中国のアリババグループ・ホールディング・リミテッドがこのほど発表した2021年3月期第2四半期(20年7~9月)決算は、売上高が前年同期比30%増の1550億5900万元(約2兆4000億円)、営業利益が同33%減の136億3400万元(約2113億円)、純利益が同60%減の287億6900万元(約4459億円)となった。
コアコマース事業・クラウドコンピューティング事業が好調
中国小売事業をはじめとするコアコマース事業、クラウドコンピューティング事業の売上が好調に推移した。各売上高は、コアコマース事業が前年同期比29%増の1309億.2200万元(約2兆293億円)、中国小売事業は同26%増の954億7000万元(約1兆4798億円)、クラウドコンピューティング事業は同60%増の148億.9900万元(約2309億円)となった。
同社グループのマギー・ウーCFOは、「ポストコロナ時代に移行している中、消費者の購入頻度と平均消費支出増加に伴い、コアコマース事業は安定成長を続けている。同時に、各業界によるデジタル化の推進で、クラウドコンピューティングサービスによる売上も拡大。戦略的投資で経営効率が向上し、大きな効果を生み始めている」としている。
アントグループの株式報酬費用の発生で減益に
また、中国小売市場の年間アクティブ・コンシューマー数は7億5700万人に達し、6月末時点より1500万人増加。中国小売市場における月間モバイルアクティブユーザー数は8億8100万人に達し、同700万人増加した。
営業利益は、従業員に付与されたアントグループの株式報酬に関連する費用が157億5300万元(約2442億円)増加したことにより前年比で減少したが、この影響を除いた営業利益は同44%増の296億9000万元(約4602億円)となった。純利益もアントグループの株式33%の取得に伴う一時的な多額の利益を計上した前年同期に比べ、減少した。
天猫・天猫国際は好調、天猫国際のGMVは37%増
EC事業をけん引する天猫(Tモール)は、現物商品の取引による流通総額(GMV)は、未払い注文を除き前年同期比21%増となった。主に食品・飲料、健康、美容・セルフケア分野によるもので、FMCG(一般消費財)は今期も天猫で最も成長が著しいカテゴリーとなっている。また、天猫服飾の成長速度は新型コロナウイルス流行前の最高水準まで回復。タオバオのオンラインにおける現物商品の取引によるGMVは同10%以上の増加となった。
越境ECプラットフォームの天猫国際(Tモール・グローバル)は、豊富で高品質な商品を提供することで新たな消費ニーズを満たすことに成功。GMVは同37%増となった。9月30日現在、同プラットフォーム上のブランドおよびマーチャント数は同2桁の成長率で増加している。
ライブコマース「タオバオライブ」のGMVは約5兆4250億円
ライブコマースサービスのタオバオライブは、マーチャント、ブランド、インフルエンサー、ジュファサンを含むアリババ各サービスにとって、ユーザーとの双方向コミュニケーションを行うための重要なマーケティングツールと販売チャネルとなっている。タオバオライブを通じて行われたGMVは9月末時点での年間GMV3500億元(約5兆4250億円)を超えた。
タオバオは9月からインターフェースを一新し、より没入感のあるユーザー体験を提供できるようになった。一例として、タオバオアプリのトップページではレコメンデーションフィードの範囲を拡張し、商品をよりダイナミックに表示している。こうした新たなインターフェースがユーザーエンゲージメントを高め、消費者の購買率向上につながるとした。
タオバオ特価版の月間アクティブユーザー数は7000万人を突破
タオバオ特価版は3月に新バージョンをリリースして以来、力強い成長を遂げており、月間アクティブユーザー数は9月現在7000万人を突破。同時に、タオバオとタオバオ特価版の両方を利用している消費者は、タオバオのみを使用する消費者よりも購入頻度や平均消費額の増加スピードが早くなっている。
10月21日には、第12回天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバルを開始。25万以上のブランドが参加し、200万以上の新製品が登場する予定だ。今年は11月1~3日および11月11日当日と販売期間を2回設けているため、消費者が人気の製品だけでなく、中小企業の製品を目にする機会も増えた。販売期間の延長で、消費者はより多くの商品を閲覧したり、割引を受けられたりすると同時に、注文商品をより早く受け取ることができるようになる。
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