ロジザード(株)が9日公開した『物流ロボット・物流DXに関する調査』の結果によると、物流ロボットの導入を前向きに検討している企業が増えていることが分かる結果となった。
物流ロボット導入の現実感が増加
コロナ禍による通販物流の需要拡大、人手不足の解決策として、物流ロボットの導入が進んでいる。ただ、まだその一歩を踏み出せないでいる企業が多いことも事実。調査は4月5日~5月24日。同社が主催した「ロジザード物流ロボットセミナー2022」に申し込んだ515人と、同じく参加した171~206人から、実情を聞いた。
同社によると、「もともと物流ロボットに興味関心がある人を対象としたアンケート」ではあるが、「物流ロボットを導入する場合、いつごろをめざすか」(515人)という問いには、「分からない」が42.9%、「3年以内」が21.7%、「物流事業がないため、導入することはない」が16.7%、「年内」が5.8%、「5年以内」が3.5%、「10年以内」が1.0%という結果だった。
こうした回答に同社は、まだまだ「分からない」が多く、導入する場合でも「年内」の選択は少ないため、決めかねている企業が多いことは確か。しかし、前向きに検討している企業は「5年以内」「10年以内」ではなく、「3年以内」が一番多い結果となっていることに導入の現実感が増していると分析している。
物流ロボの気になる情報は「種類・機能」と「費用」が高い傾向に
「物流ロボットについて気になっている情報」(515人)は、60.1%が「種類・機能」、56.3%が「費用」だった。同社によると、この2つは情報収集段階の企業が多く選択する項目で、物流ロボットについてまだ不明なことが多く、不安がある状態だという。38.4%が「導入前の障壁」、30.0%が「導入時の環境設備」、29.7%が「導入時、導入後のサポート体制」を選択していたが、この3つは導入を具体的に検討した企業が気になる情報だという。
「物流ロボットのコストに対する意識」(174人)については、69.0%が「中長期でコストをどのように考えればいいのかが分かれば、導入を検討する企業が増えると思う」と回答。13.8%が「短期的なコストに目を奪われてはいけないと思う」、10.9%が「やはりコストが気になって導入に踏み切れないと思う」を選択した。
22%が「物流ロボが人の仕事を奪う懸念あり」と回答
さらに「物流ロボットは人間の仕事を奪うのではないのかという懸念」(206人)について、42.7%が「奪う可能性はあるが、失業の上昇にはつながらない」、31.6%が「そうは思わない」、22.8%が「そう思う」を選択していた。
同社は、「当時のセミナーの内容から少々誘導的な回答例」とした上、「そう思う」という人の懸念は自身が不要になるという不安があるのかも知れない。導入について会社全体で理解を導くとすると、「仕事を奪われるかも」という意識は抵抗勢力となりえる。物流ロボット導入のイノベーターである3PL事業者でも、最初はそういう雰囲気を揉むのに苦労し、「働く人の負荷を減らし、適材適所を叶えるための導入」として理解を得た経緯があるという。
また、「自社の物流DXに関する課題感を説明できるか」(171人)という質問をしたところ、46.8%が「課題感が分からない・整理できていない」、30.4%が「説明できる」、22.8%が「説明できない」と回答していた。同社は、全体の約8割が物流DXの課題感をまだ認識できていないようだ。そもそも、物流DXに対する掴みどころがまだ無いのかも知れないとしている。
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