格で商品を購入する必要があると言われた/通常価格での商品購入が「解約保証」の条件となっていた/いつでも解約可能の定期購入を解約しようとしたが、申請期間外だと断られた/事業者に電話がつながらず解約できない/体調不良を理由に解約を申し出たが医師の診断書を求められた――。
定期購入が条件であることの契約内容や解約条件が認識しづらいことや、契約内容の表示が不十分なSNS上の広告や動画広告をきっかけに注文に至っていることが特徴といえ、後に、事業者と連絡がとれなくなったり、想定した以上の金額を支払うことになっている。国センによると、商材別ではダイエット効果や筋肉増強をうたう健康食品などの相談が一番多く、次いで除毛剤や美容液といった化粧品類に関する相談が多いという。
相談のある事業者は100社以上
国センの担当者によると「トラブルを引き起こしている定期購入は、一部の限定的な事業者だけが使っている“手口”ではない。PIO-NETに寄せられた相談情報を見る限り少なくともトラブルを引き起こしている事業者が100社以上いる」と話す。消費者が定期購入であることを認識できないままに商品購入をしてしまっていることが、事業者の“手口”であると繰り返し強調した。また、会見の場で担当者は「20歳未満の若年層における相談も増えている」との危惧も口にした。
「連絡がつかず解約できない」 という相談も多いことから、国センは相談のあった事業者に対して直接要望も行ったという。「先方からは『注文殺到で業務が追い付いていない、人員を拡充する』といった回答も得られるが、拡充しても電話を取り切れないといった事態もあるようで抜本的な解決につながらないケースが多い」と言う。
景表法・特商法の適正執行を要望
国センは、景品表示法を所管する消費者庁の表示対策課と特定商取引法を所管する同・取引対策課にそれぞれ「事業者に対して、(各法律の)規定を遵守するよう周知するとともに、違反行為に対しては厳正かつ適正な執行を実施すること」を要望した。
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