TPCマーケティングリサーチ(株)がこのほど発表した『中国の健康食品市場調査』の結果によると、コロナ禍に伴う2020年度の市場は前年度比約10%減のマイナス推移。各企業は対面販売からオンラインへの切り替えを加速し、商機の補填を図っている。
中国の健康食品市場、都市部のロックダウン・店舗の営業停止などで減少に
調査は7~9月。中国国内で販売されている保健食品(当局の認可を受けた健康食品)、 普通健康食品(功能性食品や栄養補助食品)を対象に、無限極、完美、健合国際、新時代健康産業、山東東阿阿膠などの内資系と、Nestle、Amway、Herbalife、Blackmores、Jamieson Laboratoriesなどの外資系、ファンケル、大塚ホールディングス、オルビス、ファイン、ユーグレナなどの日系企業から聴取した。
それによると、20年度の中国の健康食品市場は前年度比10.4%減の1783億元。うち、保健食品の売上は全体の32.2%を占める573.5億元、認可のない普通健康食品は1209.5億元だった。コロナ禍で、都市部のロックダウンや生産工場の停止、小売店の営業停止など、物流・生産・販売の各段階で減収に繋がる要因が発生し、前年度を下回る結果となった。
19年度の法改正により越境ECも取引量が減少
また、19年度にECに関連する法案が改正された影響を受け、越境ECも取引量が減少している。小規模な取引が難しくなり、年度前半に売上が失速。後半からはインバウンドニーズを補填する形で中小企業の出店が加速したものの、通年では微減推移となっている。
20年度の原材料別の売上シェアは、ビタミン・ミネラル(26.9%)と漢方系原料(26.7%)で、5割以上。免疫賦活の効果を持った素材・成分が、縮小傾向の市場の中でシェアを獲得した。一方で、アンチエイジングやメタボ予防、認知機能改善、美容などの訴求製品からユーザーが流出。DHA/EPA は前年度から20%以上の減収となっており、通年で伸び悩んだ。
また、たんぱく質に関連した商品も、ラインアップの豊富さに対してシェアが伸び悩んでいる。メーカー各社はボディメイクによる免疫強化を訴求したが、コロナ禍に伴う運動・外出ニーズの激減で消費自体が減少。アミノ酸や植物性たんぱくなどの素材が伸び悩む形となった。
販売チャネルのシェア1位は約4割で直営店、ECを中心とした通販市場は6.9%増
販売チャネル別のシェアでは、直営店が全体の39.1%占める697.5億元でトップ。同チャネルを主軸としている Amwayや無限極、Herbalife といった企業では、対面販売の機会減少に合わせ、積極的なオンラインのチャネルへの転換を実施。ECのほかにもWEBセミナーなどを介して、対面販売の減収をカバーしようとしている。また、予防医療の必要性を当局に訴えることで行政の理解を獲得。早い時期から生産再開の認可を受け、商品供給に成功した。
これにより、EC事業を中心とした通販市場が前年度比 6.9%増と好調に推移。同チャネルでは、天猫やJD.comのような従来のプラットフォーム以外にも、Wechat のようなSNSを経由した通販サービスが増加しており、幅広いユーザーを取り込むことに成功している。
特に、若年層ではライブコマースのような配信コンテンツとしての販促活動が注目を集めた。同国のユーザーは製品のブランドや信頼性を最も重要な評価基準としており、認知度の高いインフルエンサーが商品情報を発信することで消費を促進。これらの試みはまだ発展途上だが、中小企業にとっても参入ハードルが低いチャネルとして注目を集めている。
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