(株)高島屋が11日発表した2022年2月期(21年3月~22年2月)連結決算は、売上高にあたる営業収益が前期比11.8%増の7611億2400万円、営業利益は41億1000万円(前期は134億9600万円の営業損失)、純利益は53億6000万円(前期は339億7000万円の純損失)となった。
「髙島屋オンラインストア」のリニューアルで相乗効果も
単体では、売上高が前年比13.3%増の5979億5100万円、営業損失は77億6000万円(前期は202億1800万円の営業損失)、純利益は、事業適応計画の認定に伴う税制優遇措置の適用により69億4900万円(前期は336億3000万円の純損失)となった。
23年度にEC売上500億円をめざす中、昨年8月にリニューアルした「髙島屋オンラインストア」は、おせち料理やバレンタイン商材などのシーズンプロモーションを中心に、好調に推移している。ECとともに、カタログ通販、テレビ通販で構成するクロスメディア事業も、「髙島屋オンラインストア」のリニューアル効果による売上増などから前期比1.6%増の387億2900万円、営業利益が同10.6%増の16億1300万円となった。
百貨店業は営業損失65億円も赤字幅を大幅削減
グループのブランド価値の源泉で、中核事業である百貨店業の営業収益は、前年比13.7%増の6483億6100万円、営業損失は65億6100万円(前期は213億2300万円の営業損失)となった。依然として、コロナ前の水準には至っていない。
国内百貨店では、前年度の反動から第1四半期は増収となったが、8月に大きく売上を落とした。9月以降には人の動きが戻り、クリスマス・年末商戦にも賑わいが見られ、初商では2年ぶりの店頭での福袋販売も実施。しかし、全体として店頭売上の回復は力強さを欠いた。
コロナ禍にあって、百貨店の再生は喫緊の課題で、収益構造の改革断行の契機でもあると、早期黒字化に向けたコスト構造改革に取り組み、売上の回復につながる品揃えやサービスなど営業力強化を進めてきた。組織のスリム化や業務の内製化などにより、営業費の圧縮を進め、筋肉質な経営体制の整備に取り組んでいる
コロナ禍で海外店舗は上海高島屋以外苦戦
海外店舗は、ASEAN地域でコロナ禍の再拡大があり、上海高島屋以外の各社は厳しい営業体制となった、シンガポール髙島屋は年度を通じて営業制限を継続、サイアム髙島屋も営業時間短縮や、食料品のみ営業などの影響を受けたが、前年度の休業反動で、いずれも増収となった。一方、ホーチミン髙島屋は7月から約3カ月間全館休業し、減収となった。
こうした業績を受け、23年2月期の通期業績予想は、営業収益が前期比43.3%減の4315億円、営業利益が同325.7%増の175億円、純利益は同86.6%増の160億円を見込んだ。
最優先課題である「魅力ある品揃え」を実現へ
百貨店は売上の減少や、商品利益率の低下、営業費の高止まりで、利益の確保が難しくなっている。次年度は大型5店(大阪・京都・日本橋・横浜・新宿)の構造改革で、新しい百貨店の運営モデルを構築。営業力強化と収益安定化をめざし、営業力強化に向けては、最優先課題である「魅力ある品揃え」を実現するために、仕入体制の強化を図るとした。
成長領域であるEC事業部は、事業部内に仕入機能を持ち、EC独自商品の開拓を行う一方、化粧品を皮切りにEC専用倉庫出荷を開始する。商品発送までの日数短縮による顧客利便性の向上や業務の集約化により、ネットビジネスの利益拡大をめざす。また、店頭とECの相互送客など、リアル店舗を持つ強みを最大限発揮することで、既存顧客の深耕と新たな顧客層の獲得に取り組むとしている。
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