(株)ネットプロテクションズがこのほど発表した「コロナ禍におけるスキルシェアサービス需要の変化に関する定点調査」のまとめによると、サービス未経験者の利用意向が、1年間で1.6倍に増加していることが明らかになった。
個人間のスキル売買「スキルシェアサービス」が人気に
働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルスの感染拡大といった情勢の変化で、リモートワークや時短出勤などの働き方が、「ニューノーマル」と呼ばれるほどまでに浸透しつつある。時間や場所に縛られない働き方が恒常化する現在、より大きな役割を果たす存在の1つが、個人間でスキルを売買できるスキルシェアサービス・クラウドソーシングだ。
調査は、サービスに対する意識をスキル提供者・購入者双方の視点から得ることで、急速に「ノーマル」が刷新される中でスキルシェアに求められる要素を検証した。調査期間は2000年3月と21年3月。いずれも20~50代の男女それぞれ769人、842人に聞いた。
スキルを「売りたい人」の回答は1.8倍、「買いたい人」の回答は1.5倍
同調査によると、スキルシェアサービスを利用したことがある割合は、20年時点より5ポイント減の11.2%と停滞傾向にあった。一方で、利用未経験者のうち、スキルを「買いたい」と回答した人は21年時点の1.8倍となる11.5%、「売りたい」と回答した人は21年時点の1.5倍となる11.8%だった。
サービスに対しての懸念は、全体では「個人間のトラブル」が前回調査時に引き続き30%超え。利用経験別に注目すると、懸念事項が明確に異なっていた。
「あと値決め式」「価格変動式」の支持率が2倍に
買い手にとっては、利用経験層が「価格や提供内容への納得感」、未経験で利用意向層が「個人間トラブル・個人情報の漏洩の怖さ」。売り手は、利用経験者が「時間やスキルの安売り」、未経験者が「買い手不在」「個人間トラブルや個人情報漏洩の怖さ」。サービスを利用したことがない層が「買い手不在への不安」といった信用性への不安感を抱える一方、利用したことのある層は「時間やスキルの安売り」といった不当な対価流通を懸念していた。
では、どのような価格形式が支持されるのか。前回調査での定価式への支持率は全体平均で51%だったが、37.6%に減少。スキル利用経験ごとに注目すると、経験者は未経験者に比べて、「あと値決め式」や「価格変動式」の回答率が約2倍となっていた。
利用経験者の38%が「価格以上を払いたいと思ったことがある」
売り手目線での希望の販売方法でも、利用経験の有無での差異が顕著。「オークション式」のうち、利用経験者は「あと値決め式」「価格変動式」、未経験者は「フリマ式」を最も支持している。買い手視点でも、利用経験者における「あと値決め式」「価格変動式」の回答率が未経験者に比べて高かったことから、買い手・売り手双方の立場から、相談・交渉形式の販売方法に同様の課題を感じているといえる。
「期待以上のサービスを受けた後に、スキルの提供者に対して事前に決まっていた価格以上を払いたいと思ったことはあるか」という設問に、利用経験者のうち38.3%が「よくある」と回答し、前回調査時よりも1.5倍となった。利用未経験者も含めた平均と比較すると、「よくある」「ある」と回答した割合は約10倍となっていた。
こうしたことから同社は、実際にサービスを経験した人を中心に、良質なサービスに対する「正当な対価流通」への意識が形成されていることがうかがえるとした上、より多くの対価が支払われていたはずの取引が見逃されている現状が明らかになったと考察している。
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