クレベリンをリビングや寝室などで使用する表示も

　同社は「クレベリン 置き型」（60g、150gの2商品）について、商品パッケージ、自社ウェブサイト、テレビCM、YouTubeで、実際とは異なる効果をうたっていた。

　商品パッケージには、「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」などと表示。自社ウェブサイトでは「ういてるウイルス・菌、くっつきウイルス・菌、まとめて除菌」、「こんなところでお使いください」と記載し、寝室やリビングのイラストを表示していた。

　このように商品をリビングや寝室などに設置すれば、室内空間に浮遊しているウイルスや菌を二酸化塩素の作用によって除去・除菌できるかのようにうたっていた。

　消費者庁の求めに応じ、同社が提出した表示の裏づけ資料は合理的な根拠ではなかった。「25立方メートルの閉鎖空間で行われ、数時間かけてウイルスや菌が除去・除菌されたという試験」（表示対策課）だったという。広告・表示では、リビング・寝室・トイレ・キッチンなどで使用できるとしていたが、試験内容と一致していないと判断された。

　消費者庁は同社に対し、不当表示の中止、一般消費者への周知、再発防止策の構築などを命じた。

東京高裁、申し立て認めず

　同社は昨年12月14日、6商品を対象とした措置命令案に対する弁明の機会を活用し、措置命令の差止訴訟を起こすとともに、仮の差し止めの申し立てを行った。

　東京地裁はペンタイプやスプレータイプなどの4商品について根拠を認めず、同社の主張を退けた。一方、置き型の2商品の試験結果については表示を裏づける根拠に該当するとし、措置命令の仮の差し止めを決定した。この判決に対して消費者庁、同社ともに、東京高裁へ即時抗告を申し立てた。

大幸薬品、高裁判決を「真摯に受け止めて適切に対応」

　今月13日、東京高裁は地裁の決定を破棄し、仮の差し止めの申し立てを認めないと決定。これを受けて今回、消費者庁は置き型の2商品についても措置命令を出した。

　消費者庁によると、消費者相談件数は2018年9月1日から21年11月31日までが75件。昨年12月1日から今年4月15日までが32件で増加傾向にあった。

　取材に対し、同社は「今のところ、何も申し上げられない。高裁の判決が出ているので、真摯に受け止めて適切に対応していく」とコメント。今後の対応方針については、「なるべく速やかに決定する」（広報担当）と話している。