ユニクロを運営する(株)ファーストリテイリングが14日発表した2021年8月期(20年9月~21年8月)連結決算は、売上収益が前期比6.2%増の2兆1329億9200万円、営業利益が同66.7%増の2490億1100万円、当期利益は同88.0%増の1698億4700万円となった。
EC売上は約18%増の1269億円
増収、大幅な増益となり、コロナ禍の影響で業績が大幅に低下した前期に対し、ユニクロ事業を中心に業績が回復した。事業成長の柱の1つとして注力するEC事業は、店舗と一体で本業と捉え、顧客がほしい商品や情報をほしいときに、ほしいだけ提供する仕組みづくりを加速。店舗とECが融合したサービスや、在庫の一元管理などの改革を進めている。
各事業のEC売上高は、国内ユニクロ事業が前期比17.9%増の1269億円、売上構成比は15.1%と、順調に拡大。海外ユニクロ事業は約20%の増収となり、売上構成比も約20%に拡大した。また、ジーユー事業は、情報発信の強化により増収となり、2年前比で約5割の規模で、売上構成比は約11%となった。
国内ユニクロ事業、在宅需要向け商品や秋冬コア商品が好調
国内ユニクロ事業の売上収益は前期比4.4%増の8426億円、営業利益は同17.7%増の1232億円と、大幅な増益となった。ECを含む既存店売上高は、同3.6%の増収。上期は、在宅需要にマッチした商品や秋冬コア商品の販売が好調で、同5.6%の増収。下期は、緊急事態宣言や天候不順の影響を受け、同0.9%増にとどまった。
売上総利益率は前期比1.4ポイント改善。主に値引き販売を抑制したこと、原価改善の取り組みを進めたことによる。同社は3月12日から、消費税の総額表示対応として、これまでの販売価格をそのまま消費税込みの価格とし、求めやすい価格で販売。売上高販管費率は、物流費や広告宣伝費の効率化により、同0.4ポイント改善した。
海外ユニクロ事業も好調
海外ユニクロ事業の売上収益は前期比10.2%増の9301億円、営業利益は同121.4%増の1112億円と、幅な増収増益。コロナ禍が影響を与えたが、感染が抑えられた地域や期間に関しては業績が大幅に回復した。地域別では、グレーターチャイナが幅増益。売上収益が前期比16.7%増の5322億円、営業利益が同52.7%増の1002億円と、過去最高を記録した。韓国は若干の減収も、黒字化。一方で、その他のアジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は、コロナ禍の影響が大きく、営業利益は約15%の減益となった。
ジーユー事業の売上収益は前期比1.4%増の2494億円、営業利益は同7.6%減の201億円と、増収減益となった。上期はシェフパンツ、スウェットライクセーターなどの販売が好調だった一方、下期は売れ筋商品の欠品による機会ロスや、一部の商品がトレンドを捉え切れず想定ほどの売上にならなかったため、通期の既存店売上高は若干の減収となった。
22年8月期業績はは上期は減収減益、下期で大幅な増収増益を予想
22年8月期の通期業績予想については、売上収益が前期比3.1%増の2兆2000億円、営業利益が同8.4%増の2700億円、当期利益は同3.0%増の1750億円とした。上期はコロナ禍による行動規制や臨時休業などの影響が一定程度継続することに加え、生産遅延や輸送遅延の影響を一部見込み、減収減益を予想。下期については、規制が緩和され、営業が通常通りできることを想定し、増収、大幅な増益を見込んだ。
各セグメントでは、国内ユニクロ事業は在庫の適正化や値引き販売の抑制などの事業構造変革に取り組むことから 業績が一時的に低下するとし、減収減益を予想。海外ユニクロ事業は大幅な増収増益、ジーユー事業は若干の減収、営業利益は前年並みを見込んだ。また、情報製造小売業への変革を加速する年度として「ECの拡大と加速」などを挙げている。
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