楽天(株)が12日発表した2020年12月期第3四半期(1~9月)連結決算は、売上収益が前年同期比14.8%増の1兆401億9000万円、営業損失が605億1900万円(前年同期は1129億6700万円の営業利益)、四半期損失が714億7100万円(前年同期は141億1700万円の四半期損失)となった。
国内EC売上は17.2%増の1492億円
売上収益は、第3四半期累計、同単体(3614億円)とも過去最高を記録。創業以来の連続増収を更新している。利益面では、4月に本格参入した携帯キャリア事業への投資による利益圧迫や、コロナ禍の影響はあるものの、国内外70以上の多様なサービスで構成される「楽天エコシステム」を活用した事業経営で事業リスクの分散を図るとともに、引き続きメンバーシップ、データ、ブランドを結集したビジネスの展開、AIなどを積極的に活用したサービスの開発と展開を進めている。
インターネット、フィンテックなどオンラインとオフラインを問わない「楽天エコシステム」のグローバル事業展開を加速し、楽天IDのメンバーシップ制度による顧客獲得コストの削減や、楽天モバイルにおける完全仮想化ネットワークなどのコスト削減で、ポイント還元や利用料金の低廉化でユーザーに還元していくとしている。
主力のインターネットサービス事業は、売上収益が6071億1000万円(前年同期比8.2%増)、セグメント損失は39億6100万円(前年同期は1140億3900万円のセグメント利益)となった。うち、国内ECの売上収益は1492億円(同17.2%増)、営業利益は152億円の黒字(同0.9%増)となった。物流への先行投資を除くと、「楽天市場」をはじめ、ネットスーパーや直販事業が好調で、同12.0%増と好調に推移している。
楽天市場が好調、国内EC流通総額は1兆1000億円に
国内EC流通総額は1兆1000億円。「楽天市場」などでの伸びが力強く、国内EC流通総額は二けた成長となった。「楽天トラベル」は業界全体よりも早く流通総額が回復、第4四半期では予約ベース取扱高でプラス成長の見込みだ。
フィンテック事業の売上収益は4257億2700万円(前年同期比20.3%増)、セグメント利益は633億9100万円(同24.5%増)となった。楽天銀行の口座数は9月末で945万口座を記録し、新規口座獲得数が堅調に伸長。併せて新規口座開設1位を獲得した楽天証券や、楽天カード会員数の2000万突破などで大きく成長。オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益の増加が続いている。
1兆ドル以上の通信産業市場をターゲットに
この日、オンラインで説明に臨んだ三木谷浩史会長兼社長が力説したのが、もう一つの柱に据えたモバイル事業の好調さと将来展望。「常識を覆すイノベーション」として挙げたのが、4月から4Gを、9月から5Gサービスを開始した「楽天モバイル」だ。同サービスは、基地局の開設を加速化させ、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上等に努めている。
さらに、世界初、世界唯一の「完全仮想化ネットワークの構築」で、基地局の設備投資で40%、運用コストで30%を超える費用を削減できるとした。11月時点での累計契約申し込み数は160万回線を超えた。
また、単なる携帯電話サービスではなく、「楽天コミュニケーションプラットフォーム」として、グローバル展開して収益化し、「グローバルテレコムカンパニーとして進化させる」と明言した。イノベーションにより、1兆ドル以上の通信産業市場をターゲットにするとも説明した。
モバイルセグメントの売上収益は1285億8300万円(前年同期比54.2%増)、セグメント損失は 1402億9400万円(前年同期は334億7200万円のセグメント損失)となった。
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