空間に浮遊するウイルス・菌の除去をうたう

　同社は「クレベリン スティック ペンタイプ」「クレベリン スプレー」など4商品を販売。その際、商品パッケージや自社ウェブサイトで、二酸化塩素の作用により、身の回りの空間に浮遊しているウイルスや菌を除去・除菌する効果を宣伝していた。

　商品パッケージでは、「身の回りの空間のウイルス・菌を除去するスティックタイプです」などと表示。用途について「電車・バスで」「オフィスで」「病院で」「学校で」と説明していた。

　自社ウェブサイトでは、「オフィスや学校、病院など人の多い空間に浮かぶウイルスや菌にも、持ち運びタイプで対策」、「ベビーベッドや仕事場のデスク、勉強机など設置するスペースが少ない場所でもウイルスや菌の対策」などと表示していた。

大幸薬品「司法の場で明確に」

　消費者庁の求めに応じ、同社が提出した表示の裏づけ資料は、合理的な根拠と認められなかった。消費者庁の担当官によると、「本件商品ではなく二酸化塩素による密閉空間（25畳）でのウイルス・菌の除去や不活化のデータ、会議室のような空間で本件商品の直上に一定濃度の二酸化塩素があるというデータなど」（表示対策課）だったという。

　消費者庁は同社に対し、表示が景表法に違反する旨の一般消費者への周知、再発防止策の構築などを命じた。

　一方、同社は取材に対し、「司法の場で明確にしたい。法的措置に移行しているため、今回の命令に対応しない。表示内容を変更する予定はない」（広報担当）と話している。

両者とも即時抗告を行い係争中

　同社はホームページで、昨年11月、消費者庁から措置命令案についての弁明の機会が付与されたことを受けて、12月14日に措置命令の差止訴訟を起こし、同時に仮の差し止めの申し立てを行ったと説明。

　その結果、東京地裁は「クレベリン 置き型」の2商品について、消費者庁へ提出された試験結果が表示を裏づける根拠に当たると認め、措置命令の仮の差し止めを決定した。一方、今回の措置命令の対象となった4商品については、根拠を認めず、同社の主張を退けた。

　同社、消費者庁ともに東京高裁に即時抗告を申し立て、現在係争中となっている。