(株)USENとトランスコスモス(株)、大妻女子大学が25日発表した『BGMがコールセンターで働くオペレーターに与える効果についての共同研究』によると、BGMの種類によってオペレーターのストレス低減やパフォーマンス向上につながる可能性が見出された。今後、オペレーターがポジティブに働ける環境づくりに役立てたいとしている。
USENの音楽配信「Sound Design for OFFICE」でオフィス向け楽曲を選曲・編成
3者による共同研究はこれまでも行われており、今回はBGM の使い分けによって、オペレーターのストレスなどに違いが見られるかを調査した。詳細については、USEN のさまざまな研究や調査結果、識者のコラムを通して、「音の効果」を発信している学術研究コラムサイト「音空間デザインラボ」で、後日報告するとした。
観察期間は、(1)2021年1月18日~2月7日、(2)2月8日~3月7日、(3)3月8日~4月4日。トランスコスモスのコールセンターに勤務する男女オペレーター(1)94人、(2)88人、(3)88人を対象とした。対象者を3群に分けて、各フロアの執務室とリフレッシュルームおよび廊下とで異なるBGMを放送した。流した音楽はUSENが提供するオフィス向け音楽配信サービス「Sound Design for OFFICE」で、オフィスに合った楽曲を選曲・編成したものだ。
約2カ月間にわたりBGM環境を変えて効果を検証
(1)をプレ調査期間とし、約2か月間にわたり群ごとにBGM環境を変え、観察期間が切り替わるタイミングで、一時的気分尺度(生き生きしている、だるいなど)や室内の印象、就業継続意思、ワークエンゲージメント(仕事に誇りを感じる、仕事の生産性が上がったように感じる)などの項目をアンケートでたずねた。また勤務日数や、一時間当たりの平均処理件数、オペレーターの感情といったデータを含めてBGMの効果を検証した。
放送したBGMは、「A群」が執務室⇒鎮静的BGM、リフレッシュルーム・廊下⇒覚醒的BGM/「B群」が執務室⇒覚醒的BGM、リフレッシュルーム・廊下⇒鎮静的BGM/「C群」が執務室・リフレッシュルーム・廊下⇒鎮静的BGMと覚醒的BGMのミックス。
その結果、「一時的気分尺度」では、A群が期間全体を通して「緊張」の項目が有意に低下。「一時間あたりの平均処理件数」は、C群の女性で、(1)よりも(2)(3)の方が上がった。BGMの印象と、気分やパフォーマンスとの関連性では、A群ではBGMが好きな程度が高いほど怒りや抑うつが低く、ワークエンゲージメントや就業継続意思が高かった。
鎮静的BGMやミックスしたBGMでストレス低減・パフォーマンスの向上が示唆
詳細な分析結果ではないが、これらを受けて大妻女子大の担当者は、ワークエンゲージメントや勤務時でのポジティブ感情に関して女性の方が高いという結果は、女性が多い職場にとっていい結果だと考えられる。一方で、男性オペレーターのワークエンゲージメントやポジティブ感情を高めるためにはどうしたらいいのかについては検討する必要がある。
また、覚醒的BGMだけを流すよりも鎮静的BGMやミックスしたBGMにおいてストレス低減やパフォーマンスの向上との関連が見出されたことは、コールセンター内でどのようなBGMを採用することが望ましいのかを考えるヒントになると考えられるとしている。
■『音空間デザインラボ』
https://usen.com/portal/otodesign/
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