グローバルなオンライン決済サービスのプラットフォーム、ペイパルが9日発表した『中小企業によるEコマース活用実態調査』の結果によると、コロナ禍が日本の消費者の行動に変化をもたらしたと考える企業は8割近くに上る一方、3社に1社はビジネスへの影響はなかったと回答。消費者の変化を感じながら、オフラインやオンラインのさまざまな手段を使ってビジネスを成長させる方法を模索した対応が浮かび上がった。
コロナ禍のビジネスへの影響は64%が「マイナス」に
調査は9月~10月。コロナ禍が中小企業(従業員数4人~299人)に与えた影響や今後の見通し、ECの活用状況などについて、小売りやサービス、製造、公共、運送などを含めた幅広い業種を対象に、経営意思決定者310人に聞いた。
コロナ禍で、ビジネスにマイナスの影響を受けたと答えた企業は64%だったが、36%が「影響はなかった、プラスの影響を受けた」と回答していた。これは、全体の78%がさまざまな手段で成長させる方法に努力した結果といえ、24%は営業時間の調整を行い、さらにBtoBからBtoCへ、またはその逆へとビジネスモデルを切り替えた企業も18%に上っていた。
EC利用者の支出は減少傾向も、リピート購入は増加傾向
企業の78%は、コロナ禍が日本の消費者の行動に変化をもたらしたと考えていた。多くがECによる行動が変化し(38%)、さまざまな決済方法の利用に前向きになった(27%)と回答。さらに、ECの利用で変化がみられたと回答した企業(77%)では、自社のEC利用者による支出は「減少した(26%)」が「増加した(15%)」を上回り、リピート購入については「増加した(21%)」が「減少した(12%)」を上回っていた。
これらは、ECにおいて顧客のロイヤルティを高めることが重要であることを示している。また、オンラインで買い物をする人の年齢層が変化した(31%)と回答した企業によると、シニア世代の利用が増加(19%)しており、オンラインビジネスを拡大しようとする企業にとって、潜在的なホワイトスペースとなっていることが分かった。
中小企業が利用するEC販売チャネルは1位がECモール・2位が自社EC
日本の中小企業がECの販売チャネルとして利用しているのは、1位(41%)がECモール(Amazon、楽天、Yahooなど)、2位(36%)が自社のECサイト、3位(26%)が自社のプラットフォーム(公式アプリなどECサイト以外のチャネル)。ソーシャルメディアは18%、ショッピングカート企業(Shopify、BASE、STORESなど)は17%と導入率が低かった。
ソーシャルメディアはさほど普及していないが、海外で自社製品を宣伝・販売しようとする場合、ソーシャルメディアを新たな顧客層獲得のためのプラットフォームとして活用する価値はあるとした。さらに、ペイパルなどの決済プラットフォームを利用すれば、ソーシャルメディアでの投稿を販売窓口として、消費者へ直接販売することも可能という。
「すでに越境ECに取り組んでいる」が26%に
コロナ禍の世界的な拡大で、ECは「便利なサービス」から「欠かせないサービス」へと進化。日本の中小企業にも、越境ECに取り組む意欲の高まりがうかがえる。調査では、すでに越境ECに取り組んでいる(28%)、または計画している(16%)という回答が得られた。すでに導入している中小企業のうち、39%がコロナ下で導入してた。
今後のビジネスの優先事項やデジタル化については、「社内データのより効果的な活用方法の取得(26%)」、「IT/技術システムのセキュリティを確保(21%)」「新しいデジタル技術を導入することによる顧客体験の改善(20%)」などを重要視していた。
現在取り組んでいる、もしくは今後1年以内に予定しているデジタル化への対応は、「顧客データの管理(77%)」「オンラインでの商談・営業(77%)」「情報セキュリティ(74%)」が最も多い回答。また、デジタル化をサポートするための最も重要な要素として「技術的な知識や専門性を求めている(63%)」ことも判明した。
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