IT関連メディア事業を展開する(株)インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所が4日発表した『電子書籍に関する調査2022』によると、21年度の市場規模は5510億円となり、26年には8000億円市場になると見込んでいる。
電子書籍市場、26年度には8048億円と予測
主要な電子書籍関連事業者へのヒアリングと、ユーザーアンケートなどを分析。利用率調査は6月16日~24日に1万1794人から、これを受けた利用実態調査は6月24日~7月2日に実施し、3565サンプルの有効回答を得た。
電子書籍を「書籍や雑誌に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(文字もの、電子コミック、写真集、電子雑誌など)のユーザー購入金額の合計を市場規模と定義した。月額定額制の利用料金やマンガアプリの課金額や、スマホの縦スクロールで読むことに最適化された作品も含む。
それによると、21年度の電子書籍市場規模は5510億円と推計され、20年度の4821億円から689億円(14.3%)増加した。年度前半はコロナ禍に伴う追い風傾向が見られたが、後半は外出やリアルの活動も戻って消費行動の変化も見られたことから、落ち着いた状況となった。今後も増加傾向は衰えず、26年度には8048億円に成長すると予測している。
電子コミック市場は4660億円
電子コミック市場は、前年度比658億円増の4660億円で、市場シェアは84.6%を占めた。文字ものなど(文芸・実用書・写真集など)が同41億円増の597億円(同10.8%)、雑誌が同10億円減少の253億円(同4.6%)となった。
無料でマンガを読めるアプリやサービスの利用が引き続き拡大している。一方、コロナ禍による広告指標の悪化から広告単価は下落。また、海賊版サイトや個人情報保護強化による影響も受けている。その結果、21年度のマンガアプリの広告市場は前年度から横ばいの260億円となった。22年度は270億円程度と予測した。
モバイルユーザーへの利用率調査によると、有料の電子書籍利用率は19.8%で、昨年度から0.7ptの減少。無料の電子書籍のみの利用率は昨年からは1.3pt増加して26.1%だった。
注目を集めているオーディオブックの利用経験と利用意向は、「よく利用する」(1.9%)、「たまに利用する」(6.1%)を合わせた利用率は8.0%となり、昨年調査から1.9pt増加。利用意向を持つ人は19.3%で、同じく1.4pt増加していた。
利用しているサービス・アプリの1位は「LINEマンガ」
有料、無料を問わずに利用しているサービスやアプリを聞いたところ、「LINEマンガ」(29.3%)、「ピッコマ」(28.7%)、「Kindleストア」(23.6%)、「少年ジャンプ+」(17.9%)、「マガポケ」(14.0%)の順。上位5つのうち、4つはメディア型のマンガアプリだった。
利用している電子書籍サービスやアプリのうち購入・課金したことがあるサービスやアプリは、「Kindleストア」が33.2%で最も高く、2位に「ピッコマ」が20.0%、3位に「楽天Kobo電子書籍ストア」が18.5%で続いた。
この1年は日本でも韓国発のWEBTOON熱が加速。WEBTOONといわれるスマホでの購読に最適化した縦スクロールのカラーのマンガに対する好みを聞くと、「とても好き」「好き」を合わせた好意的な評価は28.7%となった。「とても好き」は昨年調査から1.8pt増加していた。
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