アスクル(株)がこのほど発表した2021年5月期(20年5月21日~21年5月20日)連結決算は、売上高が前期比5.4%増の4221億5100万円、営業利益が同57.8%増の139億2300万円、純利益は同37.2%増の77億5800万円となった。
ソフトバンク・ヤフーとの連携強化で成長が加速
主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、コロナ禍による感染対策商品の伸長に加え、オフィス用品需要が回復した。BtoC事業はソフトバンク(株)、ヤフー(株)との連携強化により成長が加速し、23年5月期での黒字化をめざす「LOHACO」も損益改善が計画通り進捗。いずれの段階利益も過去最高益を大幅に更新し、営業利益は13期ぶり、最終利益は8期ぶりの過去最高益となった。
eコマース事業の売上高は前期比5.4%増の4137億8100万円。差引売上総利益は、継続的な原価低減活動に加え、感染対策商品など商品利益率の高い商品の売上高が伸長。「LOHACO」の売上総利益率の改善も進み、同10.1%増の1041億7100万円となった。
オフィス用品の需要が従来水準に近づく
BtoB事業の売上高は前期比4.9%増の3451億9200万円。20年5月の緊急事態宣言解除後は、中小企業の顧客を中心に、コロナ禍で事業活動を再開、継続していくために必要となった手指消毒液やマスク、パーティションなどの感染対策商品に対する需要が増加。医療機関や介護施設など、新規の顧客も増加した。
中堅・大企業の顧客についても、オフィス用品をはじめとする需要が従来の水準に戻りつつある。またeコマース需要の増加による梱包資材などのMPO商材や、取扱い商材数が890万アイテムを超え、品揃え強化に注力しているロングテール商材の売上高も伸長した。
「LOHACO」売上高は同8.7%増の528億円
BtoC事業の売上高は、前期比8.3%増の685億8800万円。また、「LOHACO」の売上高は、同8.7%増の528億5800万円となった。「サイバーサンデー」や「超PayPay祭」などの販促効果もあり、売上高は順調に伸長。損益改善については、コロナ禍の自粛生活が続く中で、付加価値の高い商品の提案や、販売価格の適正化などで商品粗利率の向上が進んだ。
同社は22年5月期の通期業績予想に併せて、今後の見通しに明らかにした。EC市場の競争激化に勝ち抜くためとし、22年5月期~25年5月期を期間とした中期経営計画を策定。最終年度には売上高5500億円、営業利益率5%をめざす。また、同時期を目標に取扱商品数を1800万アイテムまで拡大するほか、在庫商品も33万アイテムに拡大。環境配慮型商品であるオリジナル商品数も従来の1.4倍に拡げる。
次期はECサイト刷新、「BtoB最強eコマースサイトの構築」へ
さらに、23年5月期中に32億円を投資し、通販サイトをリニューアルする予定。「BtoB最強eコマースサイトの構築」とし、従来からの購買管理機能、ボリュームディスカウント、検索からの最速購入、パーソナライズドリコメンドを結集・強化し、テレワーク対応の新機能を追加する。25年5月期までの累計売上高の増加額として500億円超を計画している。
BtoC事業は、「LOHACO」の収益事業化の実現をめざす。ヤフーのシステム基盤の活用などで、23年5月期での黒字化を計画。黒字化以降は、売上高を再成長軌道に乗せて収益を拡大する。6月にオープンした「LOHACO 本店」と「LOHACO PayPayモール店」の相乗効果を最大化し、25年5月期までの累計売上高の増加額 200億円超を計画している。
物流センターを構造改革、「BtoBとBtoCの物流を融合」へ
さらに物流センターの構造を改革し、併せてBtoBとBtoCの物流の融合を進める。具体的には、物流センターの後方に商品補充用の倉庫ネットワークを構築し、出荷取り扱い商品数を拡大することで、物流センター本来の機能である出荷能力を最大化する。物流・ロジスティクス関連では17億円を投資。7月には最先端基幹センターである「ASKUL東京DC」が竣工し、22年夏の稼働開始を予定している。「ASKUL東京DC」は49億円の投資を見込んでいる。
22年5月期は、これらの実現に向けた礎を作る年度と位置付け、28億円のコストを投下しながら21年5月期並みの営業利益をめざす。通期業績は、売上高が前期比1.9%増の4300億円、営業利益が同0.5%増の140億円、純利益は同16.0%増の90億円を見込んだ。
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